2010年3月議会
21陳情第8号唐木田図書館(仮称)の運営について、市の直営を要望する陳情
民主党TAMAを代表し、意見討論いたします。
本陳情は、唐木田図書館(仮称)の開館にあたり、市の職員による直接管理運営とすべきことを求めるものです。
私たちは「一人でも多くの人に一冊でも多くの本を無料で貸し出す」ことに重点を置いてきた公共図書館の役割を大きく変えていくことが必要だと考えています。かつては貸出重視の図書館サービスが行われてきました。
多摩市の図書館活動も生活の身近な場所に図書館を配置することにより、その目的を達成してきたのだと思います。市民と図書館との距離をより密接にしていきたいとの考えのもと、まずは地域館の充実の力を入れてきた多摩市の図書館活動の成果は直接測定しがたいとはいえ、十分に認められる効果があったと受け止めています。
しかし、いまや市民が図書館に求める情報は多様化・高度化しています。平成18年3月に文部科学省「これからの図書館の在り方検討協力会議」がまとめた「これからの図書館像 地域を支える情報拠点をめざして」にも示されるように、今後は「住民の読書を支援するだけでなく、地域の課題解決に向けた取組に必要な資料や情報を提供し、住民が日常生活をおくる上での問題解決に必要な資料や情報を提供するなど、地域や住民の課題解決を支援する機能の充実が求められる」と考えています。
これからの公共図書館は、まさに市民にとって「知の拠点」となり、市民自治を支える重要な情報拠点とし、更なる機能充実を図ることを目指すべきだと考えています。
今回の業務一部民間委託の提起は、今後目指すべき図書館活動の方向性についての処方箋が求められる中、新たな地域館が開設されることに伴う市職員の業務増を回避すると同時に、更なる機能充実、現状の改善を図るものであると理解しています。現状では、人員体制などを含め、機能充実を図るために必要な条件整備がしきれないことは明らかです。そのことを踏まえ、新たな図書館の増設に対する議論がなされなかった経過を振り返っておきたいと思います。議会、議員は、時代環境を踏まえ、行政への市民要望をつなぐだけではなく、将来に対する責任、実現可能性にも総合的な見地、大局的な視点で提案することが求められます。
「生活の中に図書館を。そして読書活動を。」という理念や理想の追求に駅前図書館の増設することを否定はしませんが、一方で、全庁を挙げての行財政改革が市民的要求である中、正職員の人員配置に増加を見込めないとすれば、従来通りの手法で図書館運営をし続けることも難しいと考えます。
また、いまだに解決していない課題として中央図書館もしくは中央図書館機能の整備が残されているとするならば尚更です。図書館に従事する正職員を増やせない実態を解決しなければ、壮大な中央図書館構想はますます絵空事になることは言うまでもありません。
以上のような現実に向き合い、図書館政策の今後についても明確なビジョンを示すことが求められますが、残念ながら、その内容は十分に示されているとは言い難く、特に中央図書館問題については、その時々に言い訳をしながら、お茶を濁した状況が続いてきました。本来、民間委託を考える以前に、そのビジョンが示されるべきだと思いますが、そうなっていない状況は憂慮すべきと指摘いたします。ただし、中央図書館問題については政治決着が必要な課題とも言え、今日まで結論を先送りしてきた政治の責任も重いと言わざるを得ません。もちろん、その責任の一端から私たち会派も逃れることはできません。言うまでもなく、中央図書館の実現には大きな財源が必要となります。今後、第5次総合計画を策定する中で、中央図書館問題についても決着をつけていくことが必要だと考えており、そうしなければ、教育委員会も多摩市の図書館政策の明確なビジョンを示しきれないのかもしれません。財政の裏付けや財源問題には触れず、教育委員会に理念と理想だけを追求することだけ求めても説得力がありません。
いずれにせよ、今回の業務一部民間委託方針は、ある意味で将来計画が宙ぶらりんになっている中、図書館が知恵を絞って編み出してきた方策であり、見方を変えれば苦渋の選択でもあるとも受け止めています。また多摩市のまちづくり全体計画における図書館の位置づけなどが不明瞭であることは認めざるを得ません。
ゆえに、今回の方針については、業務一部民間委託を提起する過程において図書館職員が取組んできた業務分析を始め、図書館組織としての合意形成を尊重したいと思います。唐木田に新設される図書館についてはあえて3年間、試行的に取り組んでみたいとの意欲を汲み取ると同時に、東寺方図書館についても嘱託職員のみによる運営に挑戦するという方針が示されており、先行きが不安な点がないとは言い切れませんが、現在に至るまでに培ってきた経験に信頼を置き、その蓄積を大いに発揮し、市民にとってよりよい図書館に発展していくことを期待するものです。
最後になりましたが、本定例会に提出をされた「22陳情第7号多摩センター福祉ショップ図書サービス継続を望む陳情」について一言申し述べます。本図書サービスの継続については、内部の業務改善を行っていく上でも困難であると判断しました。しかし、身体的、距離的、時間的などの様々な理由により図書館の利用が困難な人々を対象としたサービスも積極的に行うことは必要であり、今後の課題とし、認識したいと思います。他市での事例などに学びながら、議会としても限られた予算と人員を踏まえ、提案していくことが必要と考えています。
以上、読むことを広げる活動に留まらない多摩市立図書館の将来を展望するために民間への一部業務委託に取組みたいとする方針を支持し、本陳情に対する不採択の討論といたします。
