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2004年04月03日

顔の見える関係をつくる

  久々に私用があり、新宿の方まで出かけてきましたが、人の多さに正直、息が詰りそうでした。でも、これだけ人がいれば、飲食店は繁盛もするだろうし、特にデパートよりもミロードやルミネといった駅ビルの混雑には気後れしてしまいました。セール中のように商品がぐちゃぐちゃで、入れ替わり立ち代わりに高校生や大学生と見えるお客があふれていて、一言「参った」と思いました。
 購買力というよりは購買意欲はものすごい。実際に買う人よりも、とにかく鏡の前で合わせてみるとか、雑貨類を手にとって友達同士できゃあきゃあ言っている姿には何だか泣けてきます。私は「物質的な豊かさ」からは卒業する時代に入っていると常々考えているので、自分は間違っているんだろうかという錯覚にさえ陥りそうです。私たちが放りこまれている社会の複雑さを痛感させられました。

 さて帰宅して、たまたまテレビをつけると「21世紀ビジネス塾」という番組をしていました。この不況化で業績をあげている企業の戦略を紹介していました。海外ブランドと無名の国産ブランドでは競争力の差は歴然です。そこをどのようにリカバーしてくのか?その企業が目をつけたのはデパートの店員でした。実際に販売員に工場まで足を運んでもらい、商品づくりの現場を見てもらうのです。これは皮製品ですが、まさに職人の世界です。販売員さんにも実際に手作業を体験してもらい、製品ひとつ完成までの高く磨かれた技術と、職人さんの思いを実感してもらうのです。それによって、ただ製品を販売するだけではなく、職人-製品-販売員-お客さんという顔の見える関係をつくることができます。そのことにより売上も伸び、業績も向上しているのです。
 「つくった人の顔が見える」ことは消費者にとってだんだんと不可欠になりつつあります。例えばスーパーなどの生鮮食品でも生産者の氏名や顔写真つきでの販売をしているところがあります。特に有機野菜や無農薬野菜などでは顔が見えることで、その商品の信頼度が高まるようにも思います。

 ここから考えて、今後の行政サービスにも「顔の見える関係」づくりを導入していく必要はあると思われます。「新しい公共」といわれるように、公共サービスの担い手も市役所だけではないとの考えが広がりつつある時代です。しかし…とは言っても、市役所の在り方はとても重要だと考えています。

 今年度の事業の中で、実はとても面白いものがあります。それは「産後ヘルパー派遣事業」を昨年度からやっていますが、利用者側からすればなかなか利用しようと決心するのに時間がかかりそうです。なぜなら、自分の家に他人が入ってくるわけですから、色々考えた時には躊躇してしまうこともあるかもしれません。・…ということで、今年度からは「お試しサービス」で無料でヘルバー派遣を利用できる仕組みができました。そこで、納得がいけば、次回からは有料でヘルパー制度を利用出来るというわけです。これはナイスアイデアだと思っています。
 これも行政のサービスの「提供者」と「利用者」との顔の見える関係づくりにもつながる発想だと思います。「提供者」の顔が見えれば、安心し、次回から、有料であってもサービス利用しようという動機づけにもなるでしょう。

 昨日の番組でも、山形県で売上を伸ばす電化製品販売店の話が出ていました、電化製品を2日ないし1週間ほどお試し体験をしてもらい、気に入ったら購入してもらう…というサービスを展開し大成功をおさめているとの話です。
 これからの行政サービスにもこういう工夫がいると思います。今までのように「無料」で当然ではなく、受益者に対しては見合った負担を求める時代に入っていることを考えればなおさらです。「新入社員には試用期間があるけれど、議員には試用も何もないもんな…。」こんな厳しい言葉をかけられたことを思い出しました。

投稿者 hisaka : 2004年04月03日

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