2010年05月18日

新しい自治の仕組み

 日本自治創造学会の研究大会に参加し、横浜市泉区が実践している「地域協議会」の事例発表を伺いました。発表したのは泉区長の藤田譲治さん。政令指定都市の区長さんは公選で選ばれているわけでないということにちょっと留意しておきたいわけですが、泉区というのは人口が約16万人ということです。どうなんでしょう?・・・・多摩市人口約14万5千人と泉区と比較したら、おそらく多摩市民が享受している行政サービスの方が充実している気がするのですね。

 それはさておき、新しい自治の仕組みである地域協議会。横浜市の中でも泉区だけで取り組んでいることなのだそうです。これまでのように画一的、一律的、公平性を追求して行政サービスを行っていくことの限界があり、地域行政は転換期にあることをまずは強調されていて、そこは同感。地域問題の解決に住民自身が取り組んでいくための協議会とも言えます。行政の支援体制が大事かなと思っているのですが、区職員7~8名を1チームとして編成した地区担当者がそれぞれの協議会のお困りごとその他の相談、バックアップを行ったり、専門家(コーディネーター)を派遣したり、あとは運営費としては年間5万円の補助、活動拠点の借り上げ補助(家賃の4分の3、上限100万円/年で3年間。備品整備費 4分の3 上限20万)、それから地域のまちづくり補助金として年間1事業について200万円(3年以内)があるようです。


 新しい自治の仕組みである協議会の設置は、既存の自治会や自治会の連合組織などとの関係性を問い、地域協議会への理解を得ていくのには一苦労もあったようですが、この協議会が既存団体をないがしろにするものではないことを丁寧に説明していたようです。ついでに、議員との関係で言っても、選挙で選ばれる議員の正当性からすれば、このような協議会は「屋上屋」になりかねないとの指摘もあったようですが、そこは各地域に所属をしている議員を協議会の「顧問」し、協力してもらう関係性をつくったのだとか。


 「新しい自治の仕組み」・・・というと、何だかそれに対比する形で「古い自治の仕組み」が語れることも多いですが、新しい自治の仕組みが古い仕組みを否定しているわけではありません。ここは「新しい公共」と表現をすると、「古い公共」という言い方をする方もおられるのと同じことだと思いますが、常に常に時代環境にあったスタイルにしていくという意味では‘新しい’中に‘古い’が包含されていると理解したほうがいいと感じます。


 今日の事例発表では具体的な実践例を詳しく聞くことができなかったので、また別途どこかで調べておきたいと思いますが、阿部市長も選挙マニフェストの中で地域のまちづくり協議会をつくっていきたいとの方策を示唆していたので、それとの関連でも全国で行われている「新しい自治の仕組み」の情報収集をしなくてはいけないと思っています。全国に事例があれば、そこの成功失敗にも学んで、よりよい制度で多摩市スタイルをつくっていけるような気がするので。


 それにしてもこのような学会には全国の地方議会から多くの議員が参加をしているのがびっくり。特に「議会改革」をテーマにした分科会の人気にもびっくり。それだけ頭の中では「変わらないといけない!」と思っている議員が多いということでしょうね。
 

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2009年08月26日

市政メールモニター

 つい先だっての日曜日、民主フォーラムTAMA主催の議会前懇談会に参加の市民の方から「多摩市政メールモニター」のことについて問題提起が。

 そう言えば、メールモニターの募集が始まってすぐのころには注目をしていたけれど、その後はフォローしていなかったっけ・・・と思いだして、改めて公式ホームページ内を探したところ・・・・「あら、びっくり!」・・・・毎月のように何らかのアンケート調査をしているようです。これって、アンケート項目の内容をどうやって選んでいるのか、そしてまた、この調査結果はどんな形に活かされていくのでしょうね?

 回答者は30歳代が多いのが特徴で、これからの時代はやっぱりインターネット活用なくしては進んでいかないことを物語っているように思います。(早くインターネット活用の選挙解禁してもらわないと!)


 それにしてもアンケートへの回答結果をどう取り扱っているのか、そしてまた項目そのものについてもどういう意図があってのものなのかがいまいち不明。それに、メールモニターについての回答結果がトピックスでの掲載はされていないようなので、この制度は「知る人のみぞ知る」制度に留まっているのが現状で、制度をもっともっと周知してモニターになってくれる市民を増やしていきたいのかどうかすら疑問。


 メールモニター制度って何のためにやろうとしたのだろう?


