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2003年02月10日

議員定数削減反対の請願

 議会運営委員会を傍聴しました。議員定数削減反対の請願の審議でした。この請願は12月議会で議員定数削減に関わる条例の可否を決める直前に提出されたものです。
 今日の議論はこの請願をどう考えるのか?についてから始まりました。議論スタートの口火を切った議員がコトの経緯を尋ねたからです。つまり議員定数削減を求める陳情については11月28日の議会運営委員会の段階で「採択すべきもの」判断したのに、議員定数削減反対の請願が12月18日に提出されたことについて、議会運営委員会や代表者会議のメンバーが所属している会派の議員が紹介議員になっていることは道義的に考えて信じられないというわけです。
 市民の請願権を担保するために‘タダ’紹介議員となったとは考えにくく、この請願の内容に同意した結果紹介議員になったと思われるけれども、既に議会運営委員会で議員定数削減の方向で決定したことを覆す行動ではないかというのです。ちなみに議会運営委員会や代表者会議は正式会派の人だけがメンバーになれるので私の会派はオブザーバー参加でしか認められていません。
 これについて紹介議員の所属している会派の議員は「条例の可否の審議に入る前に、この請願について議会運営委員会に付託することを決定したんだから、今は請願内容を議論すべきではないか」という反論。今日はさすがに傍聴席も満員、請願者代表も参加をしていました。
 実はこの請願を提出した「議員定数削減反対する会」は何度か大々的にビラをまいていました。今度は請願ではなく、このビラの中味にまで話しが及んだのでした。まず最初にまかれたビラの連絡先がある会派の控え室になっていたこと、そして最近のビラには事実とは違うことが書いてあり、そのことが(ある議員たちにとっては)侮辱であり、名誉毀損であるわけです。なんとそのビラを警察まで持っていき、立派な犯罪かどうかを相談しに行ってきたという恐るべし議員がいました。
 とにかくせっかく請願者の代表もいるのだし直接発言を求めることになったのですが、ここで「紹介議員がいるのに一般市民が直接会話をする必要性があるのだろうか?市民にとっては(議員と会話をすることが)負担になるのではないか?」という意見も飛び出しました。紹介議員がつかない陳情の時には申し入れがあれば陳情者からの主旨説明する時間を設けられることもあります。今日は請願者も「喜んで」という話しだったので直接説明をする時間をとることとなりました。
 請願者は今必要なのは「前市長の事件を徹底的に救命すべきで、そのためには議員を増やすことはあっても削減するなんてとんでもない。前市長の事件が起こるような体質を改善すべきである。」という主旨を述べた後、議員削減をなぜするのかという提案者の提案理由のひとつひとつについての見解を述べました。そして「今回の請願が、いかにもある会派にそそのかされたかのように描き出そうとしている」状況への憤りを伝えていました。なぜならビラの文責に自分の名前が載っているにも関わらず、まるで自分は名前を貸してあげているだけではないかというある議員の推測の発言もあったからでした。そして市民のビラを警察に持っていくことをファシズムだと言っていました。
 その語の議論はもちろん堂々めぐりで、ちっともかみ合わないのですが、とにかく議員削減については、議会では2年前から議論されていたけれども議会のさまざまな改革を含めて提案をしていくことが必要だという立場をとってきた人にとっては今回の定数削減問題は納得のいかないことに変わりないのです。
 議員定数削減の提案理由についても近隣自治体の比較についてはただ単に載せてみただけだという回答、民間のリストラに例えたことについてもあまり明解な回答はなし、市民参加についても同様、議会費の削減問題については、もし他の方法で議会費の削減をするとするなら事前に提案をすべきだろうという立場・・・・さらには「まだ議論し尽くされていない」という意見についても「12月24日の議会の時には夜の11時30分までかけて議論をした。質問事項がなくなったからこそ議論が終わったんだろう。もしまだ不満なら、もっと続けたら良かったし、質問の仕方が悪いから聞きたい答えが聞き出せないのだろう」という答え。本当に最悪なやりとりで、正直、「なぜこの請願がだされたのだろうか?」ということは少しも議論がされませんでした。
 大きなテーマを整理するとこの請願の紹介議員の道義が問われ、削減反対をPRする市民のビラの内容についての意見交換・・・最後には議会の機能として「チェック&バランス」があるけれどもそれをどう考えるのか?についてのやりとり。
 一方は議会と長がチェックをし合うことでバランスが保たれるという解釈、もう一方は議会自らがチェック&バランスの意識を持つことが大事でさまざまな行政提案などについてバランス感覚を持ち(全市民のことを考えて)チェックをしていくのだという立場。とにかく平行線のまま。そして定数削減を決定していこう、特に多くな変化もないわけで、もしそれが不満なら「定数増」を3月議会に提案してはいかがでしょうか?という意見まで飛び出しました。
 大多数の市民は議員削減に賛成であると思う・・・・という感覚的に発言をすることはよくありません。もちろん全国的な流れを見ると削減の方向に動いていることは確かです。大多数って一体どれくらいなのでしょうか?少なくとも今回の請願には406人の署名が添付されてきました。
 正直言って議論すべきは「私たちの目指していく議会のありかた」で、「議員を削減するしない」については、議会像を見据えていくうえで、ビジョンを持った中で進めていくことだと思います。「議員定数を削減した」何が変わるのでしょうか?明らかなのは立候補者にとっては議席数が少ないので「選挙が大変になる」ということくらいでしょう。あとはまだ何も改革がされる兆しも、展望もありません。私は「議員定数削減を求める陳情についても、今回の請願についても『なぜ提出されたのか?』」という真意をきちんと議会として受けとめて議論をすべきだと思いました。その議論がほとんど見うけられなかったとも言えます。入り口のところだけでクルクルと回転するばかりの議論のように思いました。 
 議員定数削減を求めた陳情者に対しては、定数削減反対の立場の議員がきちんと真相を尋ねに行っています。私はこういう姿勢が大事だと思うのです。自分とまったく違う立場の意見を持っている市民のところに出かけていくこと、違う立場の人は「知らない」ではなく、いかに違う立場を理解しあうかが民主的にコトを決定していくプロセスで重要だと思うからです。
 多くの市民が望んでいること・・・・これを議会が判断していること自体をもっと問題にするべきです。半分以上の人が投票所に足を運ばない状況を議会はどう考えながら議論をしているのでしょうか?私は時に怖くなることもあります。私たちは過半数以下の人たちからしか選び出されなかった議員だからです。
 まずは議会全体として、どうやったら市民との間にそびえ立つ壁を乗越えようとするのか?これを思えば議員の数も今は減らさないほうがいいかもしれません。なぜなら議会として市民一人一人に訴えていくとするならば、議員一人あたりに5000人が精一杯だと思うからです。議員一人が一年間に担当の5千人に対面をすれば、4年間の間に2万人の市民に会える計算になります。一人の市民にとっても一年間に一度は議員さんと対面でき、4年間では四人の議員に会えることとなります。
 いづれにしても「議会をどう改革していくのか?」のビジョンを私自身ももっと精査して考えていきたいと思いました。

投稿者 hisaka : 2003年02月10日

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