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2004年02月25日

まちのルールを自分たちでつくる。

  東京ネットの議員研修で「条例づくり」プログラムが進められています。最終的にはその成果を議会での提案にしていくのが理想ですが、実際に条例を提案するにまで至るかどうかはまだ未定です。
 いくつかのテーマの中から多摩ネットでは「移動の権利」をどう保障するのかについてを考えてみようと選びました。既に桜ヶ丘と豊ヶ丘で市民のアンケート調査をし、それからケアマネージャーの方々のアンケートへの協力もあり、やっとニーズ調査の第一弾が終了したという段階です。
 今日はアンケート結果から見えてきたことにプラスして、実際の利用者、事業者なども含めてさらにどんなニーズが見出せるのかについてワークショップをしました。条例をつくる時にはその目的、対象、内容へと順番に絞りこんでいく必要があります。
 2つのチームに分かれてそれぞれの話合いを進めましたが、共通して出てきたのはやはり「気軽に利用できるサービス」が欲しいということです。
 タクシーは電話一本ですぐにかけつけてくれます。けれども車イスごと乗れる車輌を希望するには予約制です。これは民間事業者でもNPOの移送サービスでも同様です。つまり「思い立った時」の自分の欲求をかなえることはできないのです。またNPOの場合には保険の関係もあり、会員制をとっています。そのために「仲良しの友達と一緒に出かけたい。」とのケースの場合には対応に苦慮するそうです。つまりその友人が会員でなければ利用でいないのが原則だからです。

 さて、民間事業者にせよ、NPOしても事業者の共通点とは「採算が合わない」ということです。民間の福祉タクシーも来年度から市の助成がなくなるのに合わせて廃止の方向を打ち出したようです。そうなると今までは民間事業者かNPOかと選択ができたのに、選択肢が減ることになります。「選べる」ということが大事ですが、この問題はまた別として、とにかく採算をあわせることが非常に困難です。車輌や車イス昇降機などのメンテナンスなどにかかるお金は馬鹿になりません。NPO事業者の話では走れば走るほどに赤字になる・・・という厳しい現実と利用者への負担のバランス。やはり利用者にとっては料金も「気軽」に利用出来るかどうかの大事な指標になります。経費がかかるからとは言え、それに見合った利用料金を設定することはできないのが現実です。
…となれば、ここらへんに行政の果たす役割が見えてくることは確かです。

 特に多摩市の場合はエレベーターのない団地群が林立しています。高齢者が上階に住んでいる場合には階段を昇るのが億劫で外出控えをする…という傾向があります。ニュータウン建設時には想定しなかった大きな欠陥が現在の多摩市の大きな課題です。外出をしなくなることは、社会参加の機会も減るわけです。要するに「移動の権利」を保証するということは「介護予防」にもつながるということを強く認識すべきなのです。

 先に「予約制」のことについて触れましたが、なぜ「予約制」になるのか?という部分。それはやはりNPOでは特に事業者の体力がまだまだこれからも段階にあるからです。いつでもすぐの対応を可能にするためには手の空いている人員を確保する必要がありますが、人員確保=時間拘束=報酬の発生…と結びつくのです。ここまで報酬を出せるだけの余裕がないのが現実です。それからNPOのサービスの大きな特徴としてはさまざまな障害に対応をしているというところです。民間タクシー会社からは特に知的障害者にまできめこまやかに対応できないという意見があります。しかしNPOの場合には知的障害者、特に知的障害児の移送も行なっています。その場合には運転者との相性などもあるようで、マッチングに苦労する時もあるそうです。でもそこまで対応するのがNPOの良さです。NPOのサービスがかゆいところに手が届くサービスであることがよくわかります。

 とにかく一番いいのは担い手を増やすと言うことです。そのためには担い手となる事業者のみならず、人を育てていくことが必要です。車イス昇降機などは誰でもが簡単に扱えるわけではなく、きちんと講習が必要です。また、運転についても、利用者さんが心地よく移動出来るような配慮が必要です。でも現実を考えれば、採算が取れない事業であるために、なかなか担い手を増やしていくことができません。ここを行政はどう考えて解決出来るのか?という部分で条例は一定の役割を果たせるのかもしれません。
 とにかく担い手が増えるということは、利用者にとって選択肢が増えることにつながり、ここが一番大事なことだと思っています。実際に利用者の方々と話をして見えてきた現実の厳しさ、表面的にはわからないことを今日は学んだ気がします。

投稿者 hisaka : 2004年02月25日

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