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2004年02月14日

「男が飛びまわっていてもまちづくりはできない!」

  静岡市に行ってきました。静岡市内ではありますが、旧清水市です。合併をして巨大都市に生まれ変わった静岡市ですが、旧清水市にしてみれば吸収されたかたちのようです。
 旧清水市内で活動している色々な市民グループの連合組織?(みたいな感じ)である「清水ネット」の主催で開催されたフォーラムに参加してきました。清水ネットでは毎年学習会を開催し、今回で5回目を迎えたそうです。一昨年には自治基本条例のことについてフォーラムを開催していますが、その際に多摩市の事例について私に問合せがありました。それをご縁に今回のフォーラムのパネラーとして出席を依頼されたのでした。
 インターンの学生二人とともにお昼には現地に到着し、フォーラムについての簡単な打ち合せおしながらランチをとりました。清水駅は大々的なリニューアル工事中のようでした。駅前の再開発が進んでいるそうですが、久しぶりにあのような大規模な公共事業を見た気がしました。これも‘合併’に依拠することなのかな?とか思いながら眺めました。

 さて、今日のフォーラムのテーマは「男女共同参画とまちづくり」でした。パネラーを引き受けたものの、後からテーマなど詳細を知らされ、「げっ、これは私にはちょっと難しいテーマなのでやっぱりお断りしようかしら」と一瞬迷ったのですが、勉強の一貫だと考えて「恐々と参加した…」のが正直なところでした。というのは、このフォーラムのパネラーは3名で、一人は富士市議の女性、そして私と、もう一方が男性でしかも「自治会連合会」の会長さんだったからでした。ものすごく異色の組合せです。そこに私はちょっと好奇心がわいていました。

 フォーラムは二部仕立てで最初は「男女共同参画」について東京女子大学の矢澤澄子先生の基調講演、そしてパネルディスカッションという構成でした。基調講演を聞きながら、やっぱり私は「男女共同参画」について心底理解しているわけではないなと感じながら、次のパネラーとしての役目をどう果たせばいいかしら?と必死に考えていました。
 何しろ富士市議の女性はこのテーマに深く関わりながら議会活動をされてきた方のようで、私とは随分と捉え方や考え方に違いがありそうだとお昼の打合せの時に感じていたからでした。このフォーラムをぶちこわすようなことはしてはならない…というのがエチケットですが、その中で一体どうやって自分の意見を述べていけるのか?困ってしまいました。
 私は困ってしまえば、すぐに開き直る面もあり…結果「いいわ、今、自分が考えていることを正直に言おう。」ということに決めました。パネルディスカッションが始まると発言順が1番目と言うことで、ここにもプレッシャーがあったわけですが、まずは多摩市では土地柄的に旧清水市とまったく異なり、自治会・町内会は組織率が高くないことや、女性がまちづくりの中ではかなり頑張っていて、むしろリタイアした男性たちを地域の中でどう活かしていけばいいのかが課題になっていることなどを前提にして話を始めました。そして正直に言ったのは「私にとって男女共同参画という政策課題の優先順位はそれほど高くありません」と述べました。
 というのも私は「男女不平等」と強く意識させられるような場面にあまり出会ってこなかったと思われるからです。それはとても恵まれていたとも言えますが、「男だから」とか「女だから」みたいなことで自分に大きな不利益を感じたことがあるかといえばほとんどありません。もちろん社会全体を客観的に捉えればまだまだ女性という性がネックになる部分もあるとは思いますが、自分自身として体感したことがないというのが本音だからです。それは事前にインターンの学生とも話をしましたが、彼らもやはり同じような感覚でした。むしろ「女性のほうが得している感じ。」と思える場面もあるそうで、これは私の「女に生まれてよかったわ!」という部分と一致しています。そこで、一若者としての感覚をご披露しました。ここにはかなり「世代間ギャップ」が浮き彫りにされ、参加者はとても面白く話しが聞けたという感想を持ってくださったようです。

 私自身は男らしくとか女らしく…とか言う部分を大事にしたいと考える人、もちろんそう考えている自分自身には責任を持ってもらう必要がありますが、別にその生き方を否定しようとは思いません。それはそれでいいと思います。要はその人自身が自分の生き方に納得できればいいわけで、その価値観を他の人に押しつけることこそ私はとても迷惑だと思っています。…と言っていることに私の理解不足があるのかもしれませんが、どうも私は今までの「男女平等」の流れに自分自身がしっくりと行かない部分を感じるのです。
 コーディネーターの方が上手にまとめて下さり、「岩永さんの世代は今まで男女平等を切り拓いてきたという積み重ねの上にあるんだなあと感じますね。」と言葉を添えてくださったので、何とかパネルディスカッションもかたちになったように思いますが、パネラーとしての私は、もしかすると今回の趣旨にはあまり添えないような発言をしてしまったかなと反省もしました。

 ところで、何と言っても私は自治会長の男性の力ってすごいなあと思いました。この会長さんの出演により会場の半分は男性でした。そして、なによりもこの会長さんの「男性だけで飛びまわっていてはまちづくりはできない」という言葉が一番印象に残りました。彼はその考えの上に立ち、自分の地域に関しては今まで男性の役職だと考えられていたし地域役員に女性の力をどんどん生かしていきたいと実践している方でした。旧清水市というところはとっても保守的な地域で例えばPTA会長は男性が就くという慣習がありそうな場所です。ちなみに富士市議の方は富士市初のPTA女性会長だったそうです。ここも多摩市とは随分と違った土地柄だとわかります。
 私は地域の慣習を変えていくために孤軍奮闘している会長さんにますます頑張ってもらいたいと思いましたが、「自分はもう何年も会長をやりすぎている、長すぎるんだよ。」という自覚があるようで、おまけに「さまざま自治会など70、80代の人が会長をやるというのはよくないよ!」と歯切れの言い発言も飛び出し、そのことがとても新鮮に感じられました。

 女性の立場から「男女共同参画」を語るのではなく、男性の立場から「男女共同参画」が語られる時、その発言の深みがとても増すと感じました。
 「男女共同参画」という部分に対する私の認識はまだまだ…そのことだけははっきりと自覚した1日でした。 

投稿者 hisaka : 2004年02月14日

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