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2003年05月22日

多摩市のバランスシート

  20日付のたま広報に多摩市のバランスシートが載せられていました。市民に多摩市の財政状況を理解してもらおうとの努力が感じられます。市民の要望に応えきれない(もちろん、今までも全てに応えてきたわけではなく、むしろどうやって税金を使ってきたか疑問を持つ人は多いはずですが)、行政がお手上げ状態にあることを市民と共有しなくてはならないほど行き詰ってきたわけです。今まで通りに、くらしの安心や安全を行政だけでは守れなくなっています。
 なぜ、情報公開されるのか・・?という背景を把握しておく必要があります。どんどんと情報公開をしていこう!という積極的な波にだけ乗っているわけではありません。そのことを考えると、情報がオープンにされることへの喜びもちょっと減ってしまいます。
  さて、このバランスシートですが、実は多摩市の財政事情はこれだけを見ても全体が把握出来るわけではありません。「バランスシートから分かること」として市の説明が載せられていましたが、ここには「今ある資産に対して86.3%の支払いが済んでい」ますとしてありました。ところが、例えば、普通会計のバランスシートの欄外「※多摩市土地開発公社に係る債務負担行為に関する情報」に注目をする必要があります。
 土地開発公社は、将来多摩市が買い取ることを前提にして土地を購入するところです。現在は土地開発公社が所有している土地の購入代金は38億円で、さらには開発公社が土地を取得するためにの銀行借り入れに市が保証人となっていて、その負債額が39億円あるわけです。つまり、これを多摩市は全て引き受けなければならないのです。これが約束されているのです。要するに土地開発公社に係る債務負担行為・・・これはバランスシート欄外の重要情報です。バランスシートに直接反映されない数字、「隠れ借金」であるからこそ、欄外スペースにはしっかりと情報公開されていることを見逃すことは出来ません。
 でも、どうでしょうか? この「隠れ借金」部分が一応欄外に書いてあるとしても、土地開発公社がどんな組織で機能を持つのかの情報が市民に行き渡っているとは言えません。さらっとしか見なければ、見過ごしてしまいそうです。なぜこのバランスシート外にあえて土地開発公社の情報を載せたのかについても解説をしなければなりません。その意味では、このように財政情報がより市民にわかりやすく・・と公開されたことは大歓迎で第一歩だと思うわけですが、内容についてはまだ不十分と言えるのです。
 確かに今後の支払い(借入等)は13.7%と低くなっているかもしれませんが、それはとても表面的な部分でしかありません。本当の情報公開になっていないなというのが私の感想でした。せっかく情報を公開するのなら、もっと踏みこむ必要があります。議会でも多摩センターの交通公社の問題なども指摘されていましたが、多摩市の財政事情はもっと深刻な状況にあるのです。 

投稿者 hisaka : 2003年05月22日

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