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2003年07月30日

財政危機をのりきるためには・・・・

 午前中に八王子に視察に行きました。テーマは補助金の改革です。八王子は今、約3000億円もの借金を抱えているとの話です。財政再建プランを立てて、その一環として補助金のあり方を見なおしました。
 補助金改革の流れは、すでに6年前の「行財政推進計画」から始められ、1999年には外部監査制度の導入もしています。今回の改革はただ単に補助金の一律カットなどをするのではなく、全てゼロベースでの見なおしで、補助金そのものの意義から議論を始めました。見直しには公募委員2名を含む5名の市民検討会で行われました。
 その提言に基づきながら、既存補助金のうち、昨年度は26件、今年は13件を廃止しました。そして今年度からは新しい補助金制度を試行しています。「市民企画事業補助金制度」という名称で、公募型でコンペ方式により最終的には市民選考会で補助金交付を決定する仕組みです。
 改革の目的は、新たな財源が見つからない中でどのように、時代に合った市民活動等への補助を行っていくのか?という課題を解決するためです。補助金の既得権化を改善、防止し、そして市民への公平性を担保するためには当然のことでしょう。

 ・・・・と午前中にこのような視察に行きましたが、タイミング良く、今日は会派の代表者に対して、来月の5日にプレス発表される「多摩市行財政診断白書」の説明がありました。
 これについては、28日月曜日に開催された学識経験者、公募市民で構成する「行財政診断市民委員会」で説明されたことと、ほぼ同様の話があったようです。何せ、例えば公共施設の維持管理経費ですが今後20年間では460億円が必要だと推計されています。そして今までの計画通りに事業を進めればあと7年後には最大で168億円の財源不足が予測されています。来年、再来年でさえも34億円の財源不足なのです。その中で本格的な改革に踏みきらなければならないことは明らかです。市民自身もこの状況を踏まえ、一緒に解決策を考えなければなりません。

 もちろんこれまでの市民サービスが、当然のごとく継続されるわけではありません。そのことを認識しなければならないと思います。物議を醸し出すことは予測されます。でも、だからと言って、何も手をつけずに波風も立たずに丸くおさめようとしたら、それこそすべてのツケは未来に回されていくだけです。
 市民側の言い分としては行政がこれまで無駄遣いをしていたとか、議会がちゃんと監視してこなかった・・・ということはあるでしょう。あって当然です。けれども今は「これからどうすればいいのか?」のほうが本当に切実な課題です。過去は反省材料として捉える中で、私は未来を考えていきたいなと思っています。
 景気が右肩あがりの時代には、誰も今のような不況を想像していなかったと思います。みんながバブルに浮かれていた先に、「今」があるのです。私はバブル期には中学生。その意味では私の世代や、それ以下の世代がバブルの責任を負わされることは迷惑な話です。でも、そんなこと言い出したらキリがないのです。
 「あの時はこうだった・・・。」とだけしか言わないのは、とても消極的です。改革については将来を見据えて、現実を直視して発言をする必要があるでしょう。責任を追及するだけでは、もはや拓けないと感じます。

 その意味では、私は情報を市民にも届ける努力が必要だと思います。特に重点検討対象事業として検討することになっている課題など、市民にも伝えながら、みんなで考えていくような状況づくりの工夫をすべきだと思います。月曜日の市民委員会で示されたのは下記の通りです。

①地域集会所関係施策 地域集会所(管理組合集会所を除く)の建設や維持補修は、これまで市が行なってきたが、今後は維持管理を含め、地域の自治会などに委ね、合わせてニュータウン地域の集会所改修に関わる補助金も見なおすべき。
②高齢者慶祝事業(長寿祝金・長寿を祝う会) 長寿祝金は廃止を視野に入れて検討。長寿を祝う会は多様な手法の開拓や利用者の選択を広げる仕組みなど、時代のニーズに合わせた手法の検討が必要。
③高齢者食事サービス 社会福祉協議会実施の食事サービスへの市の補助金は廃止を検討。市が実施する食事サービスは対象者を限定し、充実する方向だが、委託席に今後競争の要素を取り入れる方向で検討すべき。
④ひまわり教室 現在のひまわり教室は、障がい児の早期発見、早期療育の仕組みを地域にどう構築するかの議論をまず行い、その中で位置づけや実施主体を再検討すべき。
⑤公立保育所 保育ニーズの推移に留意しながら、子育て支援ニーズへの対応に機能転換を図る方向で検討すべき。
⑥学童クラブ 民間委託などの方向で検討すべき。
⑦準要保護世帯基準(低所得者層の基準) 白書では他の基準との比較分析を行っており、引き続き検討すべき。
⑧市立幼稚園 廃止の方向で検討すべき。
⑨学校給食 民間委託の方向で検討すべき。
⑩市民保養所「ふじみ」 廃止の方向で検討すべき。
⑪やまばと号 廃止の方向で検討すべき。

 これに対して市民委員会のメンバーが一体どのように議論をし、そして方向性を出していくのでしょうか?月曜日の第1回市民委員会では2名しか傍聴者がいませんでした。私も月曜日は勉強会だったので、今後は出来る限り傍聴に足を運びたいと思っています。

 この重点検討対象事業について、ただ項目だけ見ただけでは何もわからないでしょう。項目だけ見て、驚いて、そして例えば「廃止しないで欲しい」というような声も上がると思います。でも私自身は、みんなが冷静になって欲しいと思います。なぜ、改革をしなければならないのか?落ちついて、そして市民検討委員会の議論に耳を傾け、その上でみんなが協力をしていく姿勢をまずは持たなければ変わっていけないと思います。
 もちろん、もっと他の分野で見直すべき…という意見もあると思います。それはそれで、冷静な対応で意見を出していくべきです。みんなが感情的になったら、改革は進まない。「今」は「未来」のためにあることを忘れないで欲しいと思います。

投稿者 hisaka : 2003年07月30日

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