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2002年11月13日

ニュータウンのつくりかた

 昨年発足した多摩ニュータウンまちづくり協議会の2回目が開催されました。これは八王子市、町田市、稲城市、多摩市各助役と東京都、都市公団という多摩ニュータウン関連市と施行者により構成している「ニュータウンの未来図」についての情報交換などを行う場です。
 この会は一年間で幹事交代するので、今年は稲城市から多摩市助役が会長となり、事務局も多摩市が担当するようです。多摩ニュータウンの中で多摩市が果たす役割はとても大きなものがあると言えます。まだ事業継続中の他の三市とは違い、多摩市のニュータウンは既に成熟期から衰退期へと顕著に突入しているからです。他市にも当然訪れるであろう課題を先人として抱えるわけで、他のところでは多摩市と同じ轍を踏まないような方向で事業を進めていって欲しいとの思いがあります。
 協議会では「共通のまちづくりの課題」を解決することを命題としています。とりわけニュータウンの活性化が一番の主題になっています。昨年からもこれを検討するべく①公共施設の相互利用②市民生活支援システム(インターネット活用による)を個別テーマとして研究したようです。それから公共(空間)を市民とともに管理をしていく手法アダプト制度についてもニュータウン全体で取り組むことなども確認されていました。当然ながら「住民参加」は欠かせません。実質化しているかどうかは別としても‘ことば’だけでは「住民参加」が必須アイテムのように飛び出していました。
 各市からの状況や都、公団の報告を聞いていましたが、取り立てて目新しいものはなく、「この会議って一体何を情報交換して討議するのか」わからないセレモニーのように感じました。各助役などは準備されているメモをただ読み流すだけで、それに対する質問や議論は一切無し。ただ淡々と時間だけが過ぎていき、そして多摩市の助役が上手に会議をまとめて終わってしまいました。
 つまり、この協議会はおそらく儀式で、この場に至るまでに現場担当者たちの折衝があるんだろうと思ったわけです。本当は現場での議論を聞きたかったです。全て「異議無し」で終了するなんて・・・信じられないと思いました。報道関係の席もあり、会場内はちょっぴり緊張感漂う空間でしたが、この会議の模様はわざわざ取材に来る必要もなく、最終的な報告を書面でもらうだけでも十分なのにと思いました。
 ただ一点だけ、多摩市民だからというわけではありませんが、さすが多摩市だと思ったところがあります。それは「施工者としての公団や都のニュータウンをつくってきたという責務がある」ことをしっかりと押さえ、そしてニュータウン事業の今後に際しての調整役として都に期待したいとちょっと厳しくビシっと発言したことです。ニュータウンはインフラが高整備すぎて維持管理コストを請負う多摩市の負担はとても大きいし、団地建替え、バリアフリー、エレベーター設置などニュータウン事業初期には予想はしたかもしれないけれど、積極的には取組んでこなかったためのツケが相当あるわけです。これをどうやって解消していくのかを多摩市の責任だけで・・・というのはやはりいかがなものかと思います。
 ニュータウンのつくりかたは最終的な責任の所在を明らかにしないで進められてきた最悪的な手法だと思っています。時代の流れは読めないのは当然のことです。時代に翻弄されたあまりに、ニュータウンが市域の約60%の多摩市に酷な結果とならないようにしなくてはなりません。結局、犠牲になるのは「市民」だからです。

投稿者 hisaka : 2002年11月13日

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