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2003年05月07日

自治ってなあに?

 川崎市民アカデミーの「川崎学Ⅱ」というタイトルの講座で多摩市の市民自治基本条例のことを話しました。この講座は「自治体の憲法・自治基本条例をつくろう!」というタイトルです。4月から7月までのスケジュールで毎週一回行われる講座です。基本条例を学ぶということで3つの事例を研究したようですが、杉並区、町田市、そして最後が今日の多摩市でした。
 川崎市民アカデミーというのはいわば‘市民大学’のことで生涯学習の拠点ですが、やはり川崎市!だけあって、財団法人、市の外郭団体により運営されています。何せ私も、行きの電車の中で川崎市の議会広報を見て予算規模が1兆を超えるというだけで、恐れ多く思い・・・そして川崎市に多摩市の事例がどう参考になっていくのか?・・・多摩市の事例から何を問題提起したらいいのかを急に悩んでしまいました。多摩市でも「市民大学構想」がありますが、そのことともリンクさせて考えながら楽しい乗車時間を過ごしました。
 さて、場所は生涯学習プラザで武蔵小杉にありました。建物内に入るともちろん、どちらかというと高齢者の方ばかりで、なるほど、若い人の参加出出来る時間に講座を設けることの難しさを目の当たりにしました。
 私も開口一番ですが、「自治体の憲法をつくろうとしているし、市民自治を考える機会にするのがこの講座と思うけれども、この時間に参加できる人ってどうしても限られてしまうのは残念です。」と述べました。みんなで創るのが市民自治だとすれば、昼間の時間にはなかなか参加困難な世代もあると思います。そのことはナンセンスだと感じたのです。第一に平日昼間に仕事をしている人はどうなるの?ということです。
 私は多摩市の事例としてやはり強調すべきワークショップ形式での市民案策定とパートナーシップ協定の意味や意義を話しました。結局条例の中味そのものは川崎の市民たちでつくるものなので、多摩でつくったものがそのまま当てはまるわけではなく、多摩市の事例発表とは言え条例文を解説しても無意味だと考えているからです。どんな議論を経て、今の‘かたち’に完成したかをかいつまんで話しました。
 わりと「新鮮で面白かったです。」という意見を聞くことが出来てよかったと思います。私が伝えたかったのは「自治ってなあに?」ということでした。実は「自治、、、、」とは言ってはみるものの、自治ってとても小難しくてわかりづらい言葉で、「子どもにわかりやすく‘自治’を説明するには・・・。」を個々人で考えるところから始まるといいたかったのでした。当然ながら、個々人によって自治の説明の仕方は違うと思うわけですが、私に限って言えば、最近は「自分の力、自分たちの力で‘暮らし’を守っていくこと」と理解しています。例えば警察の例を出します。警察は例えば違法駐車を取り締まるけど、これは自分たちで出来ないから警察というところにお願いして、お金を払ってやってもらっているんだよ・・・・ということです。
 私は自治基本条例の策定に関わった人たちが、そのことをどれだけみんなに広めていくのかが勝負だと思っています。もちろん多摩市でも同様です。
 なぜ今自治基本条例なのか?これを制定したらどうなるのか?などを含めて、まずは家族の中から理解者をつくり、そして広げていくことが、まずもって重要なプロセスであると考えています。例えば私の妹は全くこういうことに関心がないわけで、まずは妹に理解してもらえるように語れる自分になりたいと思うわけです。

 この講座は単なる学習講座だったので、タイトルの「自治基本条例をつくろう!」にとらわれすぎていて、途中ものすごく招かれ講師としては失態をみせてしまいました。途中で「この場で条例をつくるというわけではなく、ただ何となく参加してみた。」「面白そうだと思った。」という意識の人たちが、市民大学の単位の一つとして講座を選択していることに気づき、焦りました。そこから手法を変えて、「どうしてこの講座に参加をしたか?」ということで今日の受講者二十名ほどの方の意見を聞くことにしました。
 でも、そのことが成功した気がしました。何せ、二十人もの人がそれぞれの思いを話すのには時間もかかり、聞くほうも忍耐が要ります。多摩市のワークショップでもとにかく根気強さ、忍耐力の精神力が試されたと思っています。そしてそのことで市民自治の面白さや苦労を味わうこともできたとも考えます。今日の二十人二十色の意見も受講生がそれぞれの消化の仕方をしたのかな?と思うわけですが、これまで一緒にこの講座を受けている仲間同士で話合いをする機会を持たなかったという点ではちょっぴり貢献できたかなと思っています。
 私は自分の話の中での問題提起としては川崎くらい大きな規模だと‘自治の規模’ってどうなるのかな?ということが自分自身でもちょっと想像がつかないし、もしかすると区単位で自治基本条例的なモノが必要になるかもしれないということを言いました。そして私がいつも思うこと「自治基本条例となにか?」「なぜ策定するのか?」ということを誰がどこまで議論を深めたのか?ということについても指摘しました。
 この私の問いかけについて「条例とは何か?」というのは最初にして最後の解答なのかなあ・・・と意見をくださった方がいました。色んな形で民意を吸収する・・・そのルールをまとめておくということかもねえ・・・非常に私にとっての正答もない部分に答えてくださった方もいらっしゃいました。
 もちろんこの講座に参加された方の問題意識は高く、行政の透明性をはかりたいという思い、税金の使い方、生かし方を自分たちで考えたい、新しい時代を考えたいという積極的な意見がとても多く出されました。
 自治基本条例には色んなつくり方があります。多摩市では市民ワークショップがありました。川崎では既に職員が勉強会等をしているようで、実は次回の講義には職員からの「川崎市の検討状況」の発表があるようです。さて、この検討状況などを受けて、受講生たちがどう反応するのかな?というのは楽しみです。少なくとも一筋縄では行かなそうだな・・・・と思ったからです。
 これからの時代には『自治』の在り方が問われるのだと思います。多摩市があえて「市民自治」とつけたのは、これまでの自治というと「住民自治」と「団体自治」ということで語られてきたわけですが、まさに新しい時代の自治として認識、自覚するためだと考えています。
 
 多摩市の中の動きもまだまだこれからです。動きを創っていくのは一人一人の市民でしかありません。でもみんなに強要するものではありません。自主性をもって動いている人たちをまずは応援しながら、それこそ‘みんなで創るまち’を目指していくのだと考えています。

 自治は学ぶものではなく、実は自分たちでつくるもの。最近の私はこう考えています。そして自治の原則って何かな・・・と言われたら「差別しないこと」って答えています。的外れかもしれないけれど、今の私はみんなでやっていくことだからこそ「差別しない」が原則としか考えられないと思っているのです。

投稿者 hisaka : 2003年05月07日

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