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2002年10月01日

障がい者支援の難しさ

 支援費の制度開始まで半年になりました。多摩市での支援費支給の受付は来月からです。私に対する意見として「支援費制度の開始で行政職員の想像力が試される」というものがありました。私も同感です。どうやって障がい者の自立を支えていけるのでしょうか?個々に全くケースが違い、それぞれにはやはり肌細かな対応が必要です。現段階で障がい者支援について社会基盤整備が万全に整っていない中で国の制度変更に伴い対応をせざる得ない自治体にとっては本当に苦しいところです。もちろん一人一人が自分自身に責任を持つという点で、障がいがあってもなくても『契約』のシステムを導入していく流れは当然のことのように思います。けれども支援費制度のシステムはまだまだ時期尚早のような気がしてなりません。
 多摩市には「のーま」という障がい者支援センターがあります。特徴は身体・知的・精神と3つの障がいを持つ人々全てに対応する施設であるということです。今年の5月に開設したばかりなので、まだまだこれからという段階ですが、「のーま」を拠点に障がい者支援を展開してもらいたいと思っています。今、「のーま」ではパソコン講座を行っていますが、この講習会では視覚障がい者の方も先生として活躍していてピア・カウンセリングとしても有効だとの話です。もちろん講座は大人気で今後も就労支援のひとつとして「のーま」の事業として力を入れていく方向です。けれどもパソコンの技術を習得して、その後が最も難関です。つまり就職先、就労先を見つけることが障がい者にとっては非常に大きな壁となっているのです。多くの場合、障がい者はいきなり企業や事業者ですぐに入り込めるというわけではありません。やはり技術の取得とともに環境になじんでいくための訓練、職場訓練が必要です。ジョブコーチをつけ、一緒に職場になれ、そして仕事をこなせるようにしなくてはなりません。つまり技術習得から就職までのハードルがあるわけです。このハードルをいかにしてクリアできるのか、支援策を講じなくてはなりません。そこに行政として市内事業者への協力を求めることを進めて欲しいと思っています。
 同じ福祉の問題でも高齢者の問題と障がい者の問題とは異なるものだと言います。私も目から鱗というか…「あーそうだよなー・・・。」ととてもショックを受けたのですが、高齢者というのは誰もが年をとるし、ある意味では「余生」の問題だけど、障がいというのは人生での「現役」の問題でそれこそ『人生の価値』で切り取った時の重みが違うというのです。私はこのことがズドーンときたのです。
 障がい者の問題はその年齢に応じて必要な対策も異なる、つまりニーズが異なってくると言います。けれども究極というか結局はいかにしてみんなが自分自身で生きていくことが出来るかという‘自立’がキーワードです。私が今、そのために出来ることは何なのでしょうか?
 答えが明らかではありません。とても不完全です。でも私はそのことを憂う気持ちはありません。今、私は快く受入れてくれている障がい者の人々とともに旅行と楽しんだり、イベントを満喫したり、市役所の売店で彼らの作るパンを買っています。特に売店でパンを購入する時に交わす会話が私にとっては楽しみです。私は必ず彼らのお奨めを聞きます。その時彼らは自分たちの思い入れの強い商品を奨めてくれます。要は、販売している当人が一生懸命こねたパンなんだと思うわけです。私はそういうところで協力しながら彼らのニーズを一緒に考えていきたいと思っています。甘いかもしれないけれど、今、これが私の精一杯出来ることです。
 支援費制度に変わる中で、制度だけではなく、本当は地域で彼らを支えていくべき人間そのものも変わることが必要なのです。ちょっと?随分前のイチローのCMですが「変わらなきゃ!」っていうのがありました。本当にその通りだと私は思っているのです。

投稿者 hisaka : 2002年10月01日

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