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2004年02月10日

自治基本条例の行方は?

 午前10時から、委員会が開催され、自治基本条例についての審議が行なわれました。
 市内の自治会、管理組合の連合組織の会長さん、そして商工会議所の会頭さん、それから学識経験者(私にとっては大学時代の(指導)教授)に「多摩市自治基本条例案」に対する意見を聴く会を開きました。
 私にとってはあまり…ほとんどなじみの無い方々の見解を伺えた貴重な機会にもなり、そして委員会にとっても、恐らく議会としても、このような場を設けていくことは非常に有意義で画期的なことではないかと思いました。市議会ウオッチングニュースには、12月市議会の委員会において総務常任委員会がパフォーマンス的に議案を「継続審議」としたと批判された記事が掲載されていましたが、決してそんなことはありません。(と私は思っています。)最終的に行政案がどうなるのかはわかりません。もしかしたら提出されたままに成案するかもしれないし、委員会として修正をしたほうがいいと判断すれば修正をするかもしれません。自治基本条例をめぐっては策定過程でも紆余曲折がありました。委員会としても前向きに捉え、まだまだ不十分だと言われるかもしれませんが、いわゆる議会開会月に合わせて年4回だけの委員会開催ではなく、閉会中にも委員会を開催し問題意識の共有などを図ってきたことは事実です。
 私はこの委員会の取組みについても注目をしていて、今後、例えば市民参加が当然の時代なるわけで、そこで問われてくる議会の在り方、対応姿勢という部分でも一石を投じていると考えています。総務委員会は若手が多いからこそ出来たのかもしれません。

 さて自治連の会長さんからは自治基本条例について「消極的だけれど賛意を表する」という見解をいただきました。自治会活動が活発な地域で、まちづくりをするに当たっての自治会の位置づけが非常に重要であるとの立場から「コミュニティ」に対する考え方を伺うことが出来ました。自治基本条例の中ではとりたてて自治会だけに重きを置くのではなく、土地つながりではない人のつながり(例えば趣味の活動など)も含めコミュニティと位置付けています。そのことが少々ご不満なようでしたが、意見を交換の中では、「人と人とのつながり」という視点では一致ができ、最終的には「コミュニティを狭く決めてしまわないほうがいい」との発言をいただきました。
 私は今日の一押しはやはり商工会議所の会頭さんです。この方は村時代からずっと多摩を見守ってきた方で、ニュータウンの変遷もしっかりと記憶に刻んでいらっしゃいます。そんな中でこの地域の住んでいる人の意識が変わってしまったこと、昔は自治なんて当たり前に行なわれていたことで、こんなものを制定しなくてはならないのか、必要やむを得ない社会に環境になったんだということを切に感じるとおっしゃっていました。条例については「権利だけを主張するのか」と思える箇所が見受けられるとのことで、「権利と義務はセットなんだ」ということを始終強調なさっていました。「義務がおろそかにされている…。」というのです。
 そして何よりもこの方の口から「補助金がいけない。」…昔は川の掃除も何から自分たちでやっていたのに、みんなこれを行政の仕事だと思っている、だから、金がもらえないとやらなくなっているんだ。余計なお金を与えるからダメになってしまうんだ・…という手厳しい発言がありました。自分たちで地域の物事を解決するということはお金だって地域で出し合うということなのです。補助金のあるなしはその後のことでしょう。私も同感です。もちろん補助金が無くても、地域の人たちの持ち出しによって展開している動きも在ると思いますが、この方の発言には非常に重みがありました。

 今、委員会では行政案について、「このままの文章で条例制定をしてしまうことについてはいかがなものか?」という意見でまとまりそうです。一部内容についても見直しをしたほうがよさそうだと考えられるところもありますが、それ以上に「条例文がややこしくてわかりにくい。シンプルにしたい。」と考えています。このような委員会での論点に基づいて、今度は学識経験者から話しを聞き、質疑応答をしました。
 条例案については「行政と市民(つくる会)との応酬の中で、このような案が出てきたと思います。」…正直、条例としてみた場合には評価できるとは言い難いが、けれども市民がこの条例づくりに関わり、行政とともにやってきた「市民自治」という観点で言えば高く評価される文章だ・・・という言葉をもらいました。条例文には手直しが必要だろうと考えていた委員会としても苦笑いが広がりました。「行政としては精一杯市民に答えてきた成果がつまっていて、それが条例文に反映されている」ということです。「論理的に組みあがっていない。」のです。

 さて、いずれにしても委員会としてどうしていくのか?委員誰しもが今日の意見を聴く会を開いてよかったとの感想は持ったと思います。それぞれ消化不良だった部分は学識経験者の見解を聞きながら、整理することも出来ました。3月議会で議決まで持ちこめるのかどうか?委員会にかかっているわけですが、そのためには短い時間の中で相当の頑張りが必要そうだと感じました。

 ところで、今日の委員会。「意見を聴く会」となっているように、今日いらして下さった3人の方は無報酬。参考人制度などを使えば手当なども出るのですが、手続的なことも考えて、無理を承知でお願いをし引き受けて下さったという経緯が在ります。そのために「正式」な招致人にはならないので、委員会を「休憩」にしなければなりませんでした。そこで委員会をスタートした直後に「休憩」となり、休憩中に意見交換をする…という手順で進められました。
 傍聴に来ていたインターン生は「今日の委員会議事録は「休憩」のあといきなり「再開」ってなるわけですよね・・・・・。」信じられないなあ…と笑っていました。私もそう思います。

投稿者 hisaka : 2004年02月10日

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