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2004年02月19日

武蔵野市の学校給食センター

  「一度、見学に!」とオススメされたのが武蔵野市の学校給食センターでした。そこで給食市民連絡会のメンバーで「北町調理場」を訪問しました。
 ここの調理場では約2300食を調理しています。ちなみに武蔵野市では中学校には給食がありません。武蔵野市の給食センターは建設の時に住民の強力な反対運動が起きたそうです。そこでセンター方式にしても手づくりを極力取り入れる方針で運営してきた歴史があります。
 今日の試食メニューはあずきごはん、ハンバーグきのこおろしソース、信田煮、みそしるでしたが、まず驚いたのはハンバーグを全部手で丸めていることです。一つ一つを4人の調理員さんが手でコロコロ丸め鉄板の上に並べています。そしてもう一つ、炊飯器がないとのことで、大きなお釜でごはんを炊いているのです。途中で2回ほどかき混ぜる必要があって結構大変なんだそうです。
 また、野菜なども出来る限りは機械を使わないでカットするのでしょうか?お味噌汁用の小松菜と長ねぎを包丁で次々と切っている調理員の方もいらっしゃいました。調理員さんたちの負担が大きそうだなと思いましたが、武蔵野市では自校方式で給食を行なっている学校が3校あるのでやはり、そこと給食の内容を同じようなレベルに保つためには必要な作業なのでしょう。約2300食分の長ねぎをひたすら刻みつづけている姿には頭が下がります。
 
 さて献立ですが、週5回のうちご飯給食が3回あります。お米は実際に栄養士を中心に産地を訪問して低、無農薬・有機栽培米を使用しています。以前は長野ほまれという品種のみを使用していたそうですが、冷夏の影響を受けて困った経験から今では4産地より購入しています。
 また食材はとことんこだわっていて、半加工品は全く使用せず、冷凍品もホールコーン以外はほとんど使用していません。地場野菜の使用も進めているそうです。野菜はいわゆる自然食品(低・無農薬、有機栽培)を使用し、その割合は73%にのぼります。
 そして卵についても遺伝子組換えの飼料を使用していないものを選びぬき、パンも特注品で国内産小麦を使用して製品化の協力を仰いでいるそうです。すごいなあ!と思いました。

 これらの食材の納入は月に一回の入札で行なわれるそうですが、センター給食に参加している小学校のPTAにはそれぞれ給食担当という役割の保護者がいるそうで、その方々9名も食材選びに参加出来るそうです。公募市民もいるそうです。過去の運動の中から「給食」がとても重要な分野と位置付けられていて、そこには市民の参加が行なわれているところは多摩市とは随分と違うなあと思いました。もちろん多摩市でも給食センター運営委員会がありますが、武蔵野市にも同じ主旨と思われる委員会も別途存在しています。
 先日、アレルギー給食の講演を聞きましたが、武蔵野市ではアレルギー食を個別に作るのは難しいものの、発注時に使用する際の食材料やグラム数などが細かく書かれている資料をアレルギーを持つ子どもの保護者に渡す仕組みになっています。保護者の判断で当日の給食をどうするのか子どもと相談してもらうことにしているそうです。

 給食費は低学年220円、中学年230円、高学年240円です。これは食材費です。その他の経費を含めれば大体800円前後が一食あたりの価格になるそうです。それから給食にはつきものの牛乳ですが、これについては毎日つけるわけではなく献立にあわせるようにしているそうです。献立全般をながめると、和食中心になっているので、牛乳は頻繁に提供されていないことがわかります。また、多摩市と違って、デザート類が少ないという意見もありましたが、結局、私たちは牛乳やデザートはなくても給食そのものの内容のよさから言えば、はるかに武蔵野市の給食は内容が豊かだと思いました。
 実際に試食をしましたが、高学年用を全部残さず食べるとお腹がいっぱいになりすぎて苦しいぐらいでした。

 給食センターではその他、春と冬休みには子どもの調理実習を行っているそうで、これは好評で、今では定員40名のところ応募者が約100名ほどいるそうです。これもまた面白い試みだと思います。実際に自分たちが食べている給食を作っている調理場で実習をするからです。また、調理員や栄養士と学校との交流も行なわれているそうです。

 色々な話しを聞いてみると、やはり武蔵野市でも同じなのは正規雇用の職員は雇わないようにする…という状況でした。給食センターで働くのは再任用職員や嘱託職員にと切り替わっているそうです。その意味では現場はとてもキツイと言います。どこの自治体でも頭を悩ます人件費問題をここでも痛感しました。
 「たかが給食、されど給食」…伝統的な食文化が失われようとしている中で、また家でしっかりとご飯を食べない子どもが増えつつある中で、給食が果たす役割は変質しつつも重要になっているような気がしました。

投稿者 hisaka : 2004年02月19日

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