新しい図書館。内覧会がありました。

いよいよ7月の開館に向けた準備が着々と進む多摩市立中央図書館。議員向け(と言っても希望者)の内覧会があり、参加してきました。ほぼ全議員が参加していたと思います。レンガ坂を意識し、それをモチーフにもしている建物と思われます。レンガ坂も改修工事にあたってはスッタモンダしたわけですが、何とか無事に…市民のみなさんに選んでいただいた「レンガ調」の道路面になりましたが、私のところには賛否両論聴こえております…。「レンガ坂」ではなく「レンガもどき坂」になってしまったことを嘆く声は決して小さくありません。

さて、図書館も外観がお目見えしはじめ、期待感が寄せられていることを感じていますし、「我が家の書棚になるなあ」とおっしゃる方もいるくらい、実際に、近隣にお住まいの方にはとてもよい読書環境ができることと思います。今後、多摩センターの活性化にもどのくらい寄与し、貢献していける場になるのか…も注目ですが、より多くの方に立ち寄っていただいてこそ!ですね。多摩市の全域から市民が訪れたくなるような場所になるかどうかはこれからの運営にも関わってくるのでしょうね。

ということで、今回はあくまでも建物の見学。建設費は45億円。館内のテーブルその他も…もちろんすべて特注品含めて、新品でピカピカで…「なんか、すごいな」って正直な感想でした(ちなみに、家具など備品類のお金は45億円とは別です)。

館内にある椅子は特注品になっています!…と紹介されたのですが、いわゆる多摩産材を使用している椅子。「とうきょうの木」と書いてあります。特注品と言うことは、それだけ別にお金を必要としたのかしら?…とかそっちの方が気になるわけですが、公園に隣接していることを意識した図書館になっていて、それはそれでよいのか…などと複雑な気持ち。多摩産材を使用しているので、別途、東京都から補助金もいただけているのか?…などと記憶辿りつつ…。もう一回、ちょっと全体予算などチェックしてみないとなあ。

 

こちらテーブルは図書館を建設するために伐採した多摩中央公園の「木」を使用した家具中央公園のみどりの記憶をつなぐプロジェクトのひとつでしたね。

 

新しい図書館は4階建てになっていて、地下と地上に分かれます。市民が使用するのは地上部分1階と2階。静かに読書したい方には1階、2階は従来の図書館とは異なり、ざわつきが許容されるフロアになっています。それに合わせて、館内の色調も2階は明るめ、1階は暗め…その違いを感じられるようになっていました。

 

明るい印象の2階フロア。予め配布されていた資料だと、もう少し、吹き抜け感があるのかなと思っていたのですが、私の勝手なイメージとは少し異なっていて、意外と「狭い」という印象を持ちました。広い空間にある心地よさがあるか…と言われれば、個人的にはそこまででもないかなと。

 

「へなそうるにへや」。多摩市にゆかりのある渡辺茂夫さんの使用していた机などは子どもコーナーの一角に。トイレの壁もへなそうるでした。かわいらしいトイレなので、子どもたちに人気が出そう。きれいに保たれますよに…と思ってます。「子どもの声がうるさい」という苦情とは無縁の2階フロアにしていくことが当面の目標かもしれませんね。くつろげるスペースなども確保されていましたが、何となく印象的には…夏は西日で暑すぎるとはいえ、永山図書館にある子どもスペースの方が私は好きかも…という印象。

中央公園の噴水が見えました。ここは眺めの良い場所だなあと思いましたが、個人的には「個室」でしずかにひっそり見ていたい。

こんな感じで壁の一部がレンガ調だったりしますし、公園とレンガ坂をつなぐ大階段?…

やはりレンガを意識しています。ここはちょっと危険を感じる場所でもあって、特に子どもたちを危険な目にさらさないような対応が必要ということ…職員さんたちも感じているようです。油断すると転げ落ちてしまいそう。図書館カウンターからも見えないところなので、ここでケガする人がいないように、対策は必要になるでしょうね。

見た目的にはわからないのですが、「角」になっている部分には「木」が使用されていて、ぶつかってもケガをしないような工夫はされているようです。とは言え、何かの拍子にぶつかったりすると、ケガしてしまいそう…という印象を個人的には持ちました。子どもとか。

  

1階部分の読書に集中できるフロアには、個人研究室(時間制で予約制)などもあり、ゆっくりと時間を過ごし、活字に親しめる空間を工夫しているとは感じます。でも、何となく暖色系の照明は暗くないでしょうか?…本のタイトルが若干見えづらいのは、私の視力が0.02とかだからかもしれませんが…。

 

勉強できるスペースなどもありますし、お気に入りの場所にしてくださる人が増えるかな?増えてほしいと思う一方で、やっぱり、暖色系の照明は若干暗め?という印象。

照明の明るさについてもその感じ方には個人差もありますし、照度は十分確保されているとのことでしたが、私は手元が明るい方が読書しやすいので、好んで足を運ぼう…にはならないかもなあ。落ち着いた空間であることは確かなのですが。

35万冊まで収納できるバックヤード。当初は20万冊くらいが収まる予定だとか。中央図書館にふさわしく書棚をつくっていき、そのために必要な資料が整えられていくと思いますし、年月とともに積み重なっていくのでしょうね。天井が低くてスペースもギリギリというか狭いので、とっても圧迫感もあり。仕方がないのかもしれませんが、ここで何時間も働くのはちょっと…職員さんたちも大変だろうと察するばかり。

事務室は息苦しくなくてよかった。適度な空間もあるし、窓もあるので安心しました。いずれにせよ、「建物は立派になったね…」ということで、それに伴うコンテンツをしっかり構築していくことこそ、何よりも大切。本を貸出しすることは市民サービスとしてもちろん必要不可欠で重要で、優先すべきことであることは否定しませんが‥‥でも、図書館が「知の拠点」になるために必要で期待され、求められていることはそれだけではないですね。そのことを意識し、どのように図書館行政が今後の活動を重ねていくか、問われること間違いなし。

今はとにかく開館準備が精力的に進められているので、そこに集中して、最善を尽くして、市民の皆さんをお迎えできると良いなあと思いました。市民とともにつくっていく図書館…どこまで実践されていくのかなって見守っていくつもりです。

ところで、全体的にとても気になったのは「死角」の多さですね。防犯カメラがいろんなところについていると聞いたのですが、もう一度、館内をチェックしたいなとも思いました。警備員さんがグルグルまわらないとすれば、職員さんたちが見回り必要かもしれない…という印象もあります。警備員さんがグルグル見回る図書館と言うのも居心地は良くないわけですが。あとは、1階フロアは書棚もとても高すぎて‥‥上の方まで資料が並ぶことはないのかもしれませんが、手が届かない場所にも本が並ぶのかなあ…とか、タイトルを見上げるだけでも首が疲れてしまいそう…とか、子どもが転げ落ちたら危険と思われる大階段のところ以外にも心配な要素はいくつか散見されました。懸念事項として一応、メモメモ。

そして、個人的には…批判非難が浴びせられ、「図書館政策に理解がない」とか「地域を切り捨てようとしている」というような捉え方をされていますが、老朽化している地域図書館の在り方は今後、真剣に考えていかないといけないとも思っています。なぜなら、図書館政策だけにお金をかけていられる時代ではないので。つねに、私たちは俯瞰して捉えていく、大局的にものを考えることが必要。「木を見て森を見ず」だけにはならないように。いつもお金のことしか言わないとか言われそうですし、もちろん、森ばっかり見ていてもだめなのかもしれませんけど…。いずれ働く職員の数も減っていく。人口も減っていく。避けられない現実から目を背けてばかりはいられません。

私は、しみじみと…今日の内覧会に参加をしながら「子どもにつけを回さない!」ということを考えさせられ、このままがずっと続くわけではない…ということだけを妙に確信して、納得してしまったのです。「立派な図書館が完成してうれしいなあ…」なのに、なぜか、吐く息が重たかったのでした。