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2003年04月08日

政策その② 学校を地域に開く

 第一小学校の基本設計に向けた市民検討委員会に参加しました。今日は実際に平面配置図を考えました。現存の校舎を残しながらの建替えなので、敷地面の制約もあり、全く思い通りにいかない・・・前回までコンセプトを様々出していた時の楽しさとは違い、一気に現実をつきつめられ、ションボリでした。建替え手順としては、まず体育館とプールを取り壊すことになっていました。私たちのグループでは、どうしても敷地の西側部分に体育館を配置したいと考えました。ところがどうしても、イメージする配置図では今の校舎の一部分と重なってしまうわけです。つまり、市側から提示された条件で現在の建物は最後まで残して・・・と考えると私たちのイメージは全く実現できなくなります。
 そこに助け船のような呟きがありました。「一気に全部の建物を壊さなくてもいいのでは?時間差を設けて、最初に校舎を建てた後、旧校舎を取り壊し、その後に体育館をつくることもできるじゃない?」まさに、みんなの眼が輝いた瞬間でした。「そうだ、そうすれば、体育館が使えなくなるという先生達の心配もなくなるし、一石二鳥だ。」「有効にスペースを利用すると言う意味では、少し完成時期が遅れるとしても、無理矢理全部の建物を建設して、『やっぱり・・・』という禍根を残さない方がいい。」との意見が飛び出しました。
 そして私たちのグループでは、行政側から提示されていた条件の変更を申し出たのでした。担当職員はその場で勝手に判断することはできないけれど、意見をきちんと持ち帰って再度検討してみますと答えていました。市民の意見に聴く耳を持てるのかどうか?の結果は少し見ものだと思います。どうせ建替えるのなら、長年使用するわけで「いいもの」、納得のいく学び舎にするべきです。そういう意味ではこの検討委員会に参加をしている市民たちの「納得」をまず取りつける必要があると思います。まだ準備段階なので、工期スケジュールなどの変更ができればいいわけです。
 これが「市民参加」の面白さで、メリットだと思います。もしも市民が参加していなければ、無理矢理に体育館から教室棟までを建設して、敷地全体として有効活用ができていない配置になることは目に見えているからです。この段階で市民の参加があるからこそ、行政側も柔軟な対応ができます。建物完成後に「あーすればいいのに、こうすればよかったのに・・・」にはしたくありません。

 私はこの小学校の建替えプランづくりに参加をしながら、やはり学校を地域にひらいていくことの大切さを感じます。今日は「学校をめぐる防犯環境をどう構築するのか」という研究をしている学生の方が「『学校が地域の人に見られている』」という関係性をつくることで防犯が強化される」と言っていました。
 私自身は地域拠点施設としての小学校の活用と言う観点もありますが、それ以上に必要なのは地域の大人たちをもっと生かすことだと思います。もっと地域の人材として生かすせば、学校経営をより豊かなものにしていけるはずです。週5日制になり、総合学習などが導入され、教師の負担増が言われていますが、だからこそ地域の力を借りるべきだと思います。そして地域は学校に力を貸したいと思っています。とても不思議なことですが「子ども」という存在に対しては、大人たちの利害対立が少なく、立場に関わりなく子どもたちのためにできることを必死に考えています。建替え検討委員会に参加して、さらにそのことを確信しています。
 これは歓迎すべきことで、いい傾向だと思いますが、でもやっぱり所詮「大人が考えた子供たちにとって『いい』」であることはまちがいありません。そういう点では自戒も含めてですが、「子どもの視点」をどう採用し、そして実現していくのかについても、大人が今後に頭を悩ませる必要があります。本当は子どもたちにも私たちと一緒に作業をしたい、丸ごと参加してもらえるのが望ましいのですが、今回の検討委員会では無理そうなので、配置平面図が終わり、もう少し校舎のかたち含めて具体化した時にでも、もう一度くらい、子どもたちの意見を聞く会を設けたいとの思いがあります。
 学校の主役は「子ども」です。でも「子ども」はまだまだ未熟だからこそ、大人たちが「子ども力」を応援していくのです。昨日、小学校の入学式に参加をした時、印象的だったのは「先生やお父さん、お母さんもはじめはみんな何もできない子どもだったんだよ。でもいろんな人たちにお手伝いしてもらいながら、大人になって、自分でできるようになったんだから、みんなもわからないことや困ったことはどんどん周りの先生やお父さん、お母さん、近所の大人やお兄さんやお姉さんに聞いてくださいね。知っていることはきっとみんなが教えてくれるよ」というPTA会長さんのお祝のことばでした。
 まさに、このことば通りだと思います。学校を先生と子どもたちの場所にしておくのではなく、「子どもたちの育ち」を応援する地域の拠点として地域の人たちとともに創っていくのがこれからの学校のスタイルになっていくことは間違いありません。
 「学校を地域にひらく」というのは時代の要請です。どうやってひらいていくのかについては地域ごとに検討すべきことです。けれども上意下達の傾向が色濃く、文部科学省の方針ありきの「地域開放」が現況です。「なぜ今、地域に学校をひらいていく必要があるのか?」という地域での議論は不足しているように思います。私は建替え検討会に参加をしていて、先生と地域の人たちとの直接対話の重要性をリアルに感じます。この議論の積み重ねこそが「学校を地域にひらく」を具現化していく道につながると思うからです。先生と地域の人の議論の中で「噛み合わない」が「噛み合う」に変わっていく瞬間に喜びを感じています。


   ★ぜひ、政策に対するご意見やご提案などおよせください★

投稿者 hisaka : 2003年04月08日

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