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2003年04月30日

手づくりのコンサート

 「二人が奏でる世界で一番素晴らしい空間へ」というタイトルで、パルテノン多摩で永井由里さんと水月恵美子さんのコンサートがありました。去年に引き続き2回目です。今年は選挙とぶつかってしまって、ほとんどお手伝いできなかったのですが、当日に少しだけスタッフとして参加しました。会場を借りる費用などを考えれば、ほとんど演奏料が払えないような状況ですが、それでもこのコンサートをつくる意味を共有しあっているので2度目を実現することが出来ました。去年よりはお客さんも増えました。
 演奏者の永井さんは驚くほどの経歴をお持ちの方です。市民グループの一人の方を通じて知り合いました。このコンサートは「もっと生活の中に音を楽しむ文化をつくりたい」との思いから出発しています。これは大人向きのコンサートですが、5月の中旬には親子向けコンサートもやります。去年も同じようなプログラムで、子どもと大人のコンサートをしました。特に子どもに対しては、いい音を知ってもらいたい!との強い思いがあり、入場料は破格です。
 去年、親子向けのコンサートの時に永井さんが言いました。「子どもが体をゆすったり、声を出したりすることを気にしないでください!音には心があるので、不安な音があれば子どもは落ち着かないで奇声を上げるかもしれないけれど、そのことはいいですから。」私はこの一言を聞いて以来、さらに永井さんを尊敬するのですが、実際に子どもはとなりのトトロの曲が始まると席をたって、うれしそうに会場内を歩いたり、思わず永井さんの近くにまで走りよったり・・・という場面がありました。それでも永井さんは少し笑顔になりながら、決して手を抜くことはせず最後まで曲を弾き続けるのでした。そして演奏会が終わっても、余韻がありました。子どもたちがグランドピアノをのぞきこんだり、ヴァイオリンを眺めたりするのにとっぷりとお付き合いしていました。「子どもの反応が一番なのよ!」・・・永井さんは子どもに‘いい音’を広めながら、‘音’を創り出しているんだなあと私は考えています。

 パルテノン多摩のホールを見て、「こんなに素晴らしいホールがあるのにもったいないわ!」と由里さんは言います。市民側も「自分たちの‘まち’のホールだから自分たちでプロデュースしていかなくちゃ!」との発想から、「自分たちが聞きたい音楽を自分たちの手で探し出し、そして自分たちでコンサートをつくり、それを自分たちだけのものにはしないで、みんなで楽しめるような場所に変えていこう」としています・・・たいていの場合は民間の事務所などの仲介で演奏家を探し、そして演奏会を開くのでその分、コストが高くなってしまいます。でも私たちはみんなボランティアで、コンサートをつくります。演奏者も含めて、‘思い’をカタチにしています。
 お客さんが満員になるのには時間もかかります。でもお客さんの数ではなく、私たちのこだわりは「来てくれた人たちがどれだけ満足して帰ってくれるのか?」にあります。永井さんの音は本当に素晴らしいです。私は素人ですが、永井さんの表現力には圧倒されます。水月さんも同様です。水月さんはフィンランドで学ばれたとのことですが、彼女のピアノは透き通っています。「清潔感のある音」という表現がピッタリです。
 私自身も久しぶりの心のビタミンを吸収した感じです。市民グループは儲けるためにコンサートを開いているわけではありません。そのことはもしかするとなかなか理解されにくいのかもしれませんが、プロの演奏家含め、みんなの思いだけで実現しているコンサートです。だからこそ、スタッフができることは、なるべくたくさんのお客さんを集めることなのですが、まだまだその点では私も力不足。次回はもう少し、お客集めに貢献しなくちゃと思っています。

投稿者 hisaka : 2003年04月30日

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