ここに「在る」ということ。

ご縁があり、島根県の海士町で滞在する機会を得ています。そして、たまたま本日リニューアルオープンを迎えたホテルEntô 。またとないチャンスだと思い、オープニングセレモニーの式典も覗いてきました。

今日の晴れやかな舞台にさんさんと照らす陽の光、建物の向こう側にはきらきらした海が広がります。本土を往復する船着き場からすぐ、まさに玄関口でもある場所に完成したホテル。「この場所にこのホテルが本当に必要なのかどうか…」という議論を幾重にも積み上げてきたと伺いました。そして、ここから今日からの始まりに緊張感と期待感の高まりが溢れている空気感をちょっぴりシェアさせていただく時間にも恵まれ、いつになく「それぞれの人の物語」ということについて思いをはせる時間を得ています。

「ここに在る」ということはどういうことなのか。この場所で約22億円のコストを投資することの重み、そのことをきちんと町民と対話をしながらも分かち合ってきたエピソード…ここ、もっと聴きたい。町議会にも特別委員会が設置されて議論がされたとも聴いたので、いつか議事録を読んでみたいなあと。

関わる人たちのベクトルが「この地へのこだわり」にぎゅっと寄せられていったとしても、こだわり方は違うはず。差異はどんな風に解消されてきたのだろう…とついつい想像します。また、ここに来ることもあるでしょう。その時、ぜひ、ヒアリングしてみたいなあ。ここに在るホテル、この場所をめぐるさまざまな人たちの物語にこれからも注目。

町の図書館も見学。見つけた「たねの貸し出し」コーナー。

「野菜の種を、図書館で借りられるようになります。もしうまく育って種が採れたら少し上乗せして返却してください」

このメッセージにものすごく感銘してしまう。心穏やかになり、心に豊かさを感じられるのが図書館だと思っていて、まさにこのメッセージのやさしさに図書館を運営している司書さんの顔が思い浮かびますよね。本棚の一角に別に主張はせずに、すき間にあったちょっとした空間。こういうのがとっても大切だと思うんです。