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2004年01月29日

「定常型社会」の構想。

 東京生活者ネットワークの新春の集いがありました。今年はゲストに千葉大学の広井良典さんをお招きしての講演でした。広井さんといえば岩波新書の「定常型社会」という著書。私もこの本には学ぶところが多かったので、今日の講演会を楽しみにしていました。
 とかく全ての物事が右肩上がりを前提としていたという部分は誰もが納得のいくことでしょう。政治の舞台を見ても、土木事業に偏った公共事業を推進してきた人たちも、それを「悪」として、社会保障や福祉を手広く手厚くと主張してきた立場の人たちも富の拡大を前提として発言をしてきました。要はどのように富の分配をするかの考え方の違いでしかありません。どちらにしても低成長時代、経済停滞時期にはとうてい馴染まないわけです。そのことを踏まえて、これからの社会構想をつくっていく必要があります。その一つが「定常型社会」です。

 日本は2006年以降人口減少社会に突入します、そして昨今の環境保全、環境調和の立場から生産消費の構造を見直す必要性が言われています。この二つが「定常型社会」の要素です。つまり人口がどんどん増えるとなれば、それに対応した社会資本の整備などが必要です。まるで戦後の日本のようにです。そのためにはガムシャラに頑張り続けることが求められるように思います。けれども人口減少、もしくは人口が横ばいのまま推移をするならば、物の豊かさについてはこれ以上を求めずしてもいいのではないでしょうか?
 そしてもう一つが環境との調和。人口増と環境破壊はこちらもつながりあっている問題です。地球環境をこれ以上悪化させない「暮らし方」、これは物の豊かさの問い直しということにもなります。要するに定常型社会というのは「もう少しのんびりしようよ」という社会だと私は捉えています。毎日にあくせくするのではなく、ちょっと自分自身の周りに眼を向けてみて、空や緑を楽しむ余裕を持ちながらゆったりと暮そうよということです。
 そのときに見えてくるのは、もっと自分自身の時間を大事にした働き方であったり、環境に配慮したエコ生活だったりするのかな…と思っています。今の日本と比べたら本当に質素な暮らし方だと映るかもしれませんが、オランダではワークシェアリングがとても進んでいます。夫婦共にパートタイムという働き方を選択して、子育てができる社会です。ここにはオランダの人たちの価値基準の問題も大きく関係しているわけですが、ワークシェアをすることである意味失業者を救えることにもなります。私はモデルとしてはいいなと思っています。

 とは言っても、現実を突きつけられれば、理想論ばかりを言っているわけにもいかず、社会は動いているわけで、その中で自分の考えていることをどうやったら実践していけるのかを具体化しなければならず…膨大な課題と大きな壁があるなあと思うのでした。

投稿者 hisaka : 2004年01月29日

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