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2003年07月09日

おいしい給食はチームワークで

 日野第一中学校に伺いました。「給食」の視察です。日野市の学校給食は自校方式、一学校一栄養士、地産地消(地場野菜の活用)の3つでPRしています。多摩市ではセンター方式なので、なぜ日野市へ行くのかという疑問もありそうですが、「おいしい給食」を試食しに行くだけでなく、実は日野第一中学校は昨年から民間委託により給食調理が行われているので、その様子を見に行くことが大きな目的でした。
 
 まずは、美味しいと噂される「自校方式」の給食。メニューは梅ご飯、ジャガイモのきんぴら、ほっけ、大根のお味噌汁、冷凍みかん、ヨーグルトでした。食器は強化磁器でした。強化磁器の導入は学校ごとだそうで、まだアルマイト食器を使用しているところが大半だそうです。市職員の方も「アルマイト食器は汁物などを入れると熱くて持てないという難点はあるけれど、現状ではまだ一斉導入は出来ていないんだよなあ…でも、メラミン食器は安全性が色々言われているしね」とおっしゃっていました。同じく財政難。アルマイト食器に比べると強化磁器食器はかさばるので食器保管庫も交換をしなければならずに、なかなか厳しいみたいです。けれども、もちろんメラミン食器を導入するなんてことは選択肢にないようです。

 給食は美味しくいただきました。強化磁器食器も使いやすかったです。確かに食器準備や後片付けのことを考えると重いですが、食べる分には何ら問題なし。今日のメニューでは地元の大根を使用していました。

 さて、民間委託化して何がどう変わったのか?を尋ねました。予算的に言えば2校を委託して約4千万円の節約につながったそうです。これはほとんど人件費相当。ちょうど調理員が4名ほど退職する時に一校ずつ民間委託化できる計算になるそうです。
 民間委託前には職員組合の理解を得るのが大変だったようです。もちろん保護者も同様です。しかし、栄養士さんの一校一人配置は変わらない方針で調理場を全て民間業者が担当はするものの献立や食育部門は栄養士さんがしっかりと監修しています。その限りでは、調理方法は変わるけれど学校給食そのもの在り方が変更するわけでなく、今では民間委託への理解も得られるようになっています。

 むしろ民間委託に変わり、栄養士自身は調理員の人数が多くなり、衛生面に行き届くようになったと言います。以前は職員5名だったのが、今は正社員3名、パート社員5名体制だそうです。パート社員についても一年以上の経験を要すことを委託条件に提示しているとのことでした。長期休暇の時には、前後4日間くらいで掃除や準備をしてもらうそうですが、全ては栄養士の指示に従います。
 調理ももちろんですが、栄養士の指示(指示書)が欠かせません。調理については野菜の切りかたなどを含め、当日の2日前から丁寧に打合せをするそうです。とにかく栄養士と調理場のメンバーとの人間関係を円滑にしておかなければ、そのことが「味に響く」と言います。「おいしい給食をつくるためにはチームワークが必要」なんだそうです。
 そしてもう1つ、民間委託にして調理用の消耗品についても全て事業者が負担してくれるので、透明手袋などにかかっていたコストも削減されたようです。ちなみに委託料は約1,900万円のようです。
 民間委託してからは、事業者、行政、学校、保護者で協議会を開き、給食について意見交換会も行われています。民間委託化して、むしろホープンになったと言います。

 ところで、栄養士は職員会議や各学年1名ずつの先生が出て組織している給食委員会などにも参加し「食教育」への理解を求めながら、いろいろな試みをしています。
 それが「セレクト給食」。月に2~3回ほど献立を選べる日があります。2つの中からクラスごとにどちらか選択するのです。それぞれのメニューには栄養素に特徴を持たせていて、生徒自身が「どちらを選ぶのか?」というクラスの中での話合いなどをしながら食に対する関心を深めていこうというわけです。これも自校方式ならではのことで栄養士のアイデアです。

 つまり民間委託に変わっても、「学校給食」自身は以前と変わらず続いています。栄養士がしっかりとマネジメントしています。そのことで質の保持については保証されていると言ってもいいでしょう。いかに民間委託先の事業者や調理員などとの関係性をよくしていくのか、栄養士のコミュニケーション能力が問われているなと思いました。
 
 やっぱり給食は自校方式がいいなと改めて思いました。そして民間委託については、サービスの質をどのように行政として担保していくかの仕組みを保証しなければなりません。日野市では栄養士が職員であること、それから協議会を設けてオープンな体制づくりをしていることがそのことにあたるのかもしれません。
 経費節減と民間委託。契約方法などももう少し詳しく聞けばよかったかなと思いましたが、聞きそびれてしまいましたが、とにかく経費削減だけに重きを置くだけでは失敗してしまいます。日野市には学校給食ついてのポリシーが確立しているので民間委託がスムーズに出来たのではないかと思いました。

投稿者 hisaka : 2003年07月09日

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