多摩中央公園のめざすところに。

人それぞれに想いがあって、考え方もあって、価値観もあって…というなかで、合意形成を図っていくことは本当に難しい。「自分の100%思い通りにならないけれど、でも、自分の声が少しは反映されている」ということ集大成にして、カタチにしていくことが、市民参加なんだろうなあと思うことが多いです。それは議会でも同じ。必ずしも自分の考えが100%通るわけではないけれど、でも、決して0ではない…ってところをめざすことが大切で、逆に言うと…きっと、それが民主主義であって、自分一人の意見だけで何でもかんでも決まっていくとしたら、そこに疑いを持つことが必要…と最近思っています。

さて、今日は「多摩中央公園のリニューアルに関する実施設計(案)を作成しました。実施設計(案)について、公園の改修整備・運営事業を行う事業者による説明と、みなさまとの意見交換を実施いたします。」ということで、夕刻からパルテノン多摩の第一会議室で開催された説明会に参加してきました。全2回の説明会があり、今日は2回目。あとは、オープンハウス形式でも意見交換の場を設けるそう。「意見交換会に参加できない方を対象に、オープンハウスを実施いたします。下記の期間、多摩中央公園仮設パークセンターに説明用の資料を展示し、事業者が直接ご意見等を伺います。資料を見るだけでも構いませんので、ぜひお気軽にお越しください。」ということで、今週土曜日(10月15日(土)~21日(金)9時~17時)までの実施になるようです。

すでに、公園改修からその後の運営を担う事業者が決定した段階で今年の1月に市民向けに説明会があり、そこから半年以上経過していて、「実施設計」に関する意見交換会ということでしたので、かなり期待し、どんな設計図面が説明されるのだろう…と思っていたのですが、前回の市民説明会で配布された資料をちょっとだけ手直しをしただけの資料が配布され、目新しさが少なく、参加された市民の方からも「言葉だけで説明されてもわからない。」ということが指摘されていました。「実施設計」というからには、それにふさわしい内容の説明会と思って参加した私にとっても、「そこは、わかっているんだけれど」という感じの内容が大半だったのが残念。

 

実施設計の説明会と言うよりも、基本構想から基本計画…くらいの段階で開催する説明会‥‥と言う感じで。半年ほど前の説明会と何ら変わらないという印象。ただ、この間、少しは市民意見を取り入れる機会もあったようで、例えば、プレイパーク的な自由遊びのエリアに設置する遊具の配置、位置を変更するとか、あとは、「できるだけ、改変しない。芝生はなるべく削らない」ということなど、「みどりファースト」という言葉を強調し、よほど、意識しているんだろうなあ…を感じさせる説明会でした。

 

私は、パルテノン多摩の西側から階段を上って、目の前に池があって、その向こうに広々している…その景色が気に入っているので、本来、今の佇まいがそのまま…にしてほしいとの思いはあります。ただ、改修計画ではその向こう側に公園事務所も兼ねた飲食店舗もある「パークセンター」を設置することになっていて、今とは景色が様変わりしてしまいそうで、とにかく今の間に、お気に入りの景色を満喫しないとと考えているわけなのですが…。一応、現段階の説明としては、外観などは周辺に溶け込むようなデザインで、「木造」で、「邪魔にならないような」ということも配慮していくことが説明されていたので、今ある「あの空間」を壊さず可能な限り大事にしてほしい…と願っているところ。

 

今回の改修は、民間事業者の創意工夫を活かした事業で得た収益の一部を公園の管理費用に活かしていく手法で行うことになるため、こうした新たな建物の設置も認めていかざるを得ません‥‥という事情はあります。個人的には、建物としてのグリーンライブセンターをうまく取り込みながら、全体計画を練り上げることができれば、わざわざ新しい建物をつくらずともできる計画になったかもしれない…とも思っていますが。でも、今のグリーンライブセンターの運営手法を含め、既存の取組みを総括したり、整理することが必要であって、調整も含めて、ハードルが高かったんだろうと察するばかり。そこをやりきれなかった、やりきるための時間が不足していたんだろうなと捉えていて、そこに対する想いは様々あるものの、現時点での到達点を理解せざるを得ないと考えてます。

もちろん、将来にわたってどうすることが必要であるか、求められるのか…常に、次善の策というのか、最善でなくとも最良の選択をしてきたとは思っているのですが、しかし、今でも私は多摩中央公園内に新しい建物をつくってしまっていいのだろうか…ここについては、自問自答しています。もちろん、すでに議会としても全会一致でこの取り組みを後押ししていきましょう…と決まったことですし、私も賛成をした限りにおいては、そこを前提にこれからを考えていくべきなのですが。

 

それにしても、今日の説明会は、事業者説明内容を通して、ワクワクできるような気分になれなかった。逆に、説明を聞けば聞くほどに、どよーんとなるというか。もちろん、参加された市民の方からは、かなり厳しい意見も出され、それへの回答も不十分だったところもありますが、そのことが原因ではなく、なんか…キラキラ感が無さすぎた。説明会を通して、「リニューアルが楽しみ!」につながる何かが欠けていたというか。雨が降っていたし、寒かったからなのか、説明会が「陽」ではなくて、「陰」だった…市民と意見交換をして「いいものをつくろう」というような前向きな気持ちを放つような場にはなっていなかったというか。他市など、私が公園改修などに関わっている民間事業者の方々と話すと、もっともっと「陽」なんだけどなあ…。

 

あと、もう一つ。市民の方々の意見を聴いていて思ったこと。それはやっぱり、問われているのは「多摩市」が公園とどう向き合っていくのか、どんな姿勢を持ち、公園づくりをしようとしているのか…って根本的な考え方、方針なんだろうなと。その柱がしっかりしていないことを市民の方からズバリ指摘されていて、そこは行政の責任だけでなく、議会も共にその責任を負っているなと感じました。やっぱり議会の中でどれだけ議論してきたのか?も同時に問われることだなと思った次第です。

 

いずれにせよ、多摩中央公園がこれからの時代にも「多摩中央公園」として、いい公園であってほしいし、良い場所にしていきたい。この一点をみんなでめざしていく…このやり方がうまくいけば、たぶん「先」が開ける気がするんです。めざすところを市民と議論し続けることが大切なんだろうと感じつつ、帰路につきました。ホント、今日はこんなに雨が降る天気予報だったか…と思いながら。

しかし、パルテノン多摩ももっともっと活用されてほしいものです。電気だけが煌々としていて…本当にシーンとしている。「これでいいのか?!」って心底…がっかり感満載。