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2002年06月23日

広域利用は有効か?

 多摩市に中央図書館をつくる会の主催で「図書館の広域利用を考える-町田市と相模原市の相互利用を中心に-」という講座に参加しました。多摩市でもこの4月から日野市と稲城市との相互利用が始まりました。
 町田と相模原と同様多摩市の場合にも利用登録をします。共通カードを導入するわけではないので何枚も利用者カードを作る必要があります。たいしたことはありませんが、利用者側からすると一枚のカードを作成すればOKという方式のほうが便利です。

 さて町田と相模原の状況を見てみると、町田市への相模原市民の利用が非常に多くなっています。相模原を利用する町田市民と比べると利用登録者数で比較をしても約一万八千人ほどの開きがあります。これをどのように捉えるのかがとても大事なのです。というのも一自治体のサービスというのはあくまでも図書館の場合だと(在学・在勤を含む)住民のためにあるからなのです。そこには税金という問題がちらついていることを見逃すことは出来ません。いわば、この場合だと相模原は町田にオンブしているような格好になるわけです。この2市は図書館だけでなくホールなどの他の公共施設のついても相互利用しているということで町田市民としては相模原の立派な文化ホールを利用出来るし・・・・とはいうものの、両者間のバランスをどのように図っていくのかは大きな課題だと思います。例えば実際に両市のサービスの違いをクレームとしてくる利用者はいるといいます。けれども相模原の市民がどうやって町田に文句をいい、町田の市民がどのような根拠から相模原市に意見することができるのでしょうか?協定だけで結ばれているわけで、他市の市民はいわばお客さんとして特別に利用出来る扱いにしかなりません。あくまでも「同様」ではないことがポイントではないかと思います。そして私は責任の所在も明らかではないのが心配です。例えば町田市の図書館の備品を相模原市民が傷つけたり、または相模原市のホールの備品を町田市民が壊してしまった時にはどうするのでしょうか?滅多に起こらない・・・とはいえ、ちょっとしたモメゴトが発生した時の責任のとりかたがいまいち見えてきません。
 このような相互利用の発想は、地方分権と市町村の再編の流れの中で生まれてきているものです。市町村合併の動き、受け皿の小さい自治体の生き残り・・・というところで財政難の折、有効な資源活用策の一貫です。けれども私はそこからの発想でコトを進めることには納得しがたく思っています。何でもを「資金難!」という土俵から発想をするのはいかがかと考えます。最後に受付したいくつかの中に、相互利用による図書館サービスの相乗効果のことがありましたがその回答もいまいちでした。以前よりもサービスの質が向上した・・・というわけではなさそうです。ただ町田と相模原の図書館サービスの違いなどは見えるようになってきて、少しは視野が広がるとのことですが、利用者にとってはどうなのでしょうか?
 最終的にはやっぱりみんなが喜んで使えるような場所になっていくのが理想なわけです。講師の方が指摘していました。「図書館の意味が情報の獲得の場所・・・のように捉えられがちだけれど、ふらっと立ち寄って本と出会う・・・そういう場でもあって欲しい。」 私も同感です。なんだか難しそうとか暗いくて古い本の臭いが漂う図書館は嫌いです。気軽に立ち寄り、一冊のお気に入りを探し出せるそんな宝探しの場所だと思います。小さい頃に毎週日曜日こども図書館に行き、かわいい挿絵のついた本を楽しんで探していたことを思い出しました。

投稿者 hisaka : 2002年06月23日

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