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2003年09月15日

市民が提案する図書館像その②

  さて、昨日の続きで「市民が提案する図書館像」です。今日も、私はベルブ永山に行きましたが、図書館は大繁盛です。それに、参考書など持込みで勉強をしている高校生を中心に閲覧席は満員。ちなみに、図書館では中学生、高校生を‘ヤングアダルト’と位置づけて選書などを行うそうです。
 そして、もう一つ、おそらくリタイアして地域に戻ってきた男性陣がたくさん。ソファに座って新聞や雑誌などなどに目を通している姿も圧倒的多数。平日なども開館前から図書館付近をふらっと歩いている男性の姿を見かけます。
 つまり…図書館はただ本の貸し借りをして、調査をするだけでなく、気軽に入りやすい「地域の居場所」であるというわけです。公共施設のため、入場料も無く、そして入ってしまえばお気に入りの一冊を見つけるもよし、何となく本に囲まれる佇まいにぼーっとするもよし…背表紙だけを眺めるだけでも面白い…もしくはカウンター越しに仲良くなった職員さんとお話するも楽しみの一つだったりして…というわけで、図書館の果たす役割は多様なのです。

 という諸々のことに注目をして、「市民が提案する図書館像」ですが、やはり成熟社会ゆえか?要求度は高い。特に注目はビジネス支援部門の強化です。地域活性化につながるビジネス支援と言うことでコミュニティベンチャー、NPOの企業支援を中心に相談業務も含めて図書館で請け負ってしまおうというわけです。つまり、資料などを揃えておき、相談員を配置する…何となくNPOセンターで現在行っている業務のようですが、‘縦割り’の壁さえ崩せれば、かなり図書館が有意義に使えそうです。
 ところで、図書館にも市民向け講座があり、公民館主催のものあるし、女性センターでも市民のための一言でまとめれば教養講座がありますが、こういう生涯講座系のものは全て一本化できないのでしょうか?どこでどんな講座が行われているのかが、まったく分断されていてよくわからないのが現状です。これを一本化できるようシステム化すれば、かなり効率もよく、さらには現在構想としてあたため中?の「市民大学」にもつなげていけそうに思います。
 
 ここで忘れてならないのが図書館の存在意義。図書館とは知の宝庫であり資料の収集により地の蓄積をするところ。つまりどんな講座にせよ、その実績を図書館に集めれば、それこそ貴重で膨大な市民、まちづくりの軌跡を知る資料になる気がします。

 そして、注目は大学生の意見ですが、さすがに子ども心がわかる年頃…「今、調べ学習とかでかなり図書館の活用とかを勉強しているみたいですが、正直、図書館が‘勉強をする場所’として堅苦しい場所になってしまわないように。図書館に来ると‘楽しい!’ということをもっとアピールしてもらいたい」…つまり気楽さと安心感がある、なにかわからないことがあれば頼れる場所としての「頼り甲斐のある図書館」であり、「(調査などの)課題が無くても、ふらりと寄り道したくなる図書館」がいいというのが意見です。これには同感でした。

 市民が提案する図書館も究極…つきつめるとやっぱり「ひと」が大事だという結論が導き出されるようです。親切な職員、館内のレイアウトに配慮して、見た目にも楽しませる図書館(特に子ども図書館)、資料などに詳しい職員など等…図書館運営に欠かせないのは市民に直接サービスを提供する職員です。なぜなら図書館が地域で担っていく、まちづくりの情報発信の拠点として重要な役目を果たすことが求められるからです。
 「貸してあげるといった雰囲気が嫌だ」という市民の声もあります。やはり、ルーテインワークのお仕事…図書館の「お役所」化現象が進めば進むほど、市民との距離が遠ざかるみたいです。
 
 ところで移動図書館「やまばと号」ですが、今回の行財政診断白書では重点見なおし11事業に入っていました。しかしながら、これは利用者が減少しているから…という前にもっと切実なる課題があるみたいです。それは現在のやまばと号の車両がディーゼル車であるということです。つまり、車両買い替えをしなければ、どんなに利用者がたくさんいたとしても継続することは出来ないのです。白書にはそのような事情は一切載せられていませんでした。

 とにかく市民にとっていい図書館を創るためには行政側(図書館管理側)と市民とがいきいきした関係である必要があると強調されていた基調講演をしてくださった先生の言葉が印象的でした。互いに意見をぶつけ合い、ときには批判もしなければ、より良いものなんて生まれないというわけです。
 これは図書館だけに限らない!私はそう思いました。市民の提案を行政がどこまで受容できるのか?市民と議論をし、対話を積み重ねながら、図書館もまちも発展していくのです。

投稿者 hisaka : 2003年09月15日

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