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2003年10月21日

百聞は一見に如かず?!

  2泊3日の視察が終了。ほとんどが移動時間!?と行く前には考えていたけれど、実際に色々な場所を転々と見に行くのにはそれなりに時間が必要なのかなあ?と思ったり。でも、関西方面まで行くと午前中いっぱいは移動にかかり、視察1自治体あたりに2時間ほど・・・となれば、やっぱりぎりぎりなのかもしれないし。さまざまな思いを抱えながら、過ごしました。でも、トータルで見れば今回の視察は大正解だったと思います。

 さて、このご時世で議員視察に向けられる厳しい視線。相変わらず今年は宿泊費は1泊2食付で上限が1万5千円というルールにのっとっているので、事務局(担当職員)も視察のプログラミングにはかなり神経を使いそうだと推し量っています。
 とはいえ、私の所属する総務常任委員会でもメンバーはかなり高い問題意識を持ちながら行動をしています。私たちは別に宴会を催しているわけではありませんが、一応、みんなでホテルにて食事をするのには最低限の料金はかかります。この食事代の基準となると、結構価値観が左右するというか、人によって捉え方が違うわけですが一応今回の場合は「常識の範囲内で、それなりに。」ということで纏めました。委員の中でも「宴会のようなものはおかしい。」という声も上がっていたので、いわゆる飲み代については別途徴収をすることにしました。

 わざわざ視察に来てまで飲む必要はないだろう・・・という意見もあるかもしれません。でも、私自身はハメを外さない程度に、要は目的である「視察をする」というところに支障をきたさなければ議員の自己責任で行動をすればいいと考えています。実際、今まではどうだったのか知りません(噂では考えられないような事件もあったみたいですが・・・?)、現在は議員個々人の意識は随分と変わってきていて、‘乾杯’はしても食事も20時半には終了し、私はいつになくトットと就寝できた2日間でした。
 「明日の視察に差し支えのないように」というのは大義名分?美容と健康の回復2日間のようでした。でも、正直言って、不謹慎かもしれないけれど、多摩市を離れることはいい意味でリフレッシュになります。パソコンを始めとして、何にも考えずに部屋に帰ればベッドに入れるなんて幸せな生活だと思いました。市内にいるといい意味でも悪い意味でも「緊張感」をたえず持ち合せているからです。

 視察に行くと面白い場面に遭遇します。特に一押しと言えば・・・私が今回決算特別委員会で指摘をした「民生委員」。
 法律では民生委員は「無報酬」の非常勤特別職公務員としてのような位置づけです。けれども「無報酬」ではなかなか引受けてくれる人が少ないこともあり、多摩市ではわざわざ福祉委員会という制度を設けて、民生委員に手当を出せるような「不可思議なしくみ」が存在しています。とにかく民生委員は無報酬で活動をすることが大原則なので、それに基づいて今後の制度運用を考えてもらいたいものです。いづれにしても、かつては「名誉職」という位置づけがされていました。多摩市の中でも民生委員を何期か続ければ「市民表彰」の選考対象になるみたいですが、民生委員は熱心な活動を展開する人と、そうでない人との温度差もあり、やっぱり制度そのものから整理し直す必要があると思っています。

 今日、金沢駅前で私たちが目撃したのは「石川県民生委員ご一行様」とヒラヒラしている旗でした。あらら・・・これって「旅行かしら?」・・・何の名目の研修?親睦?旅行なのかはわかりませんが、とにかく、ハタメク旗を持っている若い男性は旅行会社の人で、集まってきている人たちの顔ぶれを見ると、確かに民生委員になりそうなご年配の方々が多く、どうも雰囲気的には「ツアーの団体旅行客」風。
 「WAO!これがいわゆる‘民生委員’ってやつなのかも。」と思ってしまいました。

 さらに、もう一つは羽咋市の視察にて。羽咋市の市議会の事務局の方が「ずいぶんと日程がたてこんでいますが、観光みたいな余裕はないんですね。」と。そんな時間の余裕はなし(と言っても移動時間がやたら長いわけですが)。しいて言えばホテルに到着して食事までの1時間半くらいとかが空き時間。羽咋市の場合はちょっとは観光する時間がなければ・・・との視察の行程をくんでいるようです。そんなことがあれば多摩市では一気に批判の的でしょう。 視察に行くという時、相手の自治体へ訪問をして、しっかりと話を聞いてくる(時には現場視察もあり)というのが形式みたいな感じがします。

 ところで、私が思うことですが、ある程度その‘まち’の雰囲気を知るためには観光という要素も必要だと思います。観光というと、「遊び」と受け取られる一面がとても強い感じがします。今までの視察=観光「遊び」みたいなイメージで受け取られること自体が問題だなと思います。そもそも観光とは風光を見て回ることですし、本当は私も自由時間があって現地の人、例えば商店街のおじさんとかおばさんなどと話せるような時間が欲しいなと思います。これは一見、観光「遊び」に見えるかもしれませんが、‘まち’を知るためにはとても重要な要素です。

 それに、多摩市は「観光」という点ではとても弱いですが、他自治体がどんな風にして人を集めようとしているのか?などの工夫を探すためにも「観光」は大事です。自分の‘まち’に人を呼びこむことで‘まち’を元気にする・・・そのアイデアを探すという意味で「観光」をするのなら、それはそれで私はいいのではないかと思っています。
 つまり先にも書いたとおり、「観光」と一言聞いただけで批判の的になってしまうこと自体問題で、「観光」という言葉を聞いたら即効イコール「遊び」と受けとめられることも寒々しいなと感じます。要は、いかにして自分たちの視察結果を地元に還元出来るのかが重要なわけで、その成果(視察内容の良し悪しは別としても)を市民にきちんと報告できればいいのではないかと考えます。公費で視察に行っていることを忘れなければいいのです。多摩市の場合には「誤解を受けるような行動は控える」ということで、観光「遊び」と思われるような要素を出来る限り排除しています。「観光みたいな余裕はないんですか?」という点、他の自治体からみればある意味で、ただ話だけを聞くだけの余裕ない視察に感じるのかもしれません。(実際そう思いました。何せキツキツのタイムスケジュールでした。)
 
 話を聞いていると、羽咋市の市議会への信頼は随分と厚いような感じが…市民は議員に対しても「温かい」感じがします。つまり何が違うかと言えば投票率。なんと市議会議員選挙では80%の投票率を記録しているそうです。市民たちが議員に対して、ある意味では「お任せできる」だけの信頼感が強い感じがしました。

それは羽咋市の視察テーマである「まちづくり基本条例」・・・多摩市で言えば市民自治基本条例なるものを先駆的に制定しているわけですが、この制定にあたって「住民投票」をいれるのかどうか?について、市民の間で議論をしたところ「議会があるので、住民投票みたいなことをすると、議員さんに悪い。」というニュアンスの発言があったことにも伺えます。最終的には住民投票を設けてはいるのですが、市民の意識としては「議員がいれば十分」と頷ける状況があるみたいです。

 これは多摩市のような都市部との大きな違いかもしれません。民生委員のことにしても、市議会のありようについても、地域ごとにその特色や位置づけも変化することがよくわかった…と変に納得してしまいました。
 いろいろと情報入手の手段は広がっているけれど「一見に如かず」というのはよく言い当てた表現だなと感心しました。

投稿者 hisaka : 2003年10月21日

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