 市民の声を幅広く聞くための手法で、インターネットを活用して気軽に市民参画できる手段の位置づけなのかもしれませんが、モニターに志願してくれる市民を増やしたい!という意思が感じられないところに、積極性のなさを感じるわけです。ただ、積極的にやらない何らかの理由もあるのかもしれないので、軽率にあれこれ批判することもできないと思いつつ・・・・それにしても、「ただ、やってます。」とだけにしか見えないのが本当に残念。


 というわけで、「回答したからどうなるの?」なんて言わず、ぜひ・・・・メールモニターになりませんか?

 って私が勧誘しちゃったりして?!

 せっかくの制度・・・・設置要綱によれば「市民の市政に関する評価、意向等を把握するため」に実施しているものらしいです。


 となれば、モニターさんの数については少ないよりは多い方がいいはずで、もっともっと消極的ではなくPRしていくべきでしょうね。

 市議会にもメールモニター制度があったら面白いのかも。「あなたにとって市議会は必要ですか?」なんてアンケートしてみた暁には・・・・その回答たるやいかに?!おっかなびっくり冷や汗かきそう。


 8月30日の投票日までラストスパート前の小休止。今日は多摩市内には宣伝カー入りがなかったので、決算特別委員会に向けての準備作業をしました。会派の人数も1名減の2人ぼっち。人数が少ないと文殊の知恵とはなりにくいなあ。やはり議論というのは多すぎても少なすぎても上手くいかず、「適当な規模」がありそうです。

 今日から3日間は駅前での期日前投票も始まっているというのに、公式ホームページではその周知がトピックスになっていないところあたり・・・・・私としてはとても不満。お隣日野市の場合には新着情報の中のさらに重要情報はトップページに掲載されていて、もちろん衆議院議員選挙の話題は最重要項目になっているのに。また、臨時トップページも開設するようですね。
 そのあたりの認識の違いはどこに起因するものなのだろう?投票率を上げることは必要なことで、国政選挙だって多摩市に大きく大きく関わっていることなのに。

 雑感。。。思いつきのまま書いてしまいました。明日は午前中に候補者カーが多摩入りします。マニフェストあります。無差別に配布することができませんので、ぜひ民主党TAMA事務所(042-372-5455)もしくは岩永ひさか(hisaka_box@yahoo.co.jp)まで。

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2008年07月24日

図書館をつくるのは市民

 今朝の朝日新聞の多摩版で立川市図書館開館30周年で「市民とともに歩む図書館」と題した講演会が企画されていることを知り、本当は別の学習会に参加する予定を急遽変更し、足を運びました。
 
 というのも・・・・多摩市の図書館協議会でも「多摩市立図書館における市民協働の具体的方策について」を答申しているからです。この答申では①図書館が多摩市直営で今後も継続されること②専門的な知識と豊かな経験を備えた職員が安定的に配置されることという2点が重要としてあり、まさに・・・図書館をめぐり話題になっている民間委託や指定管理者制度への危惧が示されているのだと受け止めています。
 立川市の図書館と言えば、指定管理者制度の導入に揺れに揺れているわけですが、これは他人事ではないと感じています。そこで、今日の講演会には「参加しなくちゃ!」という気持ちが掻き立てられたのでした。


 講演会に先立ち、30年間の図書館活動を支えてきた点字サークル、朗読サークル、地域文庫連絡会の3団体に市長からの感謝状が贈呈されました。図書館側は市長からの贈呈を想定していなかったそうですが、「感謝状の贈呈」を行うことを市長が伝え聞き、「自ら手渡したい。」とのことでわざわざのご出席だったとか。・・・・市長のお出ましに纏わるエピソードで感謝状はさらに輝きを増していました。(立川市長・・・・さすが、政治家だ!)
 
 その後の市長挨拶で、立川市の女性センターと併設の中央図書館は、駅前の一等地で約270億円をかけて完成したものであることの紹介がありました。当時は競輪の収入が40億円から50億円あった時代だったそうです。・・・・・ってなぜ、そんな話をするんだろう?・・・・・・と思っていたら、現在進めている新庁舎の建設は約72億円です・・・・と何気に釈明と言うかPRしていたのが印象的でした。
 


 さて、記念講演は町田市で長く図書館業務に携ってこられた手嶋孝典さんが講師でした。25年間図書館に関わってきた経験や実践に裏打ちされた話は力強いもので、「図書館とは何か?」という根源的て示唆に富む話を伺うことができました。特に町田市立図書館のサービス理念と目標の策定のこと、自治体の図書館政策をつくる主体は市民であり住民であるという視点から、図書館の利用者・住民に対して情報公開の徹底に率先して取り組んできた話など、図書館の存在意義を改めて確認させられる好機となりました。
 また、市民自身の活動も「図書館づくりの要求運動」に留まってはいけない、どのような図書館が欲しいのかを市民から発信していくことが大切だとの視点は、町田市の図書館政策が市民の力で支えられてきた部分が大きいことの実感に基づく発言なのかなと思ったりしました。確かに・・・多摩市の場合にも図書館活動を多くの市民が支えていますし、図書館側もその市民の支えを「アテ」にしている部分もありそうだと感じています。


 私としては上記に紹介した町田市立図書館の10の目標のうち「市議会議員、市職員に対し、政策立案の支援を積極的に行い、市政を活性化することに役立つこと」というのが気に入りました。

 多摩市の場合・・・・4月から行政資料室が「離れ小島」的に第2庁舎に設置されましたが、まだまだ市政活性化の拠点の役割は荷が重い感じかも。・・・・・・・・・っていうよりは、土日は閉鎖されていた状況の解消のために無理やり行政資料室を図書館業務に入れ込んだという経緯を考えれば、致し方ないのかも。
 やはり、この段階で改めて、図書館活動全体として理念やら目標やらを柱建てしていく必要性を感じます。そして、まだまだ表面化はしていないものの、多摩市の図書館でも業務の一部民間委託化(特に貸出などのカウンター業務)もしくは指定管理者制度などの検討も進んでいるのかもしれませんね。状況についてはヒアリングしてみなければと思っていますが、いずれにせよその動きを気にしつつ、「図書館をつくるのは市民」という視点から多摩市の図書館の姿を自分なりに考えてみたいと思います。(なかなか奥が深い世界・・・・)

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2008年03月01日

行きつ戻りつ・・・それでも進む その②

 NPOセンターの今後について話しあう第2回目の市民会議が開催されました。参加者は前回よりもやや少なかったもの30名弱の市民が集まっていたと思います。

 先日の第1回目の会議から引き続き、本題に入る前に問題提起が・・・・。それは私にも関わることでした。つまり、「議員はどういう立場で参加をしているのか?」という疑義が提示されたのでした。

 実は・・・・この市民会議に民主党TAMA会派3名が全員で傍聴をしています。その理由は一人よりも二人、二人よりも三人で傍聴することに意味があると考えているからです。一人だけで傍聴するとその一人だけの視点しかないわけですが、三人集まりゃ文殊の知恵(?)とも言うとおり、それぞれが実際に市民会議の現場を共有し、その上で議論することが可能です。NPOセンターのあり方を問い質してきた私が独断と偏見で会議内容を受け止めるのではなく、複数の視点で会議の進捗状況を見ることが必要だと感じています。

 しかし、今日の会議には私たち会派の議員しか参加をしていなかったので、「なぜ、特定会派の人しか参加をしていないのか。」という意見が出されました。やはり私たち3人がまとまって参加をしていることの違和感があったのでしょうね。議員がこのような場に参加し、政治活動を持ち込まれることに危惧を抱く立場からの疑義だと思います。致し方ないことだと受け止めました。でも、「議員は議員である前に住民の一人だし、参加資格がないとは言えない。」という意見も出され、市民会議の場を共有することを否定するものではない・・・・と議員の参加を真っ向から非難批判する声は少なかったと思います。むしろ、特定会派だけではなくもっともっと多くの議員とこの場を共有したいと考えている方が多数だったように感じました。もちろん私も同感です。

 当然ながら、議員が議論の行方を誘導することがあってはならず、市民会議の自主性を尊重した中で立ち振る舞わねばならないと考えています。「市民会議の議論を尊重し、今後のNPOセンターのあり方を考えていきたい。」としている行政がどのように市民との関係を構築しようとしているのか・・・・現場でしっかりと見極めていきたいと私は思っています。
 そしてまた、自分だけの意見を主張し、自分だけの考えを押し通そうとすると「市民の自治」は成立たない。まさに市民自治の真価が問われていくような会議になっていくと考えていて、その議論の行方を市民と共有していきたいと思います。

 さて、最も大きな懸案事項。今度の4月以降の運営をどうするのかを中心に議論が進みました。大事なことは現在、NPOセンターを利用している市民へのサービスが低下せず、混乱を招かないようにするという視点だと考えますが、参加者の中には「サービス内容が一時的に低下することはやむを得ないが、現在の運営事業者との契約をいたずらに伸ばすべきではない。」という意見もあり、結論を出すまでには至りませんでした。
 しかし、今日の到達点は・・・この市民会議で議論すべきことについて確認されたことです。「NPOセンター存続ありき」ではなく、「NPOセンターの存廃も含めて、今後のあり方を議論する。」ということになりました。私は「公設備・市民設立・市民運営」という設立のコンセプトに無理があるのではないかと考えていますし、存廃を含めた議論が必要だと考えてきました。
 時代環境の変化とともにNPOや市民活動を取り巻く環境も大きく変わってきましたし、本日の到達点である「NPOセンター存続ありきの議論をしない。」ということに私は賛成です。

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2008年02月14日

行きつ戻りつ・・・それでも進む。

 多摩NPOセンター運営検討市民会議の第1回目が開催されました。NPOセンターや市民活動の支援に対する現況については、先月号の「ほうれんそう」でも話題にしましたが、私自身も市民への説明責任と信頼の構築という二つの観点でもう一度その取組みを再検証すべきだと主張してきました。ようやく行政がリ・スタートに向けて動きをつくったことは当然!・・・・というよりも、むしろ感謝したい気持ちです。

 さて、とりあえず、今日は初めての会合だったので仕切りは事務局である市民活動推進課の職員で、まずは会合に集まった市民の自己紹介から。職員も入れて約40名の人が集まったので、自己紹介+出席した動機・意見などを各人が述べるだけであっという間に1時間以上もの時間が・・・・。事務局が暫定的に作成していた進行予定表があったのですが、まったく予定通りには進まないうれしい???誤算!会場のNPOセンター大会議室は満員御礼でした。

 ところで会議の冒頭で事務局の係長から発言がありました。今回の会議開催にあたっては「今日までの取組みに対する市民からの批判を真摯に受け止めながら、みんなが気持ちよく活動できるようにしていきたい。」という趣旨でした。ちょっとしたボタンの掛け違い、あともう少し時間をかけて丁寧に意見交換をしていれば意思疎通が図れるのに・・・・市民と行政が協働するときに最も大事な‘対話’の不十分さが、市民どうしの対立や市民感情のしこりを生じさせてきたことは事実です。そこを踏まえ、言葉を選び、市民に誠実に向き合おうとしている職員の姿がありました。会議スタート直後には「会議の趣旨をちゃんと説明して欲しい。」、「資料提供が不十分ではないか。」などなど厳しい指摘もあり、どうなることやらと内心ハラハラしていたのですが結果的には‘ぐっ’と市民の意見を受け止めようとする姿勢がとりあえずは会議の混乱を回避させたのではないかと感じています。一生懸命に応じようとしている姿や誠意が感じられたなら、まずはそれ以上責め立てる必要もありませんから。お世辞ではなく、職員の姿勢に拍手を送りたい!


 まだまだ会議が始まったといっても、本題に入るのはこれから。「今年の夏くらいまでには今後のNPOセンターの方向性を出していきたい。」という方針は示されたものの、会議の進行などを含めても市民と一緒に考えていくそうです・・・・・・・・・なので、ちょっと心配なのは「会議の進行について」という議題だけで時間が過ぎていくことかもしれません・・・・・合意形成を図ることの大変さを市民自身もどう乗り越えていくのかが問われそうです。今日の出席者の一人の言葉を借りれば「まさに、市民自治が問われているし試されている。」ということになりそうですね。


 このような会議が開催されること自体、「市民参加や参画の費用対効果は?」・・・・・と批判的なご意見もあるのは承知。議会内部のみならず行政の内部でもさまざま非難・批判は存在していることは確かです。でも、市民参加や市民参画に「正解」「正答」なんてありません。だからこそ一つ一つの取組みが常に検証されていかなければならず、それをもとに次のステップに進んでいくしかないのです。もちろん、その過程では軌道修正することも大いに有りだと考えています。正解や正答がないということは、市民参加や参画の結果は「いつも100%完璧ではない」ということなのかもしれませんね。だから、今回の会議のように、市民自身が検証と評価をしていくことが必要だと言えます。進んでいるように見えなくても進んでいると感じるのは単なる肌感覚に過ぎないのかもしれませんが、行政が市民を後退させることはあっても、市民自身は自ら後退することはなく、常に前向きに活動を展開していると思います。


 直近の大問題としては、現在のNPOセンターの4月以降の運営をどうするのかという課題の解決を進めなければならず、次回以降の議論に委ねられることになりました(実はここが最大の難関門かもしれないと思っています)が、引き続き私自身も会議に参加をしながら、「市民参加」「市民参画」「市民協働」を見つめていきたいと思います。「議会と市民」との関係性についてもヒントになることが得られそうな気がしています。

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2008年01月28日

「協働」という悩み。

 今日は‘とある’市の「市民と行政との協働に関する庁内会議」の勉強会にお招きをいただきました。私とほぼ同世代の職員さんがメンバーになっている庁内会議だったのですが、そのものずばり「市民と行政との協働に関する指針策定に係る職員勉強会」ということで、私が依頼されたのは多摩市の事例を踏まえて「協働」について考えていることや経験談を話すこと。

 実はこのテーマをもらってから、色々と考えてみたのですが、当の私自身も「協働」って言われると実は具体的にその内容を説明することはなかなか難しいと悩みました。それは「協働」というのは個々のケースによって様々な姿があることがわかるからです。けれども一つだけ私が思うことは、「協働」の考え方が上手く機能しているところでは、協働をしている者どうしに信頼関係が存在しているということです。「協働」というのは信頼の上に成立することだけは様々な事例を見た時の共通点ではないかということです。

 ちなみに、多摩市の場合には自治基本条例において「協働」や次のように規定されています。

「協働 市民、市議会及び市の執行機関が、それぞれの役割及び責任のもとで、まちづくりのために、ともに考え協力し、行動することをいいます。」
でも、そのことを日常的に意識をして活動をしている人はほとんどいないでしょうね。でも、それでいいのだと私は思っています。多くの場合は日常活動に積み重ねの上に、結果として、後から振り返れば「美談」として語れる「協働の事例」になっているものが数多くあるように思います。わざわざ「協働している」なんて意識を持たなくても、「協働事例」になることってたくさんあるはずです。


 にも関らず「協働」というものを取り出して考えようとすると悩み深まっていくように思っています。今日もとても真面目な職員の方々・・・・・「協働ということについては不勉強なので。」という発言がありました。なのでちょっといじわるく「協働ってどうやって勉強するんですか?」と尋ねてしまったのですが、協働ってやってみなければわからないものなのでしょうね・・・・きっと。
 そして「実際に自分の住んでいる場所、自治体で市民参画や市民協働と思えるような活動に参加していますか。」と尋ねてみるとその答えも「だんまり」。


 「職員である前に(議員も同じだけれど)、自分自身も帰宅をすれば一市民。」ということで、一市民として何か市民活動なりに参加をしてみたりすると「協働」のイメージとか「協働」の意味とか考え方も深めることができるのでは?・・・そんなことを大学時代の友人とも話したこともありますが、そこから「職務として考える『協働』の中味」が新たな視点で見えてくるのかもしれませんね。


 さて、多摩市の「協働」ってことからすると、私は「協働事例集」は他の自治体にも紹介したい取組だと考えています。そこでは「地域の公共サービスの多様な担い手が、それぞれの持ち味を生かしながら対等な立場で協力(=協働)」ってなっているようですが、それはさておき・・・・多摩市の場合には「協働指定委託事業」というものを予め決定し、その事業終了した時点で行政側と受託団体側双方で同じ評価シートを用いて、「事業のふりかえり」を行っています。そのふりかえりをすると面白い結果が見えてきます。行政側と受託団体側との認識のズレが明らかになる場合があるからです。その「ズレ」の部分が大事。なぜ「ズレ」が生じたのかについて双方で議論する機会やきっかけをつくることができます。実はそこから生まれるコミュニケーションが「協働」の質を高めていくのではないかと思っています。 
 また、「協働事例集」の冒頭に「協働のまちづくりに向けて」という市民活動推進課としての考え方が書いてあるのですが、その文章は共感できる市民の方が多いのではないかと思います。もちろん私も大いに共感している一人です。
 

 今日の機会は私にとっても貴重な体験でした。再度、多摩市の「協働」を振り返ることもできてよかったですし、まず何よりも多摩市の職員が悩んでいる現場に立ち会える機会は得られないと思うのですが、今日の現場には多摩市にも共通する場面があるのだろうなあと想像できる議論も展開されていました。そこは大きな収穫でした。

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