3月議会 子ども教育常任委員会

今朝は8時半からの会派の打合せ・・・パルテノン多摩にある自動演奏楽器を残してほしいという陳情に対する判断について、もう一度、会派の考え方をまとめておく必要があったからです。もともと、陳情が提出された段階では、端的に言えば、「4階にあるマジックサウンドルーム廃止。それに伴って、自動演奏楽器についてもパルテノン多摩に残すことは断念。」という方向で動いてきました。今回、パルテノン多摩を大規模改修するにあたっては、公園と接続している4階の西側フロアの使い方は鍵になるだろう、賑わい創出をするためにも大事な場所になるということで新しい使い方の検討が進められてきました。また、自動演奏楽器をこれからも大事に維持、保存をしていくためには伴う費用の問題もあり、なかなか難しくなっていくのではないのか?とする判断もありました。貴重な文化遺産であるからこそ、もっとふさわしく大事にしてくださるような引き取り先があれば、そちらに引き取ってもらうこともまた一つの選択肢になるのではないかという考えもありました。今でもフルメンテナンスできているとは言いがたい状況もあり、本当はもっともっとお手入れをしなければならないという話しを耳にしたこともあります。でも、それは「お予算の関係で・・・」ということになっていて、それでも何とか今の状態を維持していると聞くと、これから長く長く多摩市で持ち続けることが最善策と思えない側面もありました。

そんな方針のもとで、行政は引き取り手を探すためにどのような努力を重ねてきたのかがいまいち見えないのですが、「できれば、8台一括で引き取ってもらう」ことを前提に…なおかつ「多摩市民がこれからも自動演奏楽器に親しめるような環境で」という条件のもとに相手先を探してきたようですね。そして、詳細説明は割愛しますが、結局のところ、行き先が見つからないまま今に至っているというわけなのです。そして、そうこうしている間に…「パルテノン多摩にある自動演奏楽器を残してほしい!」という市民からの声が広がっていき、12月議会に陳情が提出されていました。これが一連の経過です。

私たちは12月議会の時点では、「まだ、引き取り先として打診している近隣大学から返事が来ていない」ということなどもあり、陳情の判断を先送りし、今回の委員会で結論を出す心積もりで、行く末を見守ってきたわけです。ところが、行く末を見守っている間に、多摩市から新たな方針が打ち出されました。「近隣大学からのお返事はまだ先送りされている」ようなニュアンスもありながら、しかし、「市民の声もあったので(陳情)」ということで、「パルテノン多摩の中、そしてまた、新しくできる図書館」に「分散配置する」ということです。せっかくなので、市側から提出された資料(自動演奏楽器の取扱いについて)もアップします。

陳情を審査している途中で市側の方針が変わるなんてこと・・・今までにそんなことありません。もちろん市側と意見交換をしている中で方向性を変えていくというか、修正していくようなことはあったかもしれませんが、陳情審査が継続している間に「市の方針が転換」してしまい、言ってみれば考え方の元となる、前提条件が様変わりしてしまったのです。

もちろん、そんなことあっていいの?・・・・ということなのですが、当然ながら、議会としての向き合い方が問われます。通常であれば、「慎重審査」ということで継続審査し、新たに示された方針について議会としても吟味することが必要でしょう。私は、こんな風に方針転換されてしまい、「今まで議会が積み上げてきた議論は一体何だったのか?」という気持ちでいっぱいです。個人的には、議会としては本来は「継続審査」しなければならない、そのくらい重たい方針変更。

ところが、私たちはここで任期満了を迎えるため、「継続審査」をすることで「審査未了」という結論になってしまうのです。言ってみれば審査打ち切りになるということですね。そのことについて「無責任」と考えるのも当然であって、ここで結論を出した方がいいとする意見が出ることにも理解ができます。ただ、私はやっぱり、ここで突然示された市の方針の内容を議会として十分に吟味しなくていいのか?と思うのです。

でも、議会としては無責任にはできないので一定の判断を下すべきだろう…ということになったので、結果的には私は会派を代表して「採択」にしました。

なぜなら、市が「引き取り先をこれ以上は探さない」という結論を出した限りにおいては、そしてまた、今日は陳情審査にあたっては「市側の方針を踏まえてご議論いただければありがたい」なんてことまでアナウンスされた限りにおいては・・・多摩市として貴重な文化遺産でもある自動演奏楽器に対し、きちんと責任を果たせる方法を考えなければなりません。自動演奏楽器を楽器として守っていくことを考えれば、温度と湿度の管理は必須と私は考えていますので、その立場からすれば、市側から出された新たな方針で「オープンスペースに配置」についてはちょっと不安があります。市側は「オープンスペースへの配置は楽器の劣化リスクは高まるけれど、でも大丈夫。」と判断しているようで、その後、伺いますと、大ホールのホワイエに設置することを検討しているとの話でした。私が調べた中では温度湿度管理は何よりも大切で、安定的に温度と湿度が保てるような環境づくりが必要不可欠だと思っているのですが、そんなことで本当に大事な文化財を守りきれるのかは疑問です。今後要調査。

そしてまた、もう一つ・・・。今までとは違いオープンスペースに自動演奏楽器を設置する目的はより多くの市民に親しんでもらうため・・・とのことであり、それをパルテノン多摩の魅力にしていくようなのですが、分散配置という計画で、魅力になるような何かになるのかどうかもいささか疑問です。マジックサウンドルームで行われている自動演奏楽器のコンサートなどは8台あって成り立つものだったはず。まあ、別の企画でもっともっと人を呼び込める何かを考えているのかもしれませんが、それにしても何だか「なるほど!」とか思えるような提案になっていない。

いずれにせよ、市側の唐突な方針転換を突き付けられ、私たち議会としてもどう受け止めるのか?・・・十分な議論を重ねる時間がないことは本当に残念なことであり、端的に言えば「温湿度管理をしない、分散配置」という市側の新たな方針には同意することはできません。自動演奏楽器を大切にしていくという観点、あるいはパルテノン多摩の魅力づくりの一つとして自動演奏楽器を活用するという視点がなかなか感じられない新たな方針…改めて議会としても吟味していかなければならないような気がします。

年間、自動演奏楽器の維持管理にかかっているのは約250万円。これが高いとみるのか、安いと捉えるのかはそれぞれの価値観によるところです。ただ、これだけでは済まないというのは、平成23年ごろに通常の維持費とは別に約300万円をかけて大規模なメンテナンスを行っていることからも明らかです。このことについても議会として十分な議論ができているとは言いがたい状況です。かつては、「このメンテナンス費用についてもどうなのか?」という見解が示されていたとも思いますが、今は、「このくらいであれば出せる」というような方針転換にもなったようです。

もっと多くの人に、この議論を届けたい、知ってもらいたいというのがあります。将来にわたって大事な文化遺産を守るために私たちがどう責任を果たすのか。もとを辿れば・・・総額約4億円という税金を投じて自動演奏楽器を購入したところまで議論が遡るのかもしれませんが、しかし、過去を振り返り批判をしたところではじまらない。私たちは「今」、これからを見据え、どうすべきかを議論していきたいですね。

今日の委員会は陳情に対する審査から始まり・・・その後も、総合体育館や多摩東公園の駐車場有料化に対する反対、あるいは再考を求める陳情の審査を行い・・・そしてまた、行政側から盛りだくさんの情報提供があり・・・委員会が終わったらもう真っ暗で19時過ぎていました。

みなさん、おつかれさまでした・・・。