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2004年02月21日

自治基本条例をつくる市民たち。

 先月の三鷹市主催のフォーラムに続いて、今日は市民が開いた自治基本条例のシンポジウムに多摩市市民自治基本条例をつくる会に携わっていた一員として招かれ参加してきました。
 行政からの援助は一切なく、メンバーの年間1,000円という会費を元手に2年間運営してきたのが「自治基本条例をつくるみたか市民の会」です。三鷹市と言えば行政の取組みが全国的にも注目されてきましたが、特に市民参加の部分では「みたか市民プラン21会議」や有名です。行政と市民の会議がパートナーシップ協定を結んで、市の総合計画を策定してきた歴史があります。この「自治基本条例をつくるみたか市民の会」は総合計画の策定に関わった市民の有志が中心になっています。つまり「計画を作っても実行しなければ意味がない」わけで、市民自身が自発的に実行主体になっているのです。行政側から言われるわけではなく、総合計画に位置付けられた「自治基本条例の制定」を着実に進めるために市民で先鞭をつけてきたのです。市民プランの会から4年、そして「みたか市民の会」が結成されてから2年経過し、ようやく今日の市民案発表会とシンポジウムにたどり着いたというわけです。

 自治基本条例はどういう風に策定するべきか?ということについては私は各々の自治体のやり方があり、簡単に正解が導き出せるわけではありません。それは完成した条例についても同様です。今日も三鷹市の市民案についてのコメントを求められましたが、私自身は自治基本条例の条例文にあれこれと評価出来る立場でも、その能力も不足しています。ただ他の自治体の条例との比較の中で特徴は指摘できるものの、結局は「その自治体ごとに市民の顔が見える条例に仕上がったかどうか」が一番重要で、もともと‘自治’はどこまでも進化していくものだと考えているため、「市民案にぜひケチをつけてもらいたい!」との要望には応えきれなかったなと思っています。
 一緒にパネリストをやった学識経験者の方はさすがに法律との関係性や他の自治体条例との比較などを一歩も二歩も踏み込んでいたので、なるほどこれが素人と専門家の違いだなと思い、私も素人の域にとどまっているわけにはいかず、まだまだ勉強の積み重ねが必要だと再認識した次第です。
 いずれにしても三鷹市の市民案について、私自身が一番好感を持っているのは「職員一人一人」にも光が当たっていることです。多摩市の条例の場合には職員は「市の執行機関」という中に含まれていて、また、大体は市民、行政、議会という三者の括りの中で条例が作られていくわけですが、行政という言葉ではなく‘市長’‘職員’というかたちで条例文がつくられているのは特筆すべきことだと思っています。
 市民案なのに‘玄人’市民たちが作成したと見え、非常に整理された体裁を整えていて、これが市民案を作るだけで2年間もかけてきた成果なんだろうなと思いました。

 多摩市では明後日の月曜日の午後に総務常任委員会が開催されます。そこでかなりのところまで議論をしていこうという流れになっています。今日のシンポジウムに出て、私自身は自分が市民ワークショップに関わった時から今に至るまでの流れを整理できたのはとても良かったなと思います。同じく大和市のつくる会の代表の太田さんと席を並べ、発言者となったわけですが、現在進行形で行政といい関係を持続しながらバリバリ動いている市民の熱を思いだしました。多摩市の場合も市長が逮捕されて「仕切り直し」が迫られる前には同じような勢いがあったなと懐かしささえ覚えてしまいました。
 私は多摩市の自治基本条例案策定までの流れで、やはり強調したいことは「議会」での取組みです。まだまだ十分とは言えませんが、私自身は条例策定の流れを受けた「議会」は議員はどう動きをとっていくのか?ここに面白味があると考えています。

 自治基本条例をつくる市民たちは少数派。だけどそういう市民にも支えられて市民参加の行政の扉、間口が少しずつ広くなっていくということ、そして参加の輪も少しずつ大きくなっていくと思います。時間はかかることです。
 私はこういう場でいつもいう事があります。それは参加している自分や主張している自分に独り善がりにならないでほしいという事。それは積極的参加をしようとしない、または出来ない市民の自由をどこまでも認める寛容性を忘れないようにということです。これを忘れてしまった時「市民参画」の特権化が始まると思うからです。議員も同じです。自分の主張があたかも正しいと思いすぎれば「議員」の特権化が始まります。常に客観的に外から眺める視点を忘れないこと、一生懸命になり過ぎないことがいいのかもしれません。「世の中の正しいこと」の判断、選別って本当に難しいことなのです。

投稿者 hisaka : 2004年02月21日

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