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2004年04月04日

さをり織のファッショショー

 福祉作業所どんぐりパンが主催でさをり織りのファッションショーが開かれました。ベルブ永山5階のホールは満員でした。お客さんにはさをり織りファンと見受けられる人も多く、ファッションショーの前にはジャズバンドによる演奏がありましたが、早くショーが始まらないかとワクワクしている様子が伝わってきました。

 どんぐりパンのさをり織りは2年ほど前に永山商店街の福祉亭で展示会があり、そこにもとてもすてきな洋服などが出品されていました。まずは織りものを作成し、それをさまざまな洋品、小物にとしていくので、ファッションショーをするためにはかなりの期間が必要です。ある程度作品をためておかなかければならないからです。
 多分、今回が以前に引き続いた発表会だと思いますが、今回もまたとてもステキな作品が続々でした。ファッションショーでは作業所員の方とボランティアでモデルになった10人ほどの若い学生が中心で、さをり織りといえば、あまり若い人たちが着ている姿を目にする機会は少ないですが、なかなか若者が着ても似合うなあと思いながら舞台を見ていました。
 どんぐりパンは知的障害者の作業所です。私も顔見知りの友達が数名いますが、いつも通りの明るさと持ち前のユニークさで観客をわかせていました。ばっちりとポーズを決めてくれたときには、ひときわ大きな拍手がわき、もりあがっていました。人前に出るともなるとやはり緊張するのか、動きがちょっと堅かったり、かしこまっていたりとそれぞれに意識をしているようでしたが、それぞれ自分たちが作った織物での衣装を身にまとっていて、とてもステキでした。
 もっとたくさんの人に見てもらいたいなあとも思いました。ホールだけでやるのではもったいない気がしました。ショーが終わった後、展示即売会があったので、顔を出しましたが、ファッションショーで見ているのと実際に自分が着てみるのとではやっぱり全然イメージが違い、私としてはさをり織りの洋服を着るというのは…まだちょっとな…と勝手に思いました。
 きっとどれもステキな作品なのですが、それぞれ色合いなどもあり、自分が気に入った一点を見つけ出すのは簡単ではありません。結局小さな小物入れを購入しました。

 さて、多摩市では地場産業や地域産業の基盤がとても弱いと言われます。「地域経済」という切り口で見た時にも、循環しているのか?と言われれば、十分ではないと思います。前にも感じたことですが、この「さをり織り」の経済効果がどのくらいかは別としても、地域で障害者の雇用の場を作りだし、そして地域の人々が喜んで彼らの作品を購入していく…という一つの循環は、実は「地域でともに生きる」ということにもつながってくることです。これも立派に地域産業になれると感じます。しかし何よりも、重要なことは、さをり織りの作品を心待ちにしている人の多くは「地域で支えていく」という意識よりは、むしろさをり織りの大ファンであり、さをり織りが大好きな人たちであるという事実だと思います。だからこそ私は「さをり織り」の可能性を感じます。
 可能性を開いていくためには、頑張って「さをり織り」を作りつづけてもらわなくてはいけないし、そのための設備なども今以上に整備する必要があるのかもしれませんが、こんなに多くの人たちが地域で生まれた「さをり織り」を心待ちにしているなんて・…と私は展示即売会の会場へ行き、熱心に自分にぴったりの一品を探している人たちの姿を見ながら、何だか感激を覚えたのでした。

投稿者 hisaka : 2004年04月04日

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