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2004年03月14日

容器包装リサイクル法のこと

 「リサイクル貧乏」と言われます。2月号のニュースでもちょっと触れましたが、自治体のリサイクル費用はリサイクルすればするほどかさむというわけです。つまりは投入される税金が増えていくというわけです。
 現在議会にも、容器包装リサイクル法の改正に向けて政府に意見書を提出して欲しいとの請願が提出されています。ちなみに私は署名議員になっています。リサイクル費用が自治体財政を圧迫していることは事実です。拡大生産者責任の徹底化、製造者責任を明確化してもらいたいこと、それから「廃棄物を作らない」ためのさまざまな手法を改正法には盛りこんでほしいというのが意見書での要望事項になります。

 今日はNPO法人「ごみ・環境ビジョン21」が主催したフォーラムに行ってきました。「徹底討論!容器包装リサイクル法」ということで、自治体代表に山田杉並区長、事業者代表ではサントリーの公文環境部長、環境省からは藤井室長(廃棄物・リサイクル対策部リサイクル推進室)、容器包装リサイクル協会の土居広報部長がパネラーでそれぞれの立場から現在の容器包装リサイクル法について議論が繰り広げられました。
 パネルディスカッションの冒頭では各人より現況報告があり、少しつまらなかったのですが、いよいよお互いの意見交換、そして会場からの質疑になってくると立場の違いが鮮明になり非常に面白い会となりました。
 それにしても、環境省のお役人ともなれば本人も最後のまとめで述べていたように非常に歯切れ悪い答弁で、例えばつい先頃話題になった韓国で制定された使い捨て禁止法に対する見解や具体的にどう考えているのかを追及しようとすれば「まだまだ勉強しなければならないこともたくさんありますので、今の段階では明確なお答えは出来ませんし、ぜひみなさんと一緒に議論をしてみたいと思っています。」というのがギリギリ精一杯の答えのようでした。会場はもちろん不満顔の人が多いのは当然。私も「まるで議会だ・…。」とやれやれ・・・という気分になってしまいました。

 自治体代表の杉並区長は「レジ袋税」なども手がけるなどさまざまな実験的試みをしています。でもなかなか現実は難しいと正直なところを述べていました。「いいことをやって、見返りをつくる」というキャンペーンには限界があって、マイバック運動などを浸透させることにも一定の限りがあることをはっきりと発言されていました。現在の法律ではリサイクルの責任が分散されていて、結局はどこに最終責任があるのかが明確化されていないとの問題を指摘していました。その点から「生産者・製造者の責任」と責任の所在を1ヵ所にすること…ひいては消費者負担とつなげていくべきだとの考えを述べていました。現在のリサイクル体制は無責任体制、リサイクルに熱心な人、熱心でない人との間の不公平を是正する仕組みが欲しいと主張されていました。
 なるほど…それは一理あるなと思いました。コーディネーターをしていた主催者の方も「一生懸命リサイクルなどに取組んでいるのに、リサイクルに取組んでいない人のために、こんなに莫大なリサイクル費用を税金で負担せざるを得ないなんて納得がいかない。」とおっしゃっていました。
 しかし、私が思うことですが・…そういう考え方はちょっと狭いかなと感じます。確かに正しいかな?とも思いますが、全然次元は違うかもしれないけれど、私がとっさに思いついたことは例えば図書館とかはどうでしょう?「別に本嫌いだから、図書館いらない。」とか「やっぱり本は自分で買いたい、人が借りたものは嫌だ。」と言う人がいます。その人にとっては図書館に税金が投入されることに納得がいかないかもしれません。何となく「リサイクルに税金が使われることへの不公平感」という部分は私の中ではシックリといかないことでした。

 私はやはり社会全体として「ごみを減らそう」という気運を高めなければならないし、その一つの手法として容器包装リサイクル法があり、拡大生産者責任が明確化されることが必要だなと思います。そのためには「拡大生産者責任」と「ごみ減量」とをちゃんと結びつけ、生産者・製造者自身に心底理解をしてもらわねばならないと思っています。
 そこで「事業者責任の強化や明確化が本当にごみ減量につながると考えているのか?」という質問をしてみました。環境省の方は「今後、みんなで議論をしていきたい。」というつまらない回答でした。リサイクル協会の部長さんは「まだまだ努力を求めればごみ減量はできるだろう。でも、そもそも容器包装って何か?について議論をすべき」とおっしゃいました。容器や包装は買い物には必需であることは間違いなし…となれば、事業者責任を明確化してごみが減るとも言いきれないというわけです。要するに、例えば空き瓶を持っていけば醤油を売ってくれるお店、お皿を持っていけば欲しいだけのお肉、お魚を分けてくれるお店…そういう仕組みが必要だということでしょう。消費者、購買者の意識にかかっていると言いたかったのだと思います。
 そして一番の注目はサントリーの部長さん。「価格にリサイクル費用分も含めるとしても中途半端じゃ効き目なし。」とはっきりと言いきっていました。というのも現在でもビール瓶などは10円バック方式を採用しているけれど、残念ながらビール瓶や一升瓶なども自治体のリサイクル回収ルートにのっている現実があると指摘されていました。少額の価格の上乗せくらいでは、今のリサイクル状況が変化するとは思えないということです。私はこれには同感でした。ちょっとや少々高くなっても、価格が上昇した一瞬は反発があっても、まるで喉もと過ぎればで、結局は便利さ優先になると予想しているからです。やはりここでも最終的に問われるのが消費者であることが明らかです。

 私はサントリーの部長さんが言ったように「地球環境に対しての利害関係では一致する」というのが正解だと思います。狭い領域で考えた時には利害対立が発生して、業界団体の圧力とか市民団体の反発みたいな対立が生まれるわけですが、私たちが地球環境のために目指すべき方向は一致するのです。そこはとても大事なことだなと思いました。
 そして今日、初めて民間の企業努力を生の声で聞くことが出来たのも貴重なことでした。
 
 それにしてもやっぱりお役人さんのお言葉。「自治体のリサイクルコストにも5倍から6倍の差がある。そのことを考えれば、一体いくらを商品価格に含めばいいのか、その妥当性を示さなければならないし、難しい。」・…とても堅実な発言だと思いますが、まったく私はこのような回答を聞くと魂が抜かれたようになるのです。

投稿者 hisaka : 2004年03月14日

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