2010年07月29日

24時間365日のセーフティネット

 今日は民主党の男女共同参画委員会の企画で都内にある女性相談センター、緊急一時保護施設、母子生活支援施設の見学をしました。

 詳細や場所いついては公開できません。いわゆる最近はDV被害の増加と深刻化・・・・支援を必要としている人が多く、緊急一時保護施設の稼働率は100%以上というのが常態化していると言っても過言ではありません。着のみ着のままで命からがら逃げてくる女性に対し、肉体的にも精神的にもしっかりとサポートできる体制には多くの専門家が必要です。医師はもちろんのこと、精神的なケアもできるような専門家から女性と一緒に逃れてくる子どもたちのケアなど多くの手を必要としています。民間の市民団体なども緊急一時保護施設としてのシェルターなどの運営をしていますが、それを単独の力ででやりきることは困難。公の支援の必要性を痛々しく心に感じながらの見学会でした。

 聞いてはいるものの、現実の施設、そしてまた入所者にもすれ違う場面もありましたが、一緒に見学をした約30名ほども言葉少なく、目の前の実際、現場に心に錘をつけられたような気持ちになったことと思います。

 
 DVの問題は男性加害者から女性へ・・・という切り口から語られることが多く、発生している事例でも「男→女」が半分以上を占めますが、実はその逆パターンで「女→男」というケースも顕在化しつつあり、女性のみならず、男性も相談できる場所が必要だと感じます。男性の場合は相談することそのものへの躊躇も多いことは想像するに難くないと思います。「男のくせに」という一言で、処理されてしまうこともあるでしょう。「女→男」という場合に相談先もなく一人で困難な状況を抱えて動けなくなっている人をすく体制や仕組みも同時に考えていく必要があるのではないかと思っています。

 都の担当者の話によれば、昨秋のリーマンショック以降の経済的困難が暴力の原因になっていると考えられるとの分析を述べておられました。相談件数なども増えているからです。これについて言えば、やはり「あんたの働きが悪い。」という妻から夫への一言で苦しんでいる人がいることは聞いたこともあります。「女→男」の場合には言葉による心理的暴力が深刻だとも言われています。


 それだけ社会全体が停滞し、病的になっているとも考えられるのでしょうか?社会の疲弊を感じます。

 相談先を知っているならまだ救われる。でも相談先も知らない人もいる。そして、相談先はわかっていても相談する勇気が持てない人も多い現実。

 行政は個人情報をしっかりと守ってくれる、その保証もある一番確実な相談先。その相談先が一つ一つのケースや市民の気持ちに寄りそって問題解決を導いていけるように存在することが必要です。そのためには人材。そして、市民が一人一人持ち込んでくる相談は「全てその人にとっては困難で大変なこと」という前提に立てなければなりません。「そんなこと相談するなんて!」という気持ちが相談しに来る市民への態度にも表れること、市民は敏感に察知しています。どんな場合であっても、相談者は心を空っぽにして傾聴することが求められます。


 市役所って実は相談業務からスタートするのでしょうね。相談っていうのは実は市民のニーズをつかんでいくことの出発点。なので、相談業務を担当している職員のみならず全職員が「傾聴」の姿勢を持たねばなりません。誰に対してもいつでも・・・困っている人の気持ちに寄りそっていく。こんな原点を忘れない市役所であってほしいものです。

投稿者 hisaka [女性] | トラックバック

2009年04月14日

男女平等で失われたもの。

 市民の方とお会いして、子どもを取り巻く環境のことなどお話を伺いました。長年、幼稚園での勤務や今でも育児に関わるさまざまな活動をなさっている方なので、他の自治体の状況などの話も伺い、多摩市にも参考になりそうなことがあるかもしれないと情報をいただきました。

 その時に彼女が話していたことで印象的だったのは「男女雇用機会均等もいいことだし、女性が活躍すべき場が広がることはうれしいことだけれど、あの法律ができてから『母性』が大事にされなくなった気がするのよね。失われてしまった感じね。」ということ。 
 
 母性と言うのはまた説明し始めると長くなるのですが、「女性が持っている母親としての性質」としておいて、「今の社会は少子化を進める方向よね。」ということになるのは、例えば長時間保育を推奨するような状況は全く少子化対策になっていないことからも明らかです。朝は7時から、夕方を超えて夜は10時まで子どもを預けることが許されて推奨されていくような社会はやっぱりおかしい・・・・・私も個人的にはそう感じます。幸い、私は両親の助けがあり乗り越えられてきた部分もありますが、男性と同じような働きぶりが要求され、やれ夜からの会議、早朝からの活動など・・・そうやって同じように行動していかないと評価されず、「同等」とか「対等」を主張できない状況は「おかしいよなあ・・・・。」と感ずることも多々あります。子どもが体調が悪かったり、気分が落ち込んだりしていたらやっぱり仕事を休まなければならないけれど、「さぼっている。」と思われることもありそうだし・・・・という葛藤の狭間に追いやられることもありますし。

 ということで、私も自分の経験を踏まえて話をしていたわけですが、「政治をやる人がちゃんと理解をしないといつまでたっても変わらないわね。」と。


 「そうかも。」


 政治家は「ワークライフバランス」とは疎遠な生活をしがち。よほど意識しないと365日が仕事漬けになってしまうので、私も努めて「子どもとの休日」を考えるようにしているので。


 それにしても、女性がその権利を主張することに顔が輝かない男性もまだまだ少なくないのが実情で、議会でも「我が家は母ちゃんの方が強いよ~。」という野次が飛ぶことはこれまで何度とご紹介したとおり。政治に携わる人の理解と言うのは不可欠なものの、実は旧来的な「性別役割分担」が重んじられる世界に生きている人の方が多そうだな・・・・・というのは国にしろ、都にせよ・・・・・議員の顔ぶれをみると何となく察するに易しという感じですね。テレビなどで報道される「当選決定」の場面では当選人(男性)の隣で一緒に頭を下げる麗しい女性の姿があることが一般的なので。
 そういう意味でも個人的には政党関係なく小渕優子さんには頑張ってもらいたいと思っているのだけれど。


 今日は「男女平等で『母性』が失われたのよ。」というフレーズが新鮮でした。でも、これは決して、母親だけが子育てをしなければならないとか、子育ては母親の仕事といっているわけではないところがポイントです。「母性」を持ち出すと何か変な意味合いに受け取られたりすることもあるのですが、やっぱり「母親としての本能」というのは否定すべきものではないですよね。


 女性も男性も深呼吸して気持ちがいい、息苦しくない社会をつくりたいものです。


 ★こんな企画もあります!→女と男がともに生きやすい社会になるために 多摩市に「男女平等条例」があったらいいね!講演会 (TAMA女性センター市民運営委員会企画)

投稿者 hisaka [女性] | トラックバック