避難所開設訓練を見学。これは、なかなか良い取組み。

本日も酷暑厳しい一日。聖ヶ丘中学校の体育館も暑かった。

今日は多摩市役所初の取組みである「避難所開設訓練」の見学をしてきました。一昨日は、総合体育館と武道館、昨日は連光寺小学校、そして今日は聖ヶ丘中学校を会場として実施されていて、本当は会派で集まって見学したいと思っていましたが、こうした訓練開催について直前に知らされると、日程調整するというのがとても難しい。すでに、昨日は大野さんが連光寺小学校の見学へ行き、「一度は見ておくべきいい内容だった」という感想が届いていたので、今日は白田さんと一緒に足を運んだというわけです。

6月の議会でもかなり話題になっていたのが避難所の感染症対策。「密にならない避難所にしなければならない」という意見が議会でもかなり多く出されました。その際にも、台風の時期を前にして、避難所を設置するためのマニュアルというのか、設置のための計画を見直していく方向が示されていましたが、今回の訓練もその一環で実施されたものです。新型コロナウイルスを意識し、避難されてきた市民の方を安全で安心な状態で避難所に受け入れることができるように…従来とは異なり、発熱しているかどうかによっても使用するスペースはもちろんのこと、動線も区別しなければならない等など注意事項というか、気遣いしなければならない事項がいくつも増えているといえるでしょう。実際に、机上で考えたマニュアルに沿って、動いてみて、そして、不具合があるかどうかを確認していく作業・・・・これが今日の訓練の一番の目的だったかと思います。

全体では80名の職員を対象に実施するということで、今回も20名の職員が参加と消防団に所属している女性団員の方も1名が参加。防災安全課から訓練の趣旨や内容について説明がありました。AとBの2チームに分かれ、一方が避難所を受け入れる職員役、もう一方が避難してきた市民の役をつとめること等訓練のシナリオが示されました。そして、防災安全課が民間事業者に働きかけたことによって実現したという「避難所混雑の可視化システム」の活用についても説明がありました。(株式会社バカンとの協定締結

昨年の台風の時を思い出しても、避難所の混雑が一つの課題になっていたことを思うと、開設されている避難所の混雑状況を事前に確認できるのはとても便利ですね。株式会社バカン様の可視化システムは空港などでも利用されていると聞きました。今日の訓練ではこの可視化システムのことを取材する目的だったのかな?NHKの記者さんもいらしていました。

さて、感染症対策ではこうした姿で対応する場所もあります。受付などで避難する方を受け入れる際に職員も感染しない対策が必要です。

全体説明が終わった後、それぞれチームごとに事前打ち合わせをしてから訓練に入りました。まずは事前受付場所で「濃厚接触者に指定されているか」「体温が37.5度以上あるのか」などを確認してから、受け入れが始まります。ここで、発熱されている方や感染可能性のある方は体育館ではなく別室へと誘導していきます。また、ペットも別室に案内する感じです。ペットはもちろんゲージに入っていることが前提ですが、小型のペットの場合はそのまま来てしまったり…という場合はどうするのかしら。また、ペットと一緒にいたいという希望もありそうです。

事前受付のあとは避難者カードを記入してから、総合受付へ行き、今回はここで要配慮者であるのかどうかのヒアリングをして、さらに要配慮者の場合には別室が案内されるという流れです。要配慮者のみなさんのことを想定すると、バリアフリーのことも考えておかなければならず、頭で考えている動線通りに人を動かすことになると、意外と大変かもしれませんね。学校も徐々にバリアフリー仕様になりつつありますが、段差などなど意外と多いです。

  

避難者役には、「ペットを連れて逃げてきた人」「家族4人で逃げてきた人」「高齢者」「発熱している人」などなど一人ひとり役柄というか想定が伝えられ、職員チームがそこに対応して、避難、バカン様のシステムでその状況を更新していくという感じです。避難者の情報を的確に把握していく、伝達力についても問われていきそうですね。ここはまさにチーム力であって、職員どうしの連帯が問われるところかと思いました。「市民の安全と安心を守るために」…ここは公務員としての使命感ひとつで意識合わせをすることが求められます。

 

訓練ですから、AチームもBチームともに避難者の受け入れから、避難場所への誘導、実際の避難所開設や運営まで一連の流れと作業を行っていきますが、市民側の立場や避難者である市民の目線でも考えたり、感じたりすることも多かったのではないかなって思いました。

 

こちらが、バカン様のシステム。とても簡単に情報の更新ができます。パソコン本体でもいいですし、専用ボタンでポチっとやれば情報がアップデートされる仕組みです。

画面もシンプルで分かりやすい。今後、たま広報などでも告知されていくことと思いますが、ぜひ、こちらのブックマークを!

 

最後には、それぞれ振り返りを実施し、受付から避難所設置や運営に至るまで、受け入れ態勢として人数はどうだったのか、使用した教室での実際はどうたったのか、あるいは、バカン様のシステムを活用するための避難者情報の伝達などなどの在り方がどうであったのか…意見交換。

やはり、避難する市民が殺到するとなれば(おそらくポツリポツリと避難者が来るわけではなく、実際には避難勧告と多くの方がやってくると想定される)、1チーム10名という人数では足りないことをはじめ、体育館でのパーテーションのレイアウト方法、教室の使い勝手、あるいは受付を設置する場所などなど課題が出されていました。避難者受付のための「カード記入」に関しても項目が細かすぎるのではないかという指摘もあり、避難するというだけでもストレスが高まっている市民の立場に立った意見もありました。無線がうまく使えなかったというか、聞こえなかったという使い勝手にも声が上がっていましたので、ここは日ごろのメンテナンスの問題も含めてですが、いざというときに使えるような状態を確保しておくことが重要ですね。また、受付などについても、もう少し混雑緩和につながる工夫ができるのではないかという提案もありました。

バカン様のシステムについてはおおむね好評だったように思いますが、これを上手く活用するためには、そもそも避難所のそれぞれのエリアを担当する職員間での情報伝達がカギを握ります。

個人的には、せっかくの訓練ですから、保健師さんも参加してくださればよかったのに…と思いましたね。新型コロナウイルスへの対応などもあるからか、残念ながら不参加。実際に、受付あるいは発熱者専用のスペースなどについては保健師の配置が必須だと思っています。また、障がいのある方への対応に関しても、現実的にはもっと対応する人数も必要になると思っています。今回は「感染症対策を踏まえた避難所開設・運営訓練」ということで詳細まで突っ込んで検討するまでの総括や意見交換の時間もなかったようですが、訓練の参加者が若手中心すぎたことはちょっと気になりました。ここは、各部署から訓練参加者を募ることになり、どうしても若手が参加…になってしまうのかもしれませんが…。

やはり経験のある職員さんが加わることで、意見の厚みが違ってくるようにも思います。実際に、若手だけが避難所開設や運営を行うわけではないでしょうから、その意味では、こうした訓練をつくっていくときの年齢や性別などについても多様化させてみることも大事かもしれませんね。また、基本的には避難所開設というのは「教育部」が担当することになりますが、それだけで回していくこともできないでしょうし、ここは今後の課題になってくると思いますが、「地域担当職員」が設置されるようになるとすれば、そうした人材をどう配置していくかなど工夫することも必要です。

災害とはいつ起こるかもわからず、気温についても暑かったり、寒かったり…さまざまなんだろうと思いますし、特に、多摩市の場合に気にしておくべきは昨年のことも踏まえた水害対応であって、台風を想定してと思いますが、その場合には天気予報などの気象情報も意識しながら、事前に対応できる部分も多いように思います。避難所をつくるときの職員のチーム体制をいかに組むか…これに関しても、この度の訓練に参加した総勢80名の職員さんをどう配置していくかも気になりますね。

NHKさんの取材・・・どんな風に報道になるのか楽しみです。今回の訓練は時間が短く、避難所を受け入れる側についても、①事前受付②記載所③総合受付④専用区域受付⑤避難場所…と1つのポジションだけしか経験することができなかったり、最後の振り返りの時間も短く、全員が1回は発言する時間まで確保できなかったこと等、先に書いたように保健師さんが不参加だったとか幅広い年齢層でチームを作るなどなど「どういう訓練にするのか」にも今後の改善点も見えてきたのかなって思います。

初めて取り組んだことですし、まずはこの訓練の成果が生かされ「避難所設置マニュアル」として、防災安全課のみなさんと教育部のみなさんを中心に完成させていくことと思いますが、これからもこのような訓練を随時重ねながら、バージョンアップさせてほしいですね。よい試みが始まったと思います。いずれ、こうした訓練も、地域の住民の方(水害を想定するならその地域や地区の方々)も参加しながら、実施されていくと良いですね。とても参考になる取組みでした。職員のみなさん、おつかれさまでした!見学させていただき、ありがとうございました。