« みんなが老人でも楽しい‘まち’にしたくて… | メイン | Rightsフォーラムに参加して »

2002年07月12日

児童館めぐり…その6(永山)

 多摩市の平和展の受付をしました。併設のロバート・キャパ展がとても人気があります。午前中だけでも70名ほどの人が集まりました。中にはキャパの写真をはじめ、原爆の悲惨な写真などをみてすすり泣きをしていらっしゃるご婦人がいました。そしてある人は私に言いました。「こんなの見たくないよ。また怒ってしまう。いやだね・・・。せっかく企画してくれたんだろうけど。本当に腹立たしい。」私はうなずくことしかできませんでした。たまたま15人ほど、理科の自然調査にきていた小学生たちがいました。時間が少しあるということだったので、ぜひ写真展を見てください!とすすめたところ、たった15分しかないけれどぜひ生徒に見せたいとのことで、先生も予定変更に応じてくださいました。子どもに感想を聞いてみました。「かわいそう・・・・」。とても正直です。自分たち自身の問題として戦争をとらえることは難しいです。

 さて、午後は永山児童館に訪問をしました。永山児童館には知り合いが学生ボランティアに通っていたこともあり、親しみがあります。さっそくいつもどおりに話を聞きました。話しは今後の児童館の役割など、現場の職員の考えなどを中心にして意見交換が進みました。これまでは児童館での様子や、事業の内容などをヒアリングする形式が多かったように思いますが、今日はちょっとした議論が出来て、うれしく思いました。今日は夏休みの企画で「映画会」を行なう準備をしている場面に出くわしました。なんとこれまでの児童館にはない風景でした。というのも映画界の企画には中学生や高校生たちが実行委員会となって中心で動いていくそうですが、今日は中学校で「どんな映画を見たいか?」のアンケートを集計していたのでした。女子中学生四名がクラブ活動の前に集まって、職員と楽しそうにまとめていました。
 これまでも私たちは中高生の居場所づくり…という観点から児童館を訪問していましたが、今日はしっかりと中高生の居場所づくりをしている場面を見られたのでラッキーでした。この「映画会」の実施には実は秘密があります。それは地区の青少協が関わって、児童館と一緒になって中高生をバックアップしようとしているということです。もちろん子ども扱いをするわけれはないけれど、彼ら自身ができないことがある。そういう手続きなどはかわりに大人たちがサポートしていく。けれども見たい映画決めやポスター描き、当日の受付、司会、挨拶はすべて任せてしまう…こんな形式でした。今年が2回目だそうで、青少協自体が中高生を事業の中心に据えて行なう試みは、たぶん他にはなさそうな気がします。その点で新しいと思いました。そして発見がありました。これまでの児童館見学の中でも児童館は中高生が利用すると考えれば施設的な限界が非常にあります。それならばと他の施設を建設することは考えられないし、今ある施設をリフォームしていくことなどを考えてきました。けれども今日の話を聞いていて思ったことは、やはりハードな面を作らずしても、ソフト面の充実を図っていくことで私たちの考える中高生たちの居場所が出来るのではないかということです。
 つまり中高生たちが自分たちの思いを自分たちの持っている力で実現出来る場所…にはそれを上手にサポートしてくれる周りの人たちさえいてくれれば可能で、この永山児童館のように職員や青少協の保護者たちが「中高生たちの内在する、潜在的な能力」を生かせるような場所をいかにして創ろうとするのか…その意欲にかかっていると思ったのでした。となれば、例えば児童館が中心ではなくても「映画会」の実行委員会に中高生を参加させることも出来るし、様々な‘まち’での企画に中高生の視点をとり入れたい場所だって多くあると思います。とにかく「あれはダメ」「これもダメ」ではなく「あれもいいし、これもいい、でもこうしよう。」みたいな皆で意見を交換しながら、一つのことを実現出来るようなところが必要だと感じます。そういう意味ではこれまでの私たちがハードを充実させての居場所づくりの考え方に新しい視点が加わりました。永山児童館のような地域との連携を実質化させながら、その中で中高生への役割を果たしていくことが大切なのかもしれません。そして永山児童館では児童館のレターが幼児部門、小学生部門、中高生部門と分かれていて、きちんと情報の送信先を決めているのも特色でした。職員の姿勢が表われている気がしました。木目細かな対応をしていきながら地域と児童館を結んでいく、特に「中高生向けのレターの効果はほとんど感じられないかもしれないけれど、でも発信することが大事だから続けているんです。」という説明には心から頑張ってもらいたいと思ったし、応援したいと思いました。

投稿者 hisaka : 2002年07月12日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/54