2010年3月議会
学校給食センター調理業務の民間委託について
22陳情第8号 支出削減効果が明らかではなく寧ろ増加のおそれがあり、かつ給食の質を低下させないための実効的手段が何ら立案されていない現状での、学校給食センター調理民間委託は控えることを求める陳情について
本陳情について、民主党TAMAを代表し意見討論いたします。
本来、学校給食として最も望ましい形式は「自校式調理」であり、食育の観点から今まで以上に求められている調理者と児童・生徒との関係を育むためにも自校方式も勝るものはないと考えています。将来的には「自校式調理」への政策変更も視野に入れながら、将来における学校給食は展望されるべきです。
学校給食については、これまでの議論の積み重ねにより今後20年間はセンター方式を変更しない方針が固められ、すでに施設の改修も行い、衛生管理上望ましいとされているドライ方式の導入、強化磁器食器の導入に伴う設備の更新などの投資が行われてきました。その後押しをしてきたのは議会であり、予算議決を通して、教育委員会の方針を認めてきたと言えます。そのことを踏まえ、今すぐ自校式調理への政策変更は非現実的と受け止め以下述べます。
私たちは、先に議決をした21陳情第12号多摩市学校給食センター一部民間委託化につき再考を求める陳情及び21陳情第14号学校給食の直営の継続を求める陳情に対して「不採択」の判断を示しましたが、現下の状況では学校給食センターの調理業務の民間委託化は進めざるを得ないものと考えています。
さて、本陳情では調理業務の民間委託化を進める前の条件整備が不十分であると指摘すると同時に、現状のまま民間委託化を進めてしまうことへの危惧を唱えています。この危惧の念につきましては、学校給食に求められる役割が大きく変わっている中にあり、かねてから、教育委員会の学校給食に対するビジョンが感じられないと主張してきた私たちとまさに見解を同じくする主張であると受け止めています。
現在、学校給食センターの運営について、直営方式を堅持するのか、それとも2センターある共同調理場のうち一方の調理業務に民間委託方式を導入するのかで議論が行われていますが、私たちは直営方式を堅持しようが、民間委託方式を導入しようが、どちらを選択するにせよ、残念ながら現状では学校給食をよりよくしていくことは極めて困難と判断しています。
何よりも深刻なのは、現状において、給食センターの直接の監督責任者であるセンター長はもちろんのこと、教育委員会の事務局責任者の教育長、また、教育委員長ともに学校給食現場を把握しきれていないということです。特に学校休業期間中の共同調理場調理職員の勤務実態の把握は不十分であり、高い報酬を得ている調理職員が市民に理解されるような勤務状況にないことを認識した指示が行われていないようです。その責任は現在の監督責任者に帰することはできず、脈々と引き継がれてきた職場文化があったと想像しますが、いずれにせよ、現場のことを把握しきれていない管理の実態が浮き彫りになり、センターの運営方式を論ずる前に着手すべき課題への認識不足を感じざるを得ません。
学校給食の目的は、子どもの心身の健全な発達とともに集団でいただく態度マナーなどを学ぶこととされてきました。さらに近年は溢れかえり贅沢になった日本の食卓で逆に失われている正しい栄養摂取の方法や日本の伝統食を学び価値を伝える重要な機会として、食育の必要性・重要性が指摘され、平成20年には昭和29年「学校給食法」制定後初めての法改正も行われ、食育が法の目的に明示され、食を支える生命や自然、食にかかわる様々な人々の勤労や優れた伝統的食文化についての理解などが学校給食の目標として新たに書き加えられました。単に栄養不足を補うということ以上の目的と価値が付加されたことになります。そしてまた、両親ともに忙しく働く家庭が増える中、朝食抜きで登校せざるを得ない子どもたちや、夏休みなど長期休みには痩せこけてしまうような家庭での食生活が崩壊している子どもたちの食自体を支えている例もあるなど学校給食はより欠かせない存在となっています。飽食時代にも関わらず、私たちが大事にしなければならない「食卓」の崩壊を立て直すために、学校給食を教育課程に改めてしっかりと位置づけ、子どもたちに伝え、育んでいかねばならない重要な役割があるのだと思います。
しかしながら、以上を踏まえた学校給食へのビジョンが微塵も感じられず、お題目のように「安全、安心、おいしい学校給食」とだけしか主張できない今の状況を心から残念としか言いようがありません。繰り返しになりますが、現状では、調理業務の民間委託化を進めても、直営方式を堅持したとしても、多摩市の子どもたちの学校給食が大きく変わることはありません。あえて言うならば、子どもたちを犠牲にして、コスト削減だけは成功するのかもしれませんが、それで本当にいいのでしょうか?大変疑問です。現在問われている学校給食の問題は、同じサービスの内容であればコスト削減できるほうがまだましなどというお粗末な議論で済ませるわけにはいかない問題なのです。
改めて、教育委員会で学校給食の在り方を根本から真摯に議論してもらいたいと思います。そして、学校給食に対する多摩市の明快なビジョンを早急に示すことを強く求めます。現状が何も改善されないまま、民間委託化を提案されても、その判断は慎重にせざるを得ません。
同時に、直営を主張し続けている方々の中には現場の職員の方もおられると伺っています。その皆さんには、現状、市民世論をどのように受け止めているのか、とりわけ、官民格差がするどく問われるようになり、市民の厳しい視線・評価に晒されている「お役所仕事」「高賃金」をどう自覚してきたのか、それに対し、どのように応えてきたのか、しっかりと説明責任を果たしてほしいと思います。子ども教育常任委員会に提出された学校休業中の業務日報はその内容も含め、市民に公開し、正々堂々と説明できるものかどうかはなはだ疑問です。また、調理業務のノウハウについて、民間事業者にはないノウハウの蓄積や工夫を現場職員が自信を持って語れる状況にはないことも、委員会視察で明らかになりました。残念でした。
今回学校給食センター民間委託化をめぐる議論によって明らかになったのは、5名の委員で構成されている教育委員会が克服しなければならない課題です。従来通りの手法で運営している教育委員会の在り方にこそ抜本的な改善を求めます。以上を申し上げ、本陳情に対する採択の討論といたします。
