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2002年11月08日

総務常任委員会傍聴記

 9月議会で前市長の収賄事件について議会も特別委員会を設置すべきだという水面下での動きがありました。6月議会でも100条委員会を設けるべきだとの主張もありましたが、警察や検察が捜査をしている最中で議会が一体に何ができるのか?という見解に設置することはしませんでした。事件発生直後の3月議会のことは議事録を読むだけしかわかりませんが、さまざま激しい議論が行われたようでした。
 議会に特別委員会を設置する時には一応議員全員の賛同を得ることが慣例となっているようでした。私が今所属している未利用地の検討委員会、それ以前にはパルテノン多摩の不正について特別委員会が設置されています。今回の未利用地の件を含め、多摩市議会での特別委員会の設置は2回のみです。
 9月議会で特別委員会を設置しようという動きについてはやはり全議員の賛同を得ることは難しく、結局提案をするにも至りませんでした。そして総務常任委員会で契約と入札制度のことを検討しているのでそこに贈収賄事件のことも加えて審議をすることで決着をしました。今日がその第一回目の開催です。午前中は傍聴席が満席で、私は別室で音声のみを聞いていました。午後からは傍聴者も減り、委員会の様子を肌で感じながら話を聞きました。
 まず贈収賄事件についての概要を資料として行政側から提出されていたのでそれについての質疑、そしてこれからの契約入札制度設計につて市の説明、その後、今後の委員会の進め方などについて委員同士の意見交換が行われました。この事件については既に判決確定をしているのに議会が調査をして何をどうしたいのか?という主張、議会としてもきちんと調査をして徹底解明すべきだとの主張のぶつかりあいで、委員長がまとめきるのに大変そうでした。一緒に傍聴をしていた議員のひとりは「公判の時に『談合が存在していた』と言われたことはとても重いことなんだから、議会としてもちゃんと総括をして結論を下すべきだ。行政が捜査に提出した資料全てを委員会にも出すように要請しないとダメなんだよ。」とご立腹気味でした。
 私自身はもちろん既に判決が下されているし、二度とこのような事件を起こさないように、これを教訓として今後を考えていくことが一番重要なんだと思っています。ただ談合があったかなかったか、それに職員が関与していたのかどうか?今回の事件については「行政内部での不正はなし。逮捕者なし。」という決着がついているわけで、なぜ「徹底解明」という強い主張があるのかのほうが不思議といえば不思議です。とはいうものの「噂」とかあるんだろうな?と想像するわけで、新人で行政内部の事情も知りすぎていない私には届いてこない噂だし、察知することもできない、ある意味では「知らないものがバカ」ってことになるのかなあとちょっと落ちこみに似た味を覚えてしまいます。私の範囲を超えるところの議論で、委員会で飛び交う言葉についていくだけでも大変です。かなり勉強になります。でも疑うのって嫌だなあと思います。
 委員会では(1)選挙についての市職員の関与 (2)環境部での前市長の発言 (3)談合 (4)業者と選挙の4項目が問題点だと指摘されました。この4点について委員会としてどう調査をしていくのか?むしろ調査すべきかどうかをひとつひとつ審議されました。(1)については当事者から直接意見を聞こうと言うことで結論がつきましたが、当事者が委員会で発言してくれるかどうかは当事者の判断なので、それを拒否されれば元も子もありません。一体どうなるのかと思いました。やはりその当事者を呼ぶ必要性についても議論はわかれました。
 委員会では「認識の違い」という発言が数回聞かれました。認識の違い、大きな食い違いのを感じます。それはやはり「判決が出ているのに議会が調査をしてどうするのか?(何を調べるのか)」という見解と「調べてみないとわからないから、やはり議会としても特に『談合疑惑』を含め徹底解明すべき」との主張のぶつかりあいです。後者は要は逮捕された人以外にも関与していた人がいる・・・という立場からの発言だと思います。前者は後者の立場と真っ向から対立しているものです。(もし関与していた人がいるのかもしれないし、いないのかもしれないが)この事件については、判決では「いない」とされたわけで、それ以上調べる必要はないという立場です。
 議論は堂々めぐりで委員会がどのような報告書をまとめていくのだろうか?と心配してしまいます。「まだまだ知らないことが多すぎるなあ、私には」とつくづく感じてしまいました。
 今後の契約入札制度の見直しには行政側も精一杯努力をしているように感じました。地元業者の優遇を主張する意見もありましたが、これについて「あくまでも契約入札の制度を担当しているわけで、商業振興については担当課が異なるので発言は控えます。」との回答。こんなところで縦割り行政を主張されても困るなあ・・と思ったわけですが、何しろ一番は業者の不正行為を排除することなのでそれも一理あり、とはいうものの地元業者の育成と契約問題について行政がどのような認識をしているかはどこかで聞いておくべきだとも思いました。
 そもそも「談合」とは人の「心」の問題です。防止しようとしていくら制度を厳格にしたとしても起こる時には起こってしまいます。人の心を縛ることができないからです。そして「談合」はその証拠を見つけることも難しいのです。性悪説にたって制度を設計していくなんて・・・と思いますが、仕方のないことなのかもしれません。悲しい現実を見た気がしました。
 さらに、この一連の議論を聞いていると、普通に生活をしている市民は知らないことがたくさんありすぎると思いました。おそらく私が議員でなければ、こんな議論が議会で繰り広げられていることすら知らないでしょう。一議員であっても行政内部の闇のようなことは全くわかりません。そういう噂も聞かないからです。傍聴をしていて思ったことは「何かをつかんで動こうとしている」、「何かを知っているけれど言わない」・・・・そんな思惑がぶつかり合って異様な空気を醸し出しているということです。こんなのに巻きこまれたくないというのが正直な気持ちですが、総務常任委員会として市民にきちんとした説明ができるような報告書をまとめてもらいたいというのが私の狭い情報量、ぎりぎり考えられて言えることかなと思っています。

投稿者 hisaka : 2002年11月08日

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