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2004年01月23日

どこへ行く?!移動サービス

 移動サービスについてのフォーラムに行ってきました。
 多摩市、とりわけニュータウン地域ではエレベーターがない建物が多く、高齢化を迎えると階段の昇降問題が深刻になると予想されます。階段の昇降があるから、足腰が鍛えられて寝たきりが防げる…と言う人もいて、確かにそれも一理あるかな?とも思いますが、例え1階に住んでいたとしても数段の階段がある建物がほとんどで、車イス生活者にとっては非常に不便です。
 市内にも移動困難者、高齢者だけでなく障害者も含んで、移動の自由を保障するために活動をしている市民グループがあります。「行きたいところにならどこへでも、そして好きな時にいけること」これが人間らしい生活です。移動するという権利は基本的人権なのです。

 移動サービスの歴史は約20年前に遡り、現在では全国でおよそ2500団体ほどが活躍をしています。当初はそれこそ市民レベルだからこそ、半ばボランティア的に活動ができ、もちろん活動の意義は大きかったので、行政側もいわゆる道路運送法との関係についても黙認してきた経緯があります。しかしながら、高齢化が進み、介護保険の導入とともにそのニーズが急増してきたために、ビジネスチャンスの一つとしても捉えられるサービスに変わってきたのです。
 とは言うものの、移動サービスを行なっている市民団体の現状は、走行距離が増えれば増えるほど赤字になるのが実態です。今日ははじめてタクシー会社社長さんがパネリストだったので、生の声を聞けたのですが、いち早く介護タクシーの運行をスタートさせた社長さんの実感では「タクシーだけでは限界。全国でだいたい300社くらいの事業所が介護タクシーを運行しているけれど、それ以上には増える気配がない。」と言います。乗降介助部分には介護保険からの手当がありますが、採算がとりにくいのです。
 そう考えてみると、移動の権利を保障するためのサービスは非営利の団体、営利企業関係なく、できるところがお互いに仲良くすみわけできる分野であると思いました。今までは業界(圧力団体)VS市民という構造があるのかと見ていたのですが、実はそれほどに対立構造はないのかもしれません。むしろ対立しているといえば中央官庁で厚生労働省と国土交通省が互いの権限の中でどう話合いをつけていくのかが問題です。省庁同士の権限争いが実はこの問題には含まれていて複雑です。とても醜い争いに感じてしまいます。
 「どうあればいいのか。」という本質の部分の認識さえ一致できれば、あとは手続き的な問題でいかようにでもなると思うからです。なぜ、そんなことが簡単に出来ないのかと思います。そもそも本質の部分をどう捉えるかにものすごくズレがあるのかもしれませんが、それは自分の権限にたって捉えるからであって、「誰の立場に立つのか」が全くわかっていない証だと思っています。

 さて、そういう様々なルール的な問題も解決しなければなりませんが、地域は毎日動いているわけです。今後、ますます深刻になるであろう「移動の権利」を地域レベルではどのように支えていけるのでしょうか?基調講演をされた都立大学の秋山教授は地域にふさわしいシステムをつくりあげることが必要だとおっしゃっていました。そしてそのためには「目的と目標の議論をしっかりと積みあげること」だそうです。この‘しっかりと積み上げる’という部分、私ももちろんその通りだと思います。だけど、そこが難しい…。ここにはまた‘情報共有’というキーワードがあるのです。実は、誰がそのマネジメントをしていくのかという議論が不足をしていることに一番の問題があるのかもしれない。そんなことを感じました。

投稿者 hisaka : 2004年01月23日

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