« クジ運はぼちぼち??? | メイン | まちの魅力を探せ?! »

2002年06月05日

こどもたちは今・・・?

 今日の午前中は家で本を読んでいました。『時代のきしみ<わたし>と国家のあいだ』鷲田清一著=TBSブリタニカ=です。最近はゆっくり読書・・・というよりも、一般質問の組立に向けて、大学時代のレポートを仕上げるみたいに本を読んでいたので、自分の選んだ本を読む時間は貴重です。この本の第7章の『「豊かさ」のみすぼらしさ』からの引用です。

 自治体の政策や都市計画がその典型であろうが、とにかく「いいこと」だけが書かれ、配置される。それもどれかに特定・集約されるのではなく、いわば足し算で「あれもこれも」と。言ってみれば、幸福の一覧表であり、一覧図である。消費経済の社会を見てもおなじことだ。モードは、あるいは広告は気持ちのいいこと、快いもの、きれいなもので、メニューはうめ尽くされている。

 この章の冒頭部分ですが、これを読んだだけで考えさせられます。

 午後、青少協(多摩市青少年問題協議会)の北諏訪地区委員会に参加しました。多摩中央警察署少年課の方の話を聞きました。少年に関する事件は増えているということです。多摩中央署の管轄区域では今年の1月から5月まで66名の少年が任意同行など、そして13歳までの児童21名を合わせると87名が万引きなどなどで捕まっているようです。昨年は補導が多摩市で630名、最年少は9歳で家出が理由とのことでした。管轄区域内では合計1000人にのぼります。この状況をどう考えていけばいいのか、本当に頭を悩ませてしまいます。「誰が何をやるかわからない時代」とおっしゃっていました。
 さて学校5日制がはじまって金曜日の夕方頃からの街頭補導に警察では力を入れているそうです。補導した数は昨年の同じ時期では183名と比べ、今年は既に499名だそうです。学校5日制が導入されたから・・・ではないかもしれませんが、驚くべき数字です。
 私には身近に子どもがいないので、学校を通じて地域を見ることはなかなか難しいですし、子どもの育っていく様子を見ながら社会環境を肌で感じることは出来ません。でも、なぜこんなかたちで、少年犯罪が増えていくのかを考えて、そして少しでも犯罪者をつくらない地域づくりをしたいと思っています。たまたま午前中に読んでいた本がちょっとヒントになったのですが、子どもたちは「幸福の一覧表」に辟易しているのではないでしょうか?鷲田さんは「幸福は、不幸のはかでいわば影の影として思い描かれるものであるから、幸福の一覧表はじつは不幸の一覧表であるはずなのに、この一覧表からはそうした隠された影がちっとも焙りでてこない。この、倦怠感が漂うとさえいえる「だるい」幸福、「薄っぺらな」幸福とは、いったいなんなんだろう。」と書いています。私は偶然にも鷲田さんのこの言葉を思い出し、こどもたちは真っ直ぐに見つめ、実は一番この社会のことを感じている気がしました。ちょっと、こんな風に考え始めると、私が一体、何が出来るのかな・・・って落ち込んでしまいますが、とにかく地域、ヒトとヒトとのつながりをつないでいくことや、みんながあいさつを交わすような地域づくりから出発しなくてはならないと思っています。まだまだ地域の集まりに加えてもらったばかりで、何もできていないけれど、少しずつ何か役立てればいいなと考えています。

投稿者 hisaka : 2002年06月05日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/21