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2002年08月02日

「地方自治と子ども施策」自治体シンポジウム2日目

 全国初の試みとして兵庫県川西市と子どもの権利条約総合研究所との教師で行われたシンポジウムでした。なんと初日の報告会には約400名近い人が参加、分科会も3つにわかれましたがそれぞれ参加者が約50名程、最終日のまとめの討論会にも約200名近い人が参加しました。「子ども」の問題についての関心の高さが伺えるシンポジウムでした。兵庫県の川西市には全国に先駆けて子どもオンブズパーソン条例があります。先駆事例を持ってしまった自治体はどこでもそうだと思いますが、全国各地から視察が訪れてとても忙しくなってしまいます。ともすれば本業がおろそかになってしまう…くらいに恐ろしい数の視察を受けるともきいたことがあります。今回のシンポジウムでは川西市がイニシアチブを取って全国の「子ども施策」に関する先進事例を一挙に集めてみんなで情報交換をしましょう!という試みでした。全国から21自治体が報告者として名を連ねました。もちろんすべてをきくことは出来ません。(1)自治体で取り組む子ども救済(埼玉県・神奈川県・泉大津市・青森県) (2)自治体で進める子どもの参加・参画(宮城県・近江八幡市・滋賀県・鶴ヶ島市・高浜市・豊中市・中野区) (3)進行中の「子ども条例」づくり(小杉町・多治見市・日野市・高知県)の分科会にわかれました。そしてパネルディスカッションの報告自治体が川西市、箕面市、川崎市、大阪府、八千代市、国立市です。
 私が参加したのは(2)の分科会で子どもの社会参加・参画をテーマとしたところです。発表したどの自治体の事例もなかなかすばらしいものだなあ…と思いましたが、一番面白かったのは教育審議会・学校協議会への子ども参加を進める鶴ヶ島市の事例でした。学校の現場は開かれているようでとっても閉ざされている空間だと思います。子どもが主体の場所なはずなのに、よく管理教育とも言われますが、本当の意味で子どもが主人公であるのかないのか?という点について、私も問題意識を感じているからです。
 さて、鶴ヶ島市では「子どもは小さなまちづくり人」…現在の子ども自身が、まちづくりの主体である。子どもはまちづくりの協働の担い手である。子どもは、将来のまちづくりの担い手である。…とこんなスローガンがあります。今、ゆとり教育なども始まり学校の現場自体も大きく変化をしていますが、その中で子どもたちがもっと主体の学校づくりをしていこう!という教育行政そのものの改革はもちろん、もっとこの事業の一番の主眼はもっともっと地域に学校を開いていこう!地域の学校づくりをしていくことにあります。つまり、子どもたちが学校の主体というよりも地域の一員として、みんなで一緒に学校を考えていこう!としているのです。これは「まちづくり」です。学校への子ども参加は地域社会への子ども参加につながっていくというわけです。この事例には私は拍手を送りたいです。というのも学校と言うと教職員や校長先生たちの聖域のようで、なかなか踏み込めないと思うわけですが、その壁をあえて崩せたところがまず最大の成果だと思うからです。話をきいてみると、もちろん現場からの反発はあるけれど、妥協しながらでも少しずつ実現していくことを考えているそうで、時間がかかるけれども学校を開いていくことの可能性を探っている姿勢には立派だなあと思いました。その他、豊中市の「中高生のためのまちづくり講座」や滋賀県や近江八幡市の「日常設置型のこども議会」も面白い事例でした。
 今回のシンポジウムで全体的に感じたことは「なぜ今、子どもの権利なのか?」について各地域が答えていく必要があり、そしてそこに施策を試みていかなくてはならないということです。子どもたちを取り巻く環境は変化しているとの認識はどこの地域でも共通していると思いますが、地域ごとにやはり特徴があり違いがあると言うことです。どこまでそのことを議論して政策をたてるのかどうか?ただ先駆的自治体の真似をしても上手くはいかないと痛感しました。
 特に川崎市の事例(子どもの権利条例)や尾近江八幡市の事例を聞いてみると、その施策実現に至るまでのプロセスがあるからです。長い時間をかけて「子ども」問題を考える地域の下地を築いてきた経過を無視することはできないなあと思ったのです。「・・・・だからこそ、出来たんだ」と心底納得できました。
 そして、自治体の報告なので「しっかり」した答弁が多かったのですが、やはりこれから克服すべき課題がたくさんある・・・・その時に行政だけで解決しようとしているのか?果たして行政の限界は感じないのだろうか?その辺りのことは質問をしてみてもあいまいな答えしか返ってこなかったのは残念でした。けれども誰が公共のサービスの担い手なのか。恐らく行政側も自分たちだけでは解決できない問題を抱えていることは既に承知済みだと思うのです。それならば・…今後どうやって行きたいのか?その部分をハッキリさせて提示してもらうことが、これからの子ども施策、もちろんそれ意外の公共サービスについても、求められる姿勢ではないかと感じました。とても有意義な2日間でした。

投稿者 hisaka : 2002年08月02日

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