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2003年11月30日

ワーカーズコレクティブという働き方

 地域で助け合いワーカーズとして活動をしている「つむぎ」の10周年記念イベントがありました。10年歩んできた歴史の簡単な紹介がありましたが、「過ぎてしまえばあっという間」と理事長は感想を述べていましたが、私はやっぱり自分たちの働きかたを探しながら駆け抜けて来たであろう10年という時間は長かったんだと思います。
 
 ワーカーズの働きかたは働く人一人一人、みんなが出資者で「雇われない働きかた」と言われるように、全員が参加しながら団体の運営を行っていきます。「市民労働」と言われることもあるように、地域社会の課題解決のために、地域の人たちが集ってスタートします。つむぎの場合は家事援助、介護支援、それから今年度からは市からの受託事業として産後支援ヘルパー事業も行っています。NPOと似ている・・・と感じると思いますが、NPOと違うのは、「みんなが経営者」というところにあります。それからつむぎの場合には行政からの受託事業まで手広く分野を広げていますが、多くのワーカーズでは行政からの仕事を請負うことは少なく、あくまでも自分たちの出資金とあとは利益によって事業をまわしていきます。例えば、今はなくなってしまいましたが、以前生活クラブ生協の拠点センター「であい館」のところに『パンの家』という天然酵母使用のパン屋さんがありましたが、ここもワーカーズだったそうです。
 
 ところで「失われた10年」と言われていますが、私はつむぎの10周年イベントにいながら、ふと思ったことは、一面的に『失われた』とも言えないということです。きっと、新しい働きかたであるつむぎにとっては、この10年間さまざまな壁にぶつかりながらも、自分たちの可能性を広げながら歩んできた10年だったはず・・・。つまり、地域社会の人とのつながりを核にした働き方というものが、暮らしに欠かせない安心をつくるために果たす役割はとても大きいからです。しかも、営利追求型ではないところにも安心感が増すのではないかと考えます。
 つむぎにとっての10年間は失われていなかったと思います。そして私たちが目指しているような地域社会にとっても、失われただけでなく新しい可能性が生まれてきたと考えればプラス思考になれるなあというわけです。お金では買えない価値をやっと自分たちで探せる時代に入っていることは憂慮すべきことではありません。

 実は、私は大学生の時にワーカーズコレクティブを探して、つむぎに電話をしたことがあります。「新しい働きかた」を知りたかったからです。当時はいつ電話をかけても留守電で、とうとう取材できずに終わった苦い経験があります。その時のことも思い出しました。
 私にとってはとても魅力的な働きかたです。しかしながら、この働きかたで自分自身が自立した生活を送れるようになるためにはまだまだ時間はかかりそう・・・これが現実です。

投稿者 hisaka : 2003年11月30日

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