図書館はまち活性化拠点の一つに。

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子ども教育常任委員会視察。伊丹市の図書館本館「ことば蔵」。基本コンセプトが「誰もが気軽に訪れて交流することができる『公園のような図書館』」…酒蔵の街並み風景を大事にしている中心街の一角・・・酒蔵をイメージしたような建物は静かな佇まいながらも、年間180プログラムのイベント(2日に1回の計算になる)を開催するフル活動の図書館です。

名誉館長は作家の田辺聖子さんが就任されているところも特徴ですが、合わせて宮本輝さんとともに「伊丹の作家」ということで、展示コーナーには直筆の原稿などゆかりの品も置かれ、ここに来なければ見ることができない・・・言ってみれば「伊丹市立図書館ならでは」がありました。多摩市でも本館には「へなそうるの部屋」がありますが、特定作家さんのコーナーを設けることには賛否両論もあると伺ってます。個人的に言えば、「へなそうるの部屋」は気に入っているのですが・・・・。

さて、公園のように・・・ということで、1階からはいると、目の前に広がっているのは広い空間とベンチ。イベントスペースにもなるようですが、ゆっくりくつろぐこともできるところ。ここで職員や市民の企画イベントなども実施するようです。ふと立ち寄ったら、面白そうなイベントをやっている・・・なんてこともあるのでしょうね。交流を大切にしようというコンセプト。図書館ではくしゃみすらできない・・・というのとは大違い。ある意味、居心地の良さがあります。また、1階フロア部分に地域交流室など等・・・活動室が確保されていました。2階フロア以上が大人の本、子どもの本、学習室・・・となっていて、フロアで分かれていることで、それぞれが落ち着ける場所を確保できるというメリットはありそうです。

ちなみに学習スペースについてはインターネットで空席情報が見れるのだとか!


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新しい施設なので当然ながら、設備も最新・・・まだまだ公共図書館では珍しい自動書庫システムにも驚きました。そして、何よりも、毎月第1水曜日には出入り自由の「ことば蔵運営会議」の取組みで市民参加を広げているところはユニークですね。誰でも気軽に・・いつでも・・・会議に参加することができるのだそう。この会議の中で市民企画のイベントなどが発案され、市民同士でさらに企画をブラッシュアップしていくのだとか。こうした取組みにはやはり基礎があるもの。というのも新図書館を建設するまでに約3年間ほど市民との懇談会を実施し、図書館基本設計のコンセプトを’再整理’してきたという過程が・・・。策定過程でかなり充実した市民とのやりとりが行われたのではないかと思われます。

また、多摩市で言うところの地域館的な「分館」については指定管理者で、地域住民の組織する団体にお任せをしているとのこと。これは、多摩市で言うところのコミュニティセンター運営協議会的な存在?と思いつつも、館内を案内してもらう時間との関係で十分にそのあたりまで突っ込めず残念。ただ、伊丹市では自治会の組織率が高いそうで、地域の顔役の方々が力を発揮されていることがわかりました。分館は指定管理者になる前から、業務委託で地域の方々に運営を任せてきた歴史があるそうで、市民協働というか法律の改正とともに「指定管理者」にしたという・・・・多摩市のコミセン運営と同じような感じかなと思った次第です。そもそも、地域の方々に図書館業務を委託したり、指定管理者をするというのは個人情報の観点からも慎重にならざるを得ないのでは?・・・・と尋ねたのですが、「そこは信頼関係です」とのお話しでした。

誰がどんな本を選び、どんな本を借りるのか・・・・これ、とても大事な個人情報・・・・取り扱いを重視すべきところ。地域で顔の見える関係があると、個人情報を気にする方は図書などを借りにくい場合もあるのかな?と思ったりもします。でも、信頼関係と言われれば、きっとそうですね。

また、学校との連携などについては「これからの課題」ということになっており、認識はなさっているようですが、まだ未開拓に置かれている取組み。学校連携については多摩市でもまだまだ充実したい分野。学校図書館司書さんの活用は何よりの課題ですね。せっかく配置しているのであれば、どう活用し、子どもたちの学習に寄与していただくのか?・・・この視点は欠かせないですから。伊丹市でも学校に図書館司書さんが配置されているとは伺いました。

 

そんなことで、我が多摩市・・・・図書館本館の老朽化問題、そしてまた、公共施設縮減や整理問題と図書館政策全体の方向性、、、、決めきれないまま「読書活動振興計画」の策定だけが着々と・・・・。今後、一体どうなっていくのでしょう?そしてまた、そのことを誰がどこで、どんな風に議論していくのだろう?って思います。伊丹市は基本コンセプトづくりにかなり時間を割いたようにも見受けられ、多摩市では?・・・とも。過去に遡れば、「中央図書館をつくるかどうか」では何度となく議論を積み重ねていることがわかるにはわかるのですが・・・・。

 

今回の視察内容を受けて、委員会でも一度、振り返りの議論をすることになっていますが、そこでどんな意見交換ができるのかが楽しみです。週末ハロウィンIN多摩センターです。かぼちゃ日和♪です。