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2003年11月13日

移動自由の権利

 つい昨日の朝日新聞にNPOの移送サービスについて、少し展望が開けそうな記事が掲載されていました。NPOなどの団体が行ってきた障害者や高齢者に対する移送サービスは年々需要が高まっています。特に多摩市でもニュータウン地域では注目されている分野だと思います。
 しかしながら有料の送迎サービスと言うことでタクシー業界中心とする民間事業者とどのような棲みわけをしていくのかが大きな課題となってきました。

 今日は移送サービスの特区をスタートした大和市からNPO法人の代表を講師に招いた学習会に参加してきました。特区として認められるためのハードルなど実体験を交えての話は非常に参考になりましたが。特区になったからこそ厳しい要件がついてしまったということについては時折、思いがあふれてか涙を目に浮かべながら話をしていたのが印象的でした。
 利用者の立場で物事を考えたいと思っている現場にいる身として、一番痛切に感じているのは「普通車で送迎をして欲しい。」という要望に応えられないと言うことでした。いわゆる車イスでそのまま乗降できるような福祉車輌の使用が条件として求められるわけですが、利用者に中には身体に障害を持たない知的障害の方々や精神障害者の方、それに高齢者でも車イス使用でない方、車イスを使用している場合でも「車イスでは乗りたくない」という方もいらっしゃいます。その方々にとっては普通車両のほうが安心して乗車出来るそうで、大型の福祉車輌では落ち着けないという話もあるのです。
 そのような現場にいるからこそわかる話をなかなか中央のお役人にはわかってもらえずに辛さを覚えているようです。先日の新聞では普通車輌も認められそうな方向性だったので期待したいところです。

 多摩市内でもハンディキャブが活躍をしています。しかしながら「移動自由の権利」という考え方はまだまだ定着していないように思います。だからこそ「すき間サービス」として、ボランタリーな組織がサービス提供主体として活動を続けてきた経緯があるわけです。高齢社会になってじわじわと注目を浴びるようになってきたからこそ「すき間サービス」がすき間ではなくなりつつあり、新たなガイドラインを設ける必要性が出てきました。既得権を保護するわけではありませんが、ボランタリィ組織の移送サービスはある意味で移動制約者の「移動自由の権利」を勝ち取るための運動であったとも言えます。その歴史を最大限評価してもらいたいと感じます。人に接するサービスは法律では割りきれない部分もあります。それに市民が事業者でないからこそきめ細かなサービスを提供できてきた面もあります(利用者本位のサービス)。でもそれに対して、道路運送法などにあてはめ「法律で決まっていますから。」と暗唱されてしまっては元も子もないのです。
 
 現実問題として、法整備にはまだまだ時間がかかりそうだ・・・というのが講師の方の見解でした。その意味ではシンプルなガイドライン的なものを条例で作っていけないだろうか?と考えているそうです。現在、大和市でも知恵を絞っているとの話でした。各地に条例ができたことで、国も法律をつくる…という動き方がこれまでにも例があります。「移動自由の権利」確保についてはどんな道のりをたどっていくのが望ましいのか…私も考えながら、国の動きを見守っていこうと思っています。

投稿者 hisaka : 2003年11月13日

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