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2002年10月09日

フリースクールの見学「東京シューレ」

 午前中は決算委員会に向けての対策。決算書を読みこなすのは本当に大変なこと。歳出はイメージができても、歳入についてはチンプンカンプンで、何についてどのようにとらえればよいのかがついていけないのが現状です。初めてなので・・という言い訳はできないので、少しでも自力で学習しなくてはと思うのですが、書店へ行っても、一体どの本を選んで読めばいいのかとボーッと書棚の前で立ち尽くしてしまいました。
 午後からは東京シューレを見学しました。多摩南生活クラブ生協の企画です。生活クラブには「まちづくり委員会」があります。ここでは自分たちの住んでいるところ(まさに「生活」)の抱えている課題を自分たち自身でどう考えて、行動していけるのかと様々な取り組みをしています。例えば学校給食チームでは多摩南のエリア内にある自治体の学校給食の調査を行っています。その一つに子育てを考えるチームがあります。今、子どもをめぐっての社会環境づくりは大きな課題です。特に「子どもの権利」をわたしたち大人がどう捉えるのかについて、国連の「子どもの権利条約」をあわせながら考えていく必要があります。
 さて、東京シューレとはフリースクールでいわゆる不登校の子どもたちが自主的に通ってくる学びの場です。NPO法人格を取得しています。全くの自主運営で、経営を支えるのは通ってくる生徒の親です。入会金が15万円、あとは月会費が4万5千円(施設維持費込)です。行政からの支援はありません。ただ、今日見学をした東京シューレ新宿は、新宿区役所の出張所跡地で、新宿区に借りているそうです。NPO法人格を取得して、行政からの例えば職場研修の講師受託がしやすくなったといいますが、これまで約18年間、行政との関係においては助成や補助はまったく無しで続けてきました。OBやOGの数は900人を超えるそうです。
 見学中も何人かも子どもたちが年齢に関係なくパンづくり、パソコン、音楽などをしていました。放課後の児童館みたいでした。子どもたちの様子はみんな元気に好きなことをやっている、つまりそれぞれに楽しそうだなというのが印象です。施設の見学をした後で代表の奥地圭子さんの話を聞きました。ちょうど今朝の朝日新聞に彼女の投稿があり、私は呼んでいたのですが、文科省の設置した不登校問題の調査会議の中で不登校について学校復帰させることを強化していくべきだという意見が強く出されていることへの疑問をお話してくれました。なんと文科省は約80億円ほど不登校時対策に投資をして来たそうですが、その成果は・…?毎年毎年不登校の生徒数は増加しています。
 結論的にいえば、その子にあったプログラムを提供していくことが大切なのです。学びは強制ではなくシューレでは自分が出席したいプログラムを選択するシステムになっています。シューレの一番の特徴は時間割なども子どもたちが自分たちで話し合って決定することで、すべて子どもたちの自主運営、大人は子どもたちの意思を尊重して、適宜手助けをしていくのが役割です。世界的にみるとこのようなフリースクールは社会的にも認められた存在ですが、日本の中ではまだまだ認知度も低く、むしろ「不登校は悪」という社会的通念の中にあり、子どももそして親や先生も含めた大人たちも苦しんでいるのが現状だと思います。
 シューレにくることも、不登校の子どもたちにとっては大きな勇気がいることなので、ホームエデュケーションのプログラムもあり、シューレ大学では知的な探求の場として単位も学年もない学びの場所として解説しています。自分たちのやりたいことを探しながら、取り組む中で子どもたちも自分たちの不登校という事実をマイナスに捉えるのではなく、認められるようになり、そして成長するように思いました。
 シューレの子どもたち2人と、シューレを卒業して今はスタッフとして働いている方の話を聞くことが出来ました。3人とも学校に行けなくなったのが「イジメ」だったといいます。そして3人とも、自分たちの親は無理矢理にでも学校に行くことを強制したといいます。だからますます学校嫌いになり、大人に対する不信感にもつながっていったのです。もちろん先生も不登校の生徒を学校に来させようとしたそうですが、お節介をされればされるほど行きたくなくなったそうです。
 シューレに来て一番いいのは強制されないところで、先生が全てを決めるのではなく子供がやりたいことを決められることだと話してくれました。「好きなことをやろう。好きなことをやりたい!」と思えるようになったと言います。将来に対しての不安はないのかな?と質問してみましたが、「今からくよくよしても仕方ない」という前向きの返答が来ました。そしてスタッフの方は現在子どもに対しても「普通の学校に行きたいかシューレに行きたいかを選択させた」と言います。現在、親子でシューレに通っています。
 「がんばらなくていよ」と言ってもらいたかった、「大丈夫だよ」って言ってもらえればよかった…何でも命令形で指示されることが嫌だったという子どもたちの声を直接聞き、私たち見学者ひとりひとり大人の価値観、特に社会通念がどれだけ子どもたちを縛っているのかを考えさせられました。「学校に行かなくてもいい」と認めることの出来る価値観がないことで苦しむ子どもたちがたくさんいることを知りました。
 いろんな生き方を認めていこう!多様な生き方を認めることは大切です。だから、学校でもいいけれど、フリースクールでもいいよ…子どもたちの選択を認め、そして支援していくことも重要です。不登校問題が社会の大きな課題となっている中で行政としても何らかの応援策をとっていく必要があるように思いました。

投稿者 hisaka : 2002年10月09日

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