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2003年06月22日

子どもも大人も一緒に地域育て!

 日新カモミールの10周年記念シンポジウムに参加しました。2月にベルブ永山でKAWOの会のシンポジウムがありましたが、そのときのパネラーの一人が遠藤正さんで親子体験活動グループ「日新カモミール」の創設者でした。一度、その活動を見てみたいという興味があったので、今日はとても楽しみでした。
 会場の府中市立日新小学校は校舎の両側にテラスのある明るい学校でした。玄関を入るとカモミールの子どもたちが「いらっしゃいませ!どうぞ」ととても元気な声で迎え入れてくれました。受付の子どもも「どうぞ、こちらにお名前とか書いてください」と丁寧な応対をしてくれました。「よかったら大学の名前も・…」と言われました。(笑ってその場を凌ぎました…)

 今日は前半が週休2日制の仕掛人?今は文化庁文化部長の寺脇研さんの講演(寺脇さんは以前は文部省にいました。)、後半に習志野市立秋津小学校で地域開放している余裕教室の運営をしている秋津コミュニティの岸裕司さん、帝京大学の佐藤晴雄さん、そして遠藤正さんで「土日は子どもと遊々自適~地域と学校の連携による生涯学習の実践」をテーマにしたパネルディスカッションを聞くことが出来ました。
 官僚の立場で教育改革に取組んできた寺脇さんの話は非常に熱がこもっていて、週5日制を導入したことへの思いをたっぷりと聞くことが出来ました。印象的だったのは、学校5日制は目的ではなくて手段だということでした。学校を地域ぐるみで良くしていこう、親が地域が子どもに関心を向けさせる手段が週休2日の目的だときっぱり言いきったことです。「ゆとり教育」には批判もあるけれど、そもそもの思いを聞くことが出来て、週休2日の見方が少し変わりました。
 憲法では大人には子どもを見る「義務」が書いてあるように、子どもたちを育てるのは親、先生だけでなく地域の大人たちの役割だとおっしゃっていました。今は、子どもの6倍の大人がいるのだから、地域はもっともっと良くなれるはずなのに・…と少々ため息まじりの本音もチラリと見えました。
 
 学校評議員の制度も、職業的には校長先生がいても、決して学校は校長先生の私物でない…みんなで学校をよくしていこう、大人たちでいい学校づくりをしていく責任を分かち合うために導入したんだと言います。実際には形骸化していると言われがちですが、そもそもの目的を聞けば納得です。
 「まだ始まったばかりで、この制度がいいのか悪いのかは歴史が証明すること」という言葉には、‘よかった’と証明されるように行動をしていかなければならないと本人自らの決意も表れているように感じました。実際に寺脇さんは今、京都の小学校で活動をしているそうです。

 パネルディスカッションは実践取組の例でした。特に習志野の例では「お父さんの居場所づくり」をコンセプトにしていて、非常に面白い試みでした。見学に行こうと思います。場所柄も団地の中にある学校ということで多摩市にもちょっぴり似ている気がしました。余裕教室を地域開放し、そこは市民が運営している・…という所も一見の価値がありそうです。岸さんの「自分の子どもを幸せにするためには他の子どもも幸せにしなくてはならない!」との言葉には感激を覚えました。

 実践取組の話はどれも非常に参考になるものでしたが、たった一つ私が気になったことがありました。それは「子どもの参画」でした。例えば子どもたちと一緒に活動の反省会をしたり、活動企画を子ども主体で行うこともあるのかが気になりました。そこで何か子どもたちの意見をダイレクトに活かす仕組みがあるのかを質疑してみましたが、残念ながらその視点はまだカタチになっていないようでした。

 大人たちの目線から判断して子どもたちのためにいいコトをしよう!…そしていいコトをしてあげた!と満足をしているだけでは不十分。やぱり大人と子どもがともに評価したり、反省しながら進める実践が目指す姿であると思います。

 終了後、50歳くらいの男性が近づいてきて「子どもの視線は気にしなくていいんだよね…。今の子は何もないところから創り出すのって出来ないんだよな。時間かかるんだよ…」とわざわざ言いに来たのです。確かに時間はかかると思います。でも、私はいつも一番大事にしたいのは子どもの主体性や子どもの自発性だと考えているので、大人が準備をしてあげるのではなく、子ども達自身がいくら時間がかかってもいいから、自分たちの手で生み出すこと…その体験を大人が応援することを取り入れる必要はあるはずです。初めは‘お客さん’の存在かもしれないけれど、活動しながら、‘お客さん’を脱皮することが大事だと思います。あえて反論はしませんでしたが、「今の子はゼロから作り出すことってホント出来ないんだよ…。」ということを繰返しおっしゃっていたのには、何だか虚しくなりました。
 その一方で、帰り際、一人の女性が私のところに駆け寄って来て、「いい質問ありがとうございます。今まで欠けていた視点でした。本当にありがとうございました。」と頭を下げて下さったのです。とてもビックリしました。そのことに救われて、私は再び元気な気持ちを取り戻し、帰り道についたのでした。

 地域ぐるみでの子ども育てに必要なことは、まず地域の大人たちが地域人としてのキャリアを磨くことです。そのことが地域の教育力に結びついていくことを実感できたシンポジウムでした。子どもたちが地域の大人を「大切な人」「第2のお父さん」と呼んでいる様子が物語っていると思います。 

投稿者 hisaka : 2003年06月22日

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