« 行政視察2日目…広島県広島市 | メイン | まずは自分が情報公開! »

2002年10月05日

もっと気軽に文化鑑賞できるといいのに!

 いつも情報交換をしている「手をつなぐ親の会」の方よりお誘いを受けてミニコンサートに行きました。市内在住のヴァイオリニスト堀由紀さんとピアニスト、ハンス・リケリンクさんのデュオでした。堀さんはベルギーを拠点に活動をしています。今回のコンサートはおそらく堀さんの帰国にあわせたのもかな?と思いましたが、彼女の弟が知的な障がいがあるという背景が今回の障がい者とその家族のためのコンサート実現に結びついたのでしょう。
 日本ではもともとクラシックコンサート、特に一流の演奏家を招いた時にはそのチケットはなかなか私たちの手には届かないものです。どんなに音楽が大好きであったとしても、1万円台チケットは高価過ぎます。多摩市にはパルテノン多摩がありますが、そこで開催されるコンサートは贅沢な楽しみで、せっかく市内に立派な文化施設があるとしても市民としては敷居の高い場所になりがちです。
 チケットが高価だという理由のひとつには、例えば交響楽団などの演奏旅行にはその移動などの含めてとてもお金がかかることがあげられると思います。そして会場を借りるのにも同様です。その上で音楽を生活の糧にしようと考えると困難なのは当然です。交響楽団を応援してきた企業など不況により、それを存続するかどうかの選択を迫られています。そんなとき一番初めに目をつけられるのが文化事業です。それは交響楽団のみならずです。絵画や演劇などなど文化に対しての支援を中止していき、私たちが文化に触れる機会がどんどん減っているのが現状です。
 私はこの傾向をとても残念に思っています。確かに「嗜好品」と見なされるの意味も少しは理解できますが、文化に触れる機会を持つことが私たちの心を豊かにしていくし、そこから想像力や創造力の発揮につながっていくと考えているからです。もともと文化触れることは特別なことのようで、入場料がかかることが海外との大きな違いだとはよく言われています。一流の作品に触れることにおいては特にです。私は「いいもの」を知ることが人の感性にとって非常に大切なことだと思っているので現状にはとても不満です。もっと身近に気軽に文化に触れられる機会を増やしたいという願いがありました。
 今日のコンサートへ行き、もうひとつ感じたのは、障がい者にとってはコンサートに行くことそのものに大きな壁があるということです。子どもについても同じですが、「しーん」ということが会場内の条件ともなると壁向こうの世界になってしまい、会場に出かけることすらできません。これもまた私は大きなバリアだと思います。文化には気楽さが必要です。コンサートなどがかしこまった非日常の時間である限り、私たちの生活の中に根付かず、どこか「特別なもの」としていつまでたっても「嗜好品」とされてしまいます。
 今日の会場に来ていた人は一流の音楽に気軽に出会うことができました。入場料も500円でした。誰もに開かれたコンサートがもっと地域にたくさんあったらいいのにと思います。そしてせっかく多摩市にあるパルテノン多摩、立派な文化施設をもっと市民に開放して欲しいと思います。なかなか文化にお金がかけられない時代であることは確かですが、私は文化にお金をかけることをしなければ育つものも育っていかないような気がしています。文化は耕すものだからです。種まきと水やりとついでに肥料も必要な時期があると思います。その価値から目を反らさずにいたいものです。

投稿者 hisaka : 2002年10月05日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/136