2007年9月議会
2006年度一般会計歳入歳出決算の認定について
第62号議案 2006年度、平成18年度一般会計歳入歳出決算の認定について、民主党TAMAを代表し、認定すべきとの立場から意見討論いたします。
4月に市長選挙を控えていた昨年度は骨格予算の編成でスタートしましたが、渡辺市政が継続され、行財政再構築プランの着実なる遂行と第4次総合計画後期計画として位置づけられた「戦略プラン」の足固めをする一年となりました。
私たちの会派は渡辺市長が進めてきた行財政改革を全面的に支持してきたわけではありませんが、将来を見据えた行財政のあり方を見直すことの必要性はあると主張してきました。なかでも、「公共空間の再編成」をしていくために必要なことは市民への説明責任を果たし、税金で実施している仕事の中味を市民にわかりやすく伝え、そして市民の視点からその必要性を判断してもらうことだと考えています。
市民参画の視点は「市民主権」や「市民自治」を実現するための無視できないプロセスとして位置づけられていますが、「市民の選択と判断」を仰ぎながら事業や施策の見直しを進めるために求められるのは、行政の業務全体を事業数のみで捉えるのではなく、その事業の内容を「本来業務」と「その他業務」に切り分ける観点を持つことです。行政のスリム化は事業数を減らすことで実現できることではなく、業務そのものの抜本的な改善がなければ達成できません。
従来の業務に市民参画というプロセスを加えることが業務効率を低下させることにつながると指摘されることも少なくありませんが、市民参画に必要な「時間」と「経費」を考慮した業務フローを編成することで解決すべきであり、PDCAサイクルに市民の視点は必要不可欠です。一般的に行政組織の意思決定が遅いことは指摘されていますが、改革の実績づくりを急ぐあまり民主的な合意形成と意思決定をないがしろにすることは本末転倒です。
さて、渡辺市長の改革については、行財政再構築プランで示されたゼロベースの原則が貫徹されているのか。市民協働を進めていくための仕組みを着実に構築してきたのか。根拠本位の原則に基づいた業務の見直しは進んでいるのか。
以上、3点に真摯に照らし合わせた評価を下さなければならないと思います。昨年度より、自治基本条例に基づいて設置されている自治推進委員会が外部評価機関的な役割を果たし、行財政再構築プランに対する進捗状況の確認をしています。
そこでは「誰のために何のために評価を下しているのか」という指摘がされるとともに状況を的確に市民に伝えることが必要だとされています。自治推進委員会が求めているマイナス面も含めた評価を示す必要性があることは「市民の判断」を得るためには欠かせないことです。
しかし、先般公表された「行財政再構築プランの総括」では税制改革に伴う税収増という予想外の歳入に助けられた事実以上に、再構築プランに基づいた改革の努力だけが全面的に強調されています。多摩市独自での見直し効果がどこまで達成できたのかが示されていないことは、市民への説明責任が不十分であるとの指摘を免れません。税収増の追い風により、凍結してきた事業やその他の市民要望の実現を優先し、結果的には「ビルドしながらスクラップ」を実施している手法は既存の行財政運営のあり方とどう違うのか疑問です。ゼロベースの原則は歳入増によりなし崩しとなっているのではないでしょうか。
右肩上がりの経済成長を前提にはできない現在、行政のスリム化や小さな政府の実現という文脈から、人件費の削減が重要な課題とされていることは指摘するまででもありません。しかし、職員の年齢構成からしても団塊の世代が退職期を迎えることにより、今後、職員数が急減少することは誰しも予測できるところです。総人口の半減は100年後だと言われていますが、公務員の半減は15年後のことかもしれないとも指摘されています。膨大な退職金問題は目前に迫る大きな悩みですが、職員数が減少し定常的な人件費そのものは将来的には削減されていくことでしょう。
そこで、今から取り組まねばならないことは、これまで行政内部に蓄積されてきたノウハウや知的財産をつないでいくという視点でおっ式の継続性を検証しなおすことです。地方分権などにより、地方自治体の業務量は今後も増加することが見込まれ、職員一人当たりの業務量が増えることは当然、予測できることです。今後、職員一人当たりの仕事の負担、負荷は高まる一方で、豊かな業務経験を有する層の急激な減少によりノウハウなどが喪失することは、ひいては必要な行政サービスの質が低下することを意味します。
市長は少数精鋭の職員で組織力を生かした対応を進めたいとのことですが、そのためにも職員の育成には力を入れるべきと考えます。個人の能力を組織力につなげる仕組みの確立が必要であり、そのためにも職員研修計画の内容を再検証すべきです。単なる研修項目の羅列で整えられた現在の研修計画では具体的に求められる能力要件が明らかになっておりません。
また、職員の年齢構成に生じている歪みをどのように是正していくのかも課題の一つです。計画的な職員採用と任期付職員制度の活用で組織に必要な力を強化すべきです。特に、人事管理については、個々の職員が持つ能力と培った経験が最大限発揮されるような配置を目指し、計画的な異動を実施すべきです。
そして、何よりも組織をマネジメントしていく市長の力量が問われることは言うまでもありません。地方自治法の改正により収入役が廃止されることを見据え、助役を一名増加、トップマネジメントを強化したことはいかほどにその効果があったのでしょうか。残念ながら、まだ、十分に、その成果が発揮されている状況と評価できるまでには至っていません。
一例ですが、戦略プランを進めるための組織体制づくりの提案も予定どおり、昨年度中に確定することができず、内部改革を進めるための経営改革推進計画も昨年度末になり、ようやっと策定されたばかりです。行財政再構築プランでも内部改革に資する取組みの達成度が低いことは明らかです。
「市民に対しては厳しい課題を投げかけながら、身内に対しては甘いと言われないよう努力していただきたい」と申し上げたのは昨年の決算特別委員会のことでしたが、その指摘をどう受け止めていただけたのでしょうか。
経営感覚の鋭い市政運営を標榜してきた市長の実力はまだ発揮されていないと考えます。市長の手腕をぜひとも開花させていただきたいと思います。
今後、この‘ まち’に必要なことを改めて整理しておきたいと思います。この間、歳入増をにらんだ企業誘致なども積極的に実施してきました。それについては一定の評価をいたしますが、更なる条件整備が必要です。景気に左右されやすい法人市民税に頼るのではなく税の循環を視野に入れた取組みを進めることが必要です。
特に企業誘致条例を適用する場合には、企業進出に対する踏み込んだ条件整備をすべき
と考えます。進出時点での多摩市民雇用率は低くても今後、市民の雇用を増やしていく約束を取り付けることで、当初、固定資産税を減免しても結果として、個人市民税の増加につなげることが可能です。同時に男女共同参画への取組み、障害者雇用、環境対策など企業の社会的価値向上を促す仕組みをつくり、ノーマライゼーションや地域共生の実現に地域全体で取り組める環境整備を進めるべきです。
いまや、福祉やまちづくりなど生活に直結した市民サービスについては、そのほとんどが自治事務化されています。自治体にはそのサービスを将来にわたり安定的に供給する最終責任があります。現在世代だけではなく、未来の子どもたちが生きる時代と社会にもつなげていけるような制度づくりが求められます。「サービス給付の公平性」のみならず、「サービス負担の公平性」の観点も取り入れ、持続可能な社会を目指すべきです。
多摩市にとって、高水準で整備されたまちのインフラストラクチャーの更新が今後の財政環境に大きく影を落とすことは必至です。市長は昨年度予算編成にあたり、後年度負担を十分に考慮し、慎重なる対応を求めていますが、公共施設再編の象徴とも言える学校跡地施設の恒久活用を進める取組みは先送りされたまま、暫定の施設活用に多額の税を投資するなど、市長の描いている見通しと現実との間に大きな隔たりを感じざるを得ません。
公共施設の再配置やストックマネジメント計画も先送り状態のまま、再構築プランの終了を迎えてしまったことは大変残念な結果です。今後、新規施設の整備を実施する場合には、「将来世代にツケを残さない」とする市長の言葉どおり、それに伴う後年度負担、ランニングコストなども明確にし、議論を進めていくことが必要です。また、予算制約シミュレーションを明らかにすべきです。施設の運営や更新にかかる費用だけではなく、予算との兼ね合いの中で、予算不足で更新できないであろう施設、今でもされていない施設の実態を明らかにしていただきたいと思います。
市民のために必要な情報を公開し、情報を共有する必要性は指摘するまでもなく十分に認識なさっていると存じます。市民が現状を的確に把握し、判断するために必要な情報を精査していただくことを求めます。
今年は自治基本条例の施行から3年が経過しました。分権改革の流れで、ようやく国が自治体に「地方政府」の確立を求めるようにもなっています。二元代表制をいかに具現化していくのか、そのためには私たち自治体議会と議員、そして市長のあり方もまた問われるのだと思います。
もともと制度上、強化されている首長権限と裁量が議会の民主的な議論の形成を阻害しているとの批判は、古くから存在するものですが、声の大きさ強さに傾倒しがち、有権者の一票をバーターにしたやりとりについつい傾きがちだった既存の地方政治のありようを大きく変えていく必要があります。
そのために問われるのはリーダーの「決断力」です。中途半端な決断では市民どうしの間に不公平感や不満を生み出し、地域における対立構造や不毛な争い、混乱をきたす原因となります。市民からの信頼を大きく損ね、市政全体に対する信頼を低下させることは避けなければなりません。
リーダーとして市長に求められ、期待されていることをしっかりと受止めていただきたい。そして女性の視点や感性を研ぎ澄ました政策を進めていただきたいと思います。
とりわけ、男女平等社会を後押しするための取組みはご自身の豊かな経験を最も生かせる分野ではないかと考えます。
「市長は女性が生きやすい社会をどのように描いていらっしゃるのでしょうか。」
まずは、女性だけではなく、男性も「仕事と家庭の両立」ができるような職場を目指し、誰もがワークライフバランスを実践できる環境づくりを進めることが行政の内部改革にもつながるはずです。
「将来世代にツケを残さない」とする強い意思を持ち、ゼロベースの原則を貫いていただきたい。どのような局面においても「公平な姿勢」を持ち、市民の共感を得られるリーダーであって欲しいと思います。そのことを切に要望し、討論と致します。
