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2002年07月03日

幼保一元化の可能性を探る…

 午前中は介護保険の資料調査。午後からは東京ネットの「幼保一元化」の学習会に参加しました。東洋大学の森田明美さんから話を聞きました。森田先生は児童福祉学が専門で、特に「子どもの権利」について熱心な取り組みをしています。先生が素晴らしいのは常に現場を大切にすることです。先生は「権利」というものをイメージで語りません。研究者の多くは理想論から「権利」を説明することが多いのですが、さすがに福祉が専門ということもあり、常に現場第一主義。これはとても大事な姿勢で、私にとっても忘れてはならないことだと思います。
 さて「幼保一元化」ですが、保育園のニーズが増加する中で、そして私立幼稚園が廃園に追いこまれつつある中で公立幼稚園をどうすべきか…という議論の中から生じてきた争点です。争点というのも変ですが、今、多摩市でも市立幼稚園をどうするか?という問題を抱えていて、方向性としては「幼小一貫教育」…という流れが予定されています。公立同士だからこそ「幼小一貫」が実現できるわけで、全市的には「幼保小連携」を視野に入れた検討も進められるようです。まだどのように調整が図られ、「幼小一貫」との調和をとっていくのかは未知ですが、これが「多摩市の特色」になり‘まちの魅力’となるなら大歓迎です。
 今日の話は「公立幼稚園の新展開」をどうするか?が中心で、やはり今後保育所のニーズが高まる中では、既存の施設などを工夫して使うことで対応していく必要があるだろう…という話であったと思います。けれども課題はたくさんあって、例えば幼稚園と保育所では管轄が全く異なり(幼稚園は文部科学省=教育、保育所は厚生労働省=福祉)、現在の縦割り行政の壁を乗り越えながら、新しい形を目指すことには、待っている暇はないけれど、相当な時間がかかりそうです。公立幼稚園の運営体制を見直すということでいくつかの自治体では「幼保一元化・一体化」に挑戦しているようですが、森田先生の専門家の観点からは、まだまだ上手く進んでいるところは少ないようです。というのは、『何が子どもたちのためなのか?』についてしっかり議論をしないままに、事が進んでいる傾向が否めないからです。公立幼稚園自身の役割を地域ごとに見なおした時、実はまだまだ必要とされる部分もあるかもしれません。要は「子どもの育ち」をどのように支えていくか?家庭だけでは解決できない部分を地域、社会でどこまで担えるかという部分を地域にあった形で結論を出さなくてはならないのです。ただ単に行政改革の中のリストラ対策で公立幼稚園を考えてしまっては、本当に地域にとって必要な児童福祉計画…地域福祉計画は策定することができません。
 私自身は今日の話を聞いて、必ずしも「幼保一元化」ではないなあと思いました。こういうことも一つの選択肢として提案されることはもちろん必要ですが、そのことがどのように地域に受け入れられていくのか?この議論を抜きにして一方的に「幼保一元化」を実現することはできません。
 地域のことは地域で決めよう!…という時代はみんなが納得をして責任を負っていく覚悟が必要で、ある意味で受難の時代とも言えます。いろいろな分野で過渡期だと感じます。これをどうやって乗り越えていくのだろう…面白いけど。「七転八起」最後にはしっかりと前向きで立てるように流れを向けていくことは至難の技だと今日もつくづく感じました。

投稿者 hisaka : 2002年07月03日

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