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2003年02月08日

特色のある学校のつくりかた

乞田、愛宕、和田、落川の地域の人たちが中心で活動をしているKAWOの会のシンポジウムに参加しました。ベルブ永山の多目的ホールでしたが、今日は色々な企画が重なった日で、ベルブ永山での催しを見ても他にも覗いてみたいものがありました。つまみ食いのようにちょこちょこの参加だと、結局最後に何も残らない感じがするので、私はいつもどの催しに参加をするか迷ってしまいます。迷うくらい選択肢がたくさんあることはうれしいことです。でも一方でいわゆる「参加者」が分散してしまうことも事実です。
 多摩市は市民の活動などがさかんですが、いまいちまとまりがなく、どちらかというと同じ顔の人が何足ものわらじを履いて走っている感じだからです。いろんな企画講座を通じて、「新参者」を発掘することが大事なことかと思うわけですが、なかなか難しいことで、大きな課題だと感じています。
 さてシンポジウムですが「学校と地域コミュニティの連携」というテーマでユニークなパネリストたちがご自身の体験談をご披露してくれました。
 まずは幕張ベイタウンの土堤内さん。幕張の打瀬小学校のことは以前からも噂で聞いたことがありましたが、実際にどんな風に地域と関わりながら動いているかという事例をお話してもらいました。同じニュータウンでありながら、さすがに過去のニュータウンの失敗を踏まえて出来あがっている街のようです。団地一棟の中に分譲部分と10%の賃貸部分が混在しているので、多摩市のように分譲団地と賃貸団地でくっきり分かれず、コミュニティ形成が上手い具合にいくのです。賃貸団地では本当にコミュニティ意識が希薄な多摩とは大違いです。ベイタウンでは学校を核にした‘まちづくり’が進められています。例えば小学校での催しなどは全戸にそのお知らせが届くそうです。つまり子どもが小学校に通っているかどうかは関係なく、行事に参加したい人は参加出来る仕組みがあります。ところで、ベイタウンの打瀬小学校や中学校自身にも特徴がありますが、やはり校長先生の意向がものすごく大きく左右すると思いました。土堤内さんも校長先生の意気込みには感激している様子でしたが、校長先生のリーダーシップの大きさを話しの端々から感じました。地域へのバリアフリー化を徹底的に進めている学校、ハード面での垣根がないだけではなく、その教育内容もしっかりと地域開放され、充実しているところ、地域住民とともにさせてきたところに幕張ベイタウンの成功があるように思いました。
 次は府中の日新小学校の事例でした。「日新カモミール」というもと日新小の先生が中心となって結成した親子での活動広場の報告です。これを立ち上げた張本人の遠藤先生は既に転勤となっていますが、転勤ごもこの活動が続いていることがとてもうれしいと話していました。上手く父母にバトンタッチできたことが大きな成果だといいます。子どもだけでなく大人も楽しめるようなこと、それは自然を活用しながら体験型での活動です。農作業を中心にして毎月活動をしています。楽しさ、自然環境、やりがいやいきがい、この指とまれ、脱イベント、自立の5つをキーワードにしています。週休2日制になったことで保護者が学校に来て子どもと一緒に活動でき、そこに先生もいた貴重な土曜日の時間がなくなってしまったと言います。先生は「学校教育は法で細かいところまで決まっているけれども社会教育にはマニュアルがない」とおっしゃっていました。この言葉に私はエラク感動してしまいました。この事例で物語っているのはキーパーソンがいなくなっても活動を続けていけるのは、やはりコミュニケーションがしっかりと積み重なっていることと、何よりも学校を中心にすることで地域の理解が得られやすいということです。「学校」を使えるわけで、その活動への信用があるからです。親子の活動の拠点としての学校施設はやはり魅力的です。
 その後、毎度おなじみの大妻女子大の炭谷さんより週休二日制導入と親子の意識変化の調査の経過を聞き、日常の学校活動に親が参加していることが学校教育への親の安心感につながることという分析結果を聞きました。それから第一小学校の建替えワークショップの探検隊の事例、多摩市でも地域と学校が連携することを模索しているという動きの発表もありました。発表者の探検隊リーダー安達さんが「ハードは充実してもどうやってソフトをつくるのかが課題」と指摘していましたが、これはまさに私たちが今、関わっている小学校の建替えにあたってぶつかっている課題です。
 とにかく内容が盛りだくさんすぎて、かなり消化不良のままシンポジウムは終わってしまったのですが、ぜひこれらの事例を実際に見に行きたいと考えています。
 その後私は一本杉公園の炭焼き小屋に行きました。初釜をみんなで祝いましょう!というわけで宴を開いたわけですが、気温もそれほど寒くなくちょうどいい具合でした。そこでは新しい出会いを楽しむことができました。炭焼き窯の温度を一定に保つのは本当に難しい作業のようでした。土砂を少しずつ加減して窯に入れ?るのですが、その妙技には「すごい!」と思いました。
 ちょうど学校と地域の連携の話しが頭に残っていたこともあり、私は親子での炭焼き体験も面白そうだと思いました。「まだPRが足りないんだよね・・・」と世話役の人は洩らしていました。
 私は今日のシンポジウムを聞いていて思ったのは、学校の特色はやはり、地域の特性を生かしてこそ浮き上がってくるのかなということでした。地域の人を始め、地域の資源を生かしながら学校という場所が豊かになっていくように思いました。学校は先生と生徒のものだけでなく、「地域のもの」という発想に立つこと、もちろん、さまざまな人たちが関わるということは、それだけ時間もかかりますが、その労苦を惜しまないで挑戦していくことが学校の魅力を創り出すのだと強く思いました。

投稿者 hisaka : 2003年02月08日

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