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2003年03月19日

陳情の審議

 建設環境常任委員会に出席しました。委員会では市民から提出された陳情や請願を審議します。委員会で採択、不採択の方針を決定して、議会最終日に本会議場で最終的に議員全体での挙手して、陳情請願に対する議会の態度が確定します。
 陳情と請願の違いは、請願には紹介議員がいるということです。今日は陳情が2つ議題になりました。私は市民からの訴えである陳情を否定するわけではなく、きちんと議会として受け止め、審査をする必要があると考えます。とにかく私たち議員は陳情の「文面」どおりに忠実に審議する必要があり、文面からはわからない陳情者の心情までを推し量り審査をすることはできません。そこがものすごく難しいところです。
 前回の議会で審査した案件、そして今回の議会で審査をした案件については共通して困ったことがありました。それは「審査になじまない」ということです。なぜならば、陳情では自分の家周辺の騒音問題などについて市がきちんと窓口になって対応して欲しいということを求めているわけですが、現状の説明を聞いてみると市が誠意持って対応していることがわかってしまうからです。つまり、陳情者が求めている「窓口としての市」は既に達成されているのです。騒音などの原因責任者が事業者など市以外の主体なので、市が直接何らかの対応策をとれるわけでなく、「指導」や「申し入れ」は再三のように行なっていることは事実確認をするとわかるのです。
 要するに議会としては、もし市が市民からの訴えに全く耳を貸さずに行動していないとするならば問題とし、陳情者の訴え通りに「市に窓口になる」ことが認められ、市の態度を変更するように強く求められるわけです。けれども、現状では原因責任者である市以外の主体との仲介役として、窓口としての行動はとっているのです。事業者などの対策待ちで、対策を講ずることを要請した市としても見守っている(監視してる)段階なのに、議会として「もっときちんと誠意持った対応しなさい」と判断することは出来ないということになります。
 かと言って、陳情者の苦痛は理解できるわけで「不採択」にするわけにもいかず、そして既に窓口となっている行政に「窓口になれ」と要求し「採択」の判断をすることも少々難しい・・・・結局はこの陳情の文面通りに忠実に客観的に採り上げる時、この陳情の内容は審議になじまないともなってくるわけです。
 陳情を提出する時にはきちんと陳情者側の現状を分析し、そして客観的な事実をもとに主旨をまとめなければいけないと感じます。議会としても市民の声をしっかり受け止めたい気持ちはありますが、議員一人一人の主観は入れずに、陳情の文面をきちんと客観的な立場で事実を確認していかなければならないと強く感じました。
 前回も今回も共通しているのは「市としての対応」が既に行なわれている状況にも関わらず、「市への対応」を求めているところです。私たち議会としては市が市民の訴えを邪険に扱っているわけれはないので、非常に陳情を「採択」することが難しいのです。私たちはやはり「経過」も見る必要があります。市が市以外の主体に対して対策待ちをしている状況ならば、議会としてもその動向を見ていく必要があるからです。特に明日明後日で解決する問題ではなく、日常的な生活の中にある騒音などはその解決策が非常に難しいと言えます。前回の陳情では事業者の騒音を訴えていましたが、これについても市側はきちんと事業者側と話し合い、文書にて騒音防止対策をしていくという事業者との確約を取っています。そして今回の陳情では都道での自動車の騒音と大型車の通過で起きる振動への対策を求めるものでしたが、既に市は都に対して申し入れをし、来年度予算の中で都が「低騒音舗装」することを決定しています。今、とるべき態度は事業者や都の対応を待つ・・・これは行政も議会も同じだと考えます。
 そして、今日のもう一つの陳情ですが、本来は東京都に訴えるべき都市計画決定のことでした。市の権限が及ばないことに対しての陳情もまた市議会の審査にはなじまないものです。例えば都や国に対して意見書を提出することを求められた場合には対応ができます。けれども陳情書にはそのことは書いてありませんでした。陳情者が委員会に足を運んでくださり、陳情主旨の説明がありましたが、「本当は都に意見を訴えて欲しいと思っている」と言うのならば、きちんとそのことを文面にする必要があります。私たちが文面通りに忠実に審議をすれば、「市での対応は無理」という判断になるのです。
 とても難しいと思います。市民の声で訴えだという点では陳情も全て受け止める必要があります。でも、審議し難い陳情もあります。それは「市だけでの判断はできない」事柄です。一番大事なことは陳情文面通りの対応をすることです。文面には出てこない行間の気持ちまでを議員が推量して、判断するのは難しいです。「客観性」をいつも持ち、公平な眼で事実を見ることが必要だと思います。そういう意味では市民側も陳情文書を提出する時に注意を払わなくてはなりません。それは自分自身の現状をきちんと「客観的」に分析をすることです。そして、その上で市や市議会ができることを陳情として提出しなければなりません。私は市民がきちんとした形式(審議になじむような)を持って陳情が出せるようにサポートをする機関が必要だと思います。議会事務局でただ陳情を受付するだけではなく、市民をサポートしてあげなければ、せっかく苦労して集めた署名が徒労に終わってしまうこともあります。これは大きな課題です。

投稿者 hisaka : 2003年03月19日

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