現場の努力がひしひしと伝わる一方で。

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学校公開へ。なわとび大会を見て、道徳の授業を参観し、そして国語の授業の一環で「今、ぼくは、私は」をテーマにした一人ひとり子どもたちのスピーチを聞く。

ちょうど、先週の金曜日、聖ヶ丘小学校で研究発表会があり、これまた私にとっては学校現場を垣間見る機会の一つだったと振り返っておりますが、多摩市教育委員会は「授業のめあて、ねらい」を子どもたちにもわかりやすく意識してもらいながら、最後には授業の「ふりかえり」をしてもらう・・・を一連の流れとし、先生たちに求めているそうですね。毎年、「できている」「できてない」の自己評価アンケートもやっているのでしょうか?年度を重ねるごとに「できている」と回答される先生が増えているとの話がありました。「先生方はとてもご努力されている」のだそう。

その話を聞いた翌日の学校公開だったため、ついつい前日のことを思い出しながら、学校公開での授業を見ておりました。「確かに」・・・先生は授業の冒頭で「この授業の目的」を意識させ、最後には「ふりかえり」の時間まで・・・ちゃんと授業の組み立てをされているのだなあと思ったわけですが、その日ごとの授業ごとの指導案を準備するために先生たちも大変そう。求められているスキルはかなり高度に違いなく、既存の発想でしか考えることができない、あるいは柔軟な思考を持てる先生でなければ、対応していけないだろうなとも感じました。

私たちの子どもの頃には、そんな授業あったっけなあ・・・と思います。学校公開で子どもたちの取組むスピーチや発表などの授業を見るたびに学校教育の内容も変わってきていると思います。聖ヶ丘小学校での研究発表会では生活科、総合的な学習の時間を中心に「主体的に伝え合い問題解決できる児童の育成を目指して」を主題にして取り組んできたそうですが、ここで育んできた力が、いわゆる他の学習にもどうつながっていくのかが気になるところ。「教員主体から児童主体」の授業づくりをするために、先生は「与えて、させて、見回る」ではなく「聞いて、助けて、任せて、見守る」・・・と子どもたちへの向き合い方、授業のつくりかたも変えていかねばならないと指摘されていたように思います。

けど、個人的には・・・私が子どもの頃に学んだ先生は「任せて、見守る」をとても大切にしてくれた気がします。なので、なぜ、今、改めて目新しいかのごとく「聞いて、助けて、任せて、見守る」の重要になってきたのかしら?・・・とちょっぴり疑問も感じます。

 

なにせ、新しい視点で作ろうとしている授業展開で子どもを育んでいくために必要不可欠と思われるものは「時間」。現場にそのための時間があるのか、猶予が与えられているのかが気になります。市教委やら、都教委やら、そこに連なる文科省やら・・・現場には叱咤激励で「もっと、もっと」の要求が出されていて、そしてまた、「結果」を出せとも言われているのが現状かと。確かに時代環境に即した学校教育にしていくことは必要で、「アクティブラーニング」だとかなんだとか・・・子どもが学んでいかねばならないことがたくさんあると感じます。ただ、授業時数にも一定の限りがある中で、「詰め込み詰め込み盛り込み盛り込み」・・・減らすものはなくて増やす一方・・・授業時数をどう工夫するのか・・・せっかくいい取組みをしようと考えても、「時間不足」で中途半端にしか先生たちも取り組めないとしたら不幸ですね。

子どもたちの教育・・・「促成栽培」というわけにはいかず、そのことは十分現場も管理している教育委員会側もわかっているというのに・・・。この何だかミスマッチな感じが不思議です。「先生たちが忙しすぎる」とする指摘も、もう長年来の課題・・・な気もします。そしてまた、その「忙しさ」のなかみがよく理解されないままに、現場批判が先行するような場合もありますね。もちろん、もう少し頑張ってほしいなと思うような場合もあるのだと思いますし、多摩市に限らず、どの自治体でも「教員の質」は問題にもなっています。ただ、全体捉えていうなら・・・現場は汲々としていて、キツキツで、先生たちも悩みと葛藤の中で日々を過ごしているのではないか?ということ。

 

つめこみ批判の後の「ゆとり教育」の「ゆとり」の意味や考え方が十分に理解されないままに、やっぱり「ゆとり教育」も批判され、また、「脱ゆとり」になったものの、そもそも「ゆとり教育論」の根幹が理解されていなければ、「脱ゆとり」の方向性もズレてしまうのも仕方ないですね。教育の専門家ではないので、あれこれ言うのは控えたいと思いますが、「子どもをのびのび育てましょう」とはかけ離れざるを得ない現場の実態改善を何よりも優先してほしいものです。聖ヶ丘小学校の研究発表会でも感じたことですが、先生たちの授業準備ってホント・・・大変だ。ちゃんとした授業をしようと思えば思うほど準備は大変になってくる・・・そしてこれからやろうとする「アクティブラーニング」なるものも取り入れていくとしたら、ホント・・・ますます大変だろうな・・・。現場の努力がちゃんと報われていくような環境づくりを後押ししていきたいものです。