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2002年10月29日

神戸の事例・・・NPOの生き方

 港区の中学校跡にはNPOハウスというのがあります。廃校利用(学校跡地)の使い方として多摩市でも選択肢のひとつになってほしいというのが私の願いです。今、NPOセンターが西永山複合施設にありますが、本当はNPOセンターとともにたくさんの空き教室がNPOやボランティアの事務局として使用できると個別課題に取組むNPO同士の横のつながりがしやすくなる気がしています。
 みなとNPOハウスでも入居しているNPO同士がまだ、なにをやっているのかと互いに見合っている状況らしいですが、月1度の連絡会を設け、そこでの議論の中から、今後新しい展開を図っていきたいと考えているようでした。「NPOのお見合いの場所・・・」との紹介を受けましたが、26団体が入居しているわけで、それら全てが協力し合うとそのパワーはすごいものになりそうです。分野も様々でこども、お年寄り、IT、配食、中間支援などがありました。
 さて、今日は「NPO市民大学を創ろう会」が主催の学習会でした。阪神大震災の中から誕生したNPOコミュニュティ・サポートセンター神戸(CS神戸)の理事長中村順子さんから「NPOと行政とのよりよい協働関係を構築するためには?」というテーマで話をききました。
 CS神戸はその活躍ぶりが全国的にも有名で、事業規模も昨年は約1.5億円です。事業の約70%が行政からの受託です。彼女はNPOは新しい価値を生み出さなければ意味がないといいます。つまり建物の管理を行政から委託されたとしても、ただ単に建物管理だけで終結してしまうなら価値がなく(他のところに任せたほうがいい)、NPOとしての付加価値をどうクリエイトできるのかが勝負なのです。例えば、CS神戸の場合には、行政に対して建物管理を受けるけれども、それと引き換えに年に4回、CS神戸に対して無償で建物(コンサートホール)を開放することを条件にしたそうです。つまり、それが新しい価値に結びつくわけで、建物全体で市民発表会をお祭り風に行ったということです。もちろん好評でした。
 こんな風にNPOの存在価値は、ただ単に行政からの受託事業をこなしていくのではなく、NPOならではの、NPOでしか出来ないようなことを創らなければ無意味だと言い放つのでした。CS神戸は自立を目指さなければならないと走ってきました。けれども自立が進みすぎると孤立、ひとりよがりになるから、そこには「共生」が必要です。そのために、自分の団体で全てをやろうとするのではない(拡大志向は持たない)、様々なところとつながりながら活動をすすめてきました。
 スライドでNPOとNPO、企業、行政、まちの空き施設がどうつながれていったのかを見ました。印象的だったのは‘まち’の医院とNPOをつないで事例です。お医者さんには午後の休診時間がありますが、これを利用して高齢者のためのミニデイ風なイベントを行うのです。医師会の協力と高齢者を集めるためには民生委員さんの協力も得ることに成功しています。つまりNPOが地域に埋もれていた力を結びつけるのです。
 ところで最近は地域にNPOがどんどん生まれています。神戸もそうですが、多摩市でもその状況は同じです。そこで行政、神戸市の市民活動支援課にNPO市場を提案をしたそうです。つまり行政は実績重視をする傾向がありますが、それだと新しく誕生したNPOが入れる余地がないからです。そのために行政がNPOに委託をする事業については公募提案型、参加型でコンペをやります。行政の評価指標はわからないけれども点数が全て公開され、残念ながら落選してしまったNPOについては「なぜダメだったか」という協働できないと判断した理由について必ず文書で明らかにするようです。
 NPOを始める理由は地域課題の解決や、夢だと言います。そしてそれは公共的なことで行政の仕事と類似している。協働のポイントはやはり行政と共通の夢を持てることです。夢を持った上で、どのように成果をあげていけるのか?そこに行政との信頼関係が生まれます。
 まだまだNPOは知名度が低く、知られているようで知られていない存在です。先日、NHK番組でNPOの先進地アメリカの事例を見ました。その番組でも「新しい社会」というキーワードがありました。その担い手としてNPOの活躍の場はこれからどんどん広がっていくことを実感しました。
 NPOと行政とのよりよい協働関係・・・・それはお互いにあって良かった、いてくれて良かったという気持ちをベースにして生まれていくのだと思いました。

投稿者 hisaka : 2002年10月29日

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