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2003年01月21日

あら?未利用地の特別委員会で・・・

 今日は久しぶりに緊張感持って議会へ。未利用地などの特別委員会も今回から学校跡地の検討に入ります。事前に配布された資料はとても詳細だったので、これを土台にしてどんな議論が展開されるのかと少々不安に思っていました。というのも、行政内部での学校跡地などの施設活用等を検討するプロジェクトチームの中間報告書を読んでみると納得してしまったからでした。ニュータウンという‘まち’の特性を考慮しても大阪の千里ニュータウンや多摩ニュータウン内の他地域に比較しても、多摩市の学校跡地活用は進んでいます。そういう意味で、ニュータウンでの跡地の有効活用事例としてはパイオニア的になるのかなあと思いました。
 ところで今、学校跡地の活用については市民検討委員会があります。そして庁内にもプロジェクトチームがあります。果たして、そこに議会としての見解を出していく・・・しかも市民検討委員会は7月に提言書をまとめる予定で、議会は4月に改選されることもあり、委員会は3月末まで。実はここに大きな問題があるのです。つまり市民検討委員会よりも先に議会が見解を出すとことはあり得ないからです。そこで今日も西永山複合施設と東永山の施設見学をした後に「この委員会では学校跡地などの活用についてどういう議論の進めかたをするか?」というところから話し合いがスタートしたのでした。もちろん当然のことで「議会として先に結論、一定の方向性を示さない方がいい」というのが多数意見で、結局市民検討委員会でも庁内チームでも問題となっていた「跡地売却」についてを議題としましたが、私はそもそも委員会発足の時からこのような事態は十分予測できていたのではないかと思って、ちょっと不思議さを感じました。「それなら、どうして委員会を設置したのでしょう・・・?」具体的な議論を出来ないことはわからなかったのだろうか?と思ったからです。今更そんなことを思う私も私ですが、おまけにあと1回しかない会議を経ただけで「報告書」を作成しなければならないなんて、少し時間が足りなすぎると思いました。議員側も勉強不足のままもします。・・・・それは私だけかもしれませんが。
 とりあえず私はせっかく議論をするのならばもっと有意義なものにしたいと考えるので、今回の委員会の在りかたには少々疑問を感じています。何せ議員そのものの「任期」という制限のために、特別に設置した委員会が力を発揮できずに終わってしまうように感じるからでした。
 ところで、学校跡地の問題ですが、今、多摩市内全体の公共施設の老朽化なども考え合わせながら検討をする必要があります。財政事情が非常に厳しいことを考えるとやはり「売却」を視野に入れ、資産活用の始点から検討をしてもいいのかもしれません。もし学校を1校(土地も建物も)を売却するのなら、約40億円ほどになるのだそうです。これは公団の土地処分価格を基準にして計算をするそうですが、公団の土地処分価格とは市場価格よりも高いそうです。・・・はっきりいって学校跡地はよっぽどのことがない限りは高値がつきそうにありませんが。なぜなら校舎などを壊すにしても莫大な費用がかかるからです。
 とにかく学校跡地をどうにかしなくてはなりません。廃校はお化け屋敷です。まさにトイレの花子さんの世界だと感じます。夜の学校も恐いけれど使われていないならなおさらです。当然、有効活用して地域活性化を図っていきたいのですが、問題なのは「学校」であることです。目的外利用をすることが難しいからです。国庫補助金を返還する必要があることから始まり、現状だと有償で貸し出すことも出来ず、とにかく維持管理費だけはかかったいるという悲惨さ。ちなみに学校跡地の維持管理には1校あたり約1千万円です。この状況をどう捉えれば良いのでしょうか?
 私自身はまずは学校跡地を純粋な多摩市の財産に変えてしまうべきだと思っています。国庫補助というものに縛られている限り、思いきった利用が出来ないと思うからです。それはもちろん資産活用も含めてのことです。
 学校を売却するについて「一番大きなことはその学校での思い出がなくなってしまうこと・・・つまり卒業生たちの心を考えると辛い。」との部長の発言がありました。もちろん私も同感です。でも思い出はいつも心の中にあるものなので、学校がなくなることは残念だけれども、思い出そのものまでが消え去ることはないのではないかと思いました。むしろ、それ以上に重要なのはこの‘まち’の今後だと思います。今、豊郷小学校の建替え問題が起こっていることが学校跡地売却の問題にも重なってきますが、最終的には地域に住んでいる自分たちの身に全て降りかかってくる問題をどう受け止められるのかという覚悟に結びつきます。
 学校跡地の売却を考えない学校跡地などの活用だって当然アリです。でも、それに伴うリスクもあります。全ては「多摩市の台所事情」につながってきます。だから私自身は売却もひとつの選択肢として存在してもいいと思っています。ただ最終的な決断を誰がするのか?という点を大事にしたいです。
 そのために必要なことは多摩市の現況を理解してもらえるような情報提供だと思います。もちろん思い出のたくさんつまった学校を売却したくないという気持ちを最大限尊重をしながらも、売却をすることしないことのメリットデメリットをきちんと整理をして市民に明らかにすべきだと感じました。
 とにかく「市民合意」を得る必要はあります。議会だけで決定することも出来ない事項かもしれません。でも、一番嫌なのは学校というのはモロに地域の問題でもあるので、こういう問題には地域エゴ的な感情がどうしても生まれ、対立構造が生まれる可能性がとても高いことです。悩ましい課題です。
 いづれにしても財政事情も含めた多摩市の苦渋を市民と分かち合うことからスタートするのだと思います。やっぱり議会だけで結論が出せる問題でもなく、市民検討委員会でも結論でもいいわけでなく・・・・市民にもっとダイレクトな呼びかけをしなくてはならなそうです。「お金がない!」という叫びがもっと切実感を持って市民の耳に届いていかないとと思います。
 今の多摩市だけの状況ではないけれど、本当に、様々な意味で行政も議会の在り方もそして、市民の在り方も過渡期にあると思います。新しい関係を構築する前の混沌としている時期とも言えます。学校跡地の問題はその状況を最もよく映し出しています。
 「市民力」の活用は簡単そうで実は一番難しいのです。でも既に「市民力」なくして今後の社会、地域は維持していけないのも事実なのです。
 それにしても未利用地等委員会の行く末、自分自身ちょっと心配でたまりません。この委員会の在り方が市民の納得のおけるものに出来る限り近づけたいとの思いはあるのですが・・・微妙です。

投稿者 hisaka : 2003年01月21日

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