本庁舎建替えに向けて。フォーラム傍聴。

先週末開催された市役所本庁舎建替えに向けたフォーラムとやらを傍聴してきました。そもそも「フォーラムとは何か?」と突っ込みたくなるような場であったことはさておき、市民の参加者は30名弱、傍聴席は副市長1名と議員10数名のために準備がしてあり、その様子をじっと見つめているという感じ。

今までの議論の経過がわりと長々と説明され、その後、基本構想策定有識者懇談会 から出席する3名(中林会長、伊藤副会長、小野委員)を代表して伊藤副会長より懇談会の考え方のようなものが発表されたのち、2つのグループに分かれてそれぞれ市民が意見交換…と言う感じ。

しかし「意見交換」ではないですね。市民の方は自己紹介がてら名乗って、自分の意見を述べて終わり…一人3分だとしても10数名が1グループなので残念ながら、30分以上はかかります。ファシリテーターは建替えプロジェクトを担当している行政管理課の職員が行ったのですが…2グループを眺めてわかることは、その力量の違いってところでしょうか。進行の仕方はもちろんのこと、市民から出された意見のホワイトボードへの書き取り方一つとっても…両グループの個性があふれておりました。私はこうした場の進行について、本当に良い内容にしていくためにはそれなりのプランも必要だと思っていて、もちろん、スキルが求められる…全体グループ討議を見ていて、正直言って「いまいち」と思いました。次の機会にもまたつながるような、参加した方が、次も参加したい、参加しようという意欲を持ち帰ってもらえるような場づくりにはなっていませんでしたので…。

せっかく市民にも集まってもらったにも関わらず、言ってみれば「市民アンケートの会場版」のようなイメージになっていて、意見交換のための「フォーラム」にはなっておらず。また、それ以上に…参加者層の年齢に偏りもあり、性別にも偏りがありすぎるのではないかと感じました。60歳以上の人が多数‥‥という印象は決して間違っていないと思います。場の雰囲気的に、これから100年先でも見据えた建て替えをやろうという意気込みに沸いているとは言い難かったかなと…。

参加者の方の中にも「私のような世代が使うことを前提に考えるのではなく、もっともっと若い人に意見を聴いたりしないと。自分たちのことばかりを主張していても。」というニュアンスの意見を述べられる方もいらっしゃり、至極まっとう。もちろん「今がそのまま」ということを前提ではないでしょう…。ただ、100年後のことを想像するというのは何とも難しいですね。

 

そもそも人口は減少しているし、働く職員数だって確実に減っていく。それに伴い、市役所の業務量って減るのかどうか…。この辺りは、外から見ていてもわからない視点であり、実際に業務に関わる職員の皆さんの実感、業務改善の意識にも深く関わっていくことと思われます。そしてまた、「民間でできるところは民間で」ということは…以前に比べるとあまり言われなくなってきた気がしているので、そのあたりの現状認識は探っておきたいですね。

 

それにしても、これまでの経過説明を聞いていて感じるのは、「職員の働き方も変わっていく。今はパソコン一つで仕事をする時代で、どこにいても仕事をすることは可能。」…「市民にもっと身近な場所で職員がサービスを提供することができます。」「本庁舎と出張所の機能を転換させていく。」なんてことを説明しているのを聞くと、庁舎の建替えを待つまでもなく…今から対応していけばいいのに…と思えてなりません。コロナ禍になり、それこそ在宅ワークができる体制を…と整えてきたのは民間企業だけでなく、多摩市役所でも同じこと。だったら、今すぐにでもできることをやってみたらどうか?それこそ、試行してみてほしい…とさえ思うのは私だけではなさそうです。「パソコンがあればどこにいても仕事ができる」ということを実践しているのは職員さんですし。市民の方のご意見にも「実際に働いているのは職員さんたちだし」という声もありました。

 

そういえば、過去の議論を辿れば、「業務があちこちに分散している」ことの弊害の方が指摘されていた気がします。が、これからは「分散型市役所にしていく」というのが方向性になっています。何となく今まで説明されてきたことからの方向転換を感じ、それはオンラインによって可能になった部分を捉えているのかなとも理解しています。ただ、オンラインでできるから何でもかんでも分散してOKとはならないでしょう。そもそも、現時点で問題を感じてきた「業務の分散」があるとしたら、それらがオンラインによってどう解決されたのかを整理しておくことも求められます。その意味で、「オンラインでできることがあると言っても」…をきちんと掘り下げておかないといけないと思っています。「市役所での業務が分散されても「全く問題が生じないのか」を含めて、ちゃんと検討されて行かなければ、結局、「たらいまわし」みたいなことになるのでは?

庁舎建て替えを待つまでもなく、今から試行してみたら?例えば、オンラインで市民相談ができるように…というならば、今すぐにでもやってほしいし、取り組んでみてはどう?こんなに炎天下の中で、市民を集めてフォーラムをやらなくても、オンラインを活用した市民フォーラムの開催でもいいですし、オンラインを活用して、もっと市民参加の質を上げていくようなことだってできるはず。工夫をしようと思えば、今でもできることがあるんですよね…。

そして、議員活動を通じても、会議室が足りていなくて、職員さんと意見交換したり、ヒアリングをしたりするときにも「部屋がない」という問題にもぶつかる時があるので…オンラインで職員さんとヒアリングすることができたら、すごい気軽なのにーと思います。ぜひ、やってもらいたい。

試行を通じて、「やっぱり、オンラインでは難しい…」みたいな点を把握していかないと。

市長も最初から最後まで、両グループの意見を聴いておられましたが、最後の挨拶のところで触れていたのは「お金の話し」…。「土地を買うことは難しいんです。」って暗におっしゃりたいのだろう…と思いました。市民からは「利便性」という声が上がっていました。高齢者層の参加が多いこともあり「免許を返上したので、公共交通を使っていくことを考えてほしい。立地の良さ。」というのは当然。私も同感です。今は車の免許がありますが、車が運転できなかった時に、徒歩で市役所に行くのは辛かった…。

それから、市民の方がズバリ指摘されていたことで、心底…「同感」と思って聞いていた意見。「みなさんが説明されている『市民サービス』の内容と範囲が限定されて示されている気がする、とても狭い感じがする。これ、私は有識者懇談会に示されていた資料を見ながらも同様なことを感じ取っていましたので。

一応、自分の記憶を備忘録的にまとめておきました。他にもメモしたことがありますが、印象的なところを。次回は8月末にフォーラム開催されるようです。議員の傍聴者は人数制限があるので、会派の話し合いで傍聴できるようなら足を運んでおきたいけれど。っていうか、わざわざ足を運ばなくとも、ちゃんとオンラインで中継ぐらいした良いのに…です。いずれにせよ、フォーラムの目的は行政が市民から意見を聴くことであって、市民どうしが対話しあうとか…そういうところには無さそうでした…。

決して、上から目線ではない。職員の皆さんも低姿勢ですし、意見を聴こうという姿勢は見て取れますし、とてもソフト。とは言え、「なんか、言いたいことがあったら、言ってくれる?」というような会になってしまっている…そのこと自覚しているのかなあと思ったりもします。もし、そのことが認識されていれば、開催の仕方とか変わっていくと思うんです。討議の進行をしていくファシリテーターの進め方一つとっても。