多摩市がめざす学校のかたち

教育委員会が主催の「教育支援フォーラム」があり、参加してきました。議員で参加していたのは私と白田さん。いずれYouTubeでも公開されるようですが、今後、全小中学校がコミュニティスクールとして何をめざし、何を考え、何に取り組んでいくべきなのか、事例発表で北諏訪小学校からの実践が報告され、その後、講演会が行われました。

コミュニティスクールについては、杉並区の和田中学校が全国に先駆けて取組み、もうずいぶん昔(という感覚ですが)、とても話題になりました。藤原和博さんが従来の公教育に一石を投じるような格好となり注目されましたが、その後、校長先生も変わってしばらくぶり‥‥の現在、どうなっているのでしょう。あの当時とは違って、マスコミなどで取り上げられることも少なくなり、私もそのうちフォローしなくなったなあと。

とはいえ、多摩市でもコミュニティスクールと言うか言わないかは別として、そしてまた、本格的にその仕組みを導入する以前から、少しずつ取り組まれていたことのように思っています。学校だけ、教職員だけではなく、地域人材を発掘し、子どもたちの学習、教育活動に参加してもらう。

むしろ、「地域の学校として」と強調されるようになったのは今の始まったことではなく、いまや当たり前のこと。当然のこととして、各学校とも「地域と学校との連携」を語っているかと思います。さらには大学や企業との連携も。

要するに、その目的とは子どもたちがより良く育っていく環境を整えていくこと、より充実させていくことにあるわけです。それは学習内容の面だけでなく、財政的な面でも…かもと思っています。特に企業連携と言うことで言えば、企業側も公教育との連携を模索しながら、次の時代のサービス開発をしていくイメージもあります…。

いずれにせよ、結果、どのようにより良い効果がもたらされ、子どもたちにとって良い変化や変容につながり、充実することができたのか、子どもたちにとっての豊かな環境が創出できたのかが大事であって、そこが検証されていく必要があります。個人的には検証が十分にはされているとは言い難いと思い当たることもあり、それについてはきちんと見ておきたいですね。特に企業連携のところについては、当初からきちんと目標を見定めて、達成できたかどうかを評価していかなければ、むしろ評価できる能力を持たなければ、単に利用されただけに終わってしまうこともありそうです。企業連携をするならば、その次、その先ときちんと、連携する側の「意図」を持つことが必要。

そして、また、やっぱり、コミュニティスクールを各学校に導入し、そこをどう活かしていくかが各学校ごと、その力量によるというか、まさにリーダーの経営力にも大きく左右されそうで、学校間格差がないようにフォローしていくところの市教委の体制、あるいはその力量もまた問われることになりそうです。各学校長任せ、校長頼みでやっていても、たぶん、全体の底上げはできていかないと思うので。これは、ESDとかユネスコスクールの話しとも同様で、多摩市の「公教育」の質を全体として向上させていく視点抜きには語れない点でしょう。

そのためには、市教委が学校をバックアップしてくれるような人材を発掘し、よい関係性を築いていくことも求められる。学校任せではダメなところに「地域人材発掘。地域人材登用」があると捉えています。多摩市内、本当にすばらしい方々がたくさんお住まいなので。人材バンク的なことも取り組みの一つに掲げられていた時期もあったやに記憶していますが(学校を支援するという以外にも)、その話ってどうなっているのかしら?

結局、コミュニティスクールは「地域が先生の仕事を肩代わりするわけでない。」というそもそも論を外さず、取組みを進めていくことが求められるのでしょうね。先生たちの負担が増えているから、地域の人材の参画してもらうという話しではない。ここをしっかりと軸に据えながら、かたちを整えていってほしいと思います。そのためには、やっぱり、地域の人たちが学校の経営、運営に参画し、「地域の学校なんだな」と心底そう思えることが必要。「自分たちにとっての学校」とも思える場づくりができると最高だなあと思うのです。いくつになっても、自分自身が成長しているなあ…という実感、手ごたえを得られることが喜びにつながるはず。要するに参画する地域住民にとっての「学び舎」になるような取組みができると、好循環が生まれるような気がしています。

すでに制度としてのコミュニティスクールを全校に導入した多摩市。それぞれ学校が根差している地域の良さを活かせるのかどうか、ここは学校もまた子どもや保護者だけを見るのではなく、今以上に、地域に目を向けていくことが求められるのかもしれませんね。現実的にはなかなかハードルが高そうですが。多摩市がめざす学校のかたち…ここに、もっともっと味方を増やしていく、応援団を増やしていく必要があることは間違いないでしょう